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6Kの世界

近藤隼です、こんにちは。
8月ですね。暑い日々が続きますが、皆さまお元気でしょうか。

今回は完全に演劇と離れて、趣味の話をしたいと思います。

僕の大好きなカメラの話です。

でも、カメラに入る前に、少し映像業界のお話をします。
YouTube。皆さんきっと普段から見てらっしゃいますね。
個人で映像を撮りインターネット上で発表する流れが生まれたのは、10年くらい前。
子供たちの「将来なりたい職業」にYouTuberがランクインするようになったのが2、3年前で、そしてついに今の日本の広告業界では、(コロナ禍も手伝って)YouTubeにかける宣伝費が、これまでTVCMにかけていた宣伝費を追い越すところにまで至りました。

20歳前後の俳優志望の子達に話を聞くと、「俳優として売れたければまずはインフルエンサーになる」、というのが今の主流だそうで、演技どうこうより「集客力」がキャスティングに影響すると言われることが多いそうです。
ちょっと「??」と思いますが、俳優という仕事と、お金は全く切り離せるものではなく、誰でも一生つきまとう課題かも、と思ったりします。

そういう僕も大学を卒業してから、インフルエンサーは目指しませんでしたが、いくつもアルバイト(かっこよく言えば副業)をしてきました。
世の中も、昔に比べるとずいぶん副業へのハードルも下がった感があります。

その影響か、もちろん俳優一本で食べる覚悟も大事だけど、「それにこだわる時代でもないのかも」、「やれることをなんでもやって生きていけばいいのかも」、と近頃思うようになりました。

5年ほど前に大学の同級生が広告を中心とした映像制作会社を立ち上げ、僕はそこでたまに働かせてもらっています。その「副業」の場では、演劇をやっているだけでは見られない景色に出会います。

その会社では、
企画の立ち上げ→準備→撮影→納品
というサイクルで、基本的には「ものを売るため」の作品を作っていきます。

「商品を買ってもらうために、どういう作品を作るか」。
演劇の現場とは明らかに違います。

例えば「訴求」

芝居を作っていて観客に「訴求」する、なんて考えたことありませんが、広告の現場ではまずこの言葉が出てきます。

それに加え最近重要視されているのが
いかに「広告っぽくない広告」を作るか。

“ステルスマーケティング”というやつですね。
レーダーに映らない戦闘機のようにこっそり近寄り、大人数にガツンと訴求する。そんな方法を、みんな日夜頭を捻って考えています。

僕は、そんな広告の世界に時々お邪魔しながら、「資本主義社会の世の中で、ものを売り続けなければいけない、買い続けなければいけない人間たちは、メフィストフェレスと契約したファウストのようで、面白いなぁ」なんて楽しんでいます。

さて、いつカメラの話をするんだ!という声が聞こえてきそうですが、
そんなこんなで、副業で映像の世界に触れているうちに元々映画少年だった僕の心に火がついて、カメラに興味が沸くようになりました。

どうしたらああいう「シネマ」が撮れるんだろう、と色々調べ始めました。

というか、僕も例にならって、現代の神様Googleに色々聞いてみました。
調べるとなんでも教えてくれます。すごい。

広告の話じゃないですが、カメラ業界もカメラを売るのに必死で、様々なカメラが世の中で売りに出されています。どれを買えばいいの?!という多さです。
人生は選択の連続です。
高額な物って滅多に買うわけじゃないし、だからこそどれを買うか迷ってる時間が一番楽しくって。もう、どれにしようかって、そのことばかり考えてしまう。
だけど買ったら買ったで、そこで満足しちゃう。僕もメフィストフェレスと契約した人間のひとりですね。

色々な意見はありますが、映像業界では今ソニーのカメラが一番いいみたいです。
僕は「ソニーといえばウォークマン」という世代ですが、
カメラ業界でもずっと頑張っているようで、コンパクトで映像も綺麗、フォーカスの速さが神レベル。

他にもニコン、キャノン、パナソニック、リコー、etc....

調べていて分かった(Google様が教えてくれた)ことですが、これらの会社は、一眼レフ、つまり写真用のスチールカメラの会社です。
しかし、YouTubeなどの影響で動画のニーズが増え、スチールカメラだけでは売れなくなってきたため、一眼レフカメラに動画機能をつけたのが始まりでした。
カメラ自体は、スチールでも昔から値段は高いですが、最近は本体だけで50万越えの機種があります。

一方、僕が欲しいのは「シネマカメラ」
これはとても一般人が手に入れられるシロモノではありません。
100万円以上が基本です。
ところが、このシネマカメラも昨今のYouTubeの流れから、どんどん一般の人たちでも手が届くような商品が出てきました。

そう、この2つの流れがぶつかっているのが今のカメラ業界。
動画機能付きスチールカメラ VS シネマカメラ。

映画のような動画が撮りたい僕としては、シネマカメラを買いたいのですが、どれも高すぎて手が出ない。
かといって、スチール出発のカメラって、映画好きとしては亜流な気がします。

そこに登場したのが、Blackmagic Design社のポケットシネマカメラ(以下BMPCC)です。

Blackmagic Design社はオーストラリアの会社。
創業者で現CEOのグラント・ペティーさん自身、若い頃に映画が撮りたかったけれどシネマカメラが高くて買えなかったんだそうです。
当時彼はTV業界で働いていましたが、そういった業界はお金を持つ人が牛耳っており、クリエイティブな人が主導権を握れない状況がありました。
それを嘆いた彼は、「誰もがいい製品を安く手に入れられたら業界が変わるかもしれない」と、このBMPCCを生み出したのだそうです。

お値段、BMPCC6Kで30万円です。

シネマカメラの相場が100万越えが普通ですから、このポケットシネマカメラがどれだけ安いかわかります。

4Kのテレビもまだ普及していないのに、6Kで撮ってどうするんだ、って感じですが、やはり解像度が高いほどロマンは広がる。
最近は12Kなんていう機種もありますから。

ですがこのBMPCC6K、

とにかく、不便です。

ええ、勿論大好きです。でも、不便なんです。その理由を挙げましょう。
【1】バッテリーがもたない。付属のバッテリーは20分が限界。
【2】オートフォーカスはないに等しい。自分で撮影しながらフォーカスを合わせなければいけません。映画の撮影では、フォーカスマンと言って、フォーカスだけを合わせる人が専用にいるくらいですから、当然ですけど。
【3】データが非常に重い。
【4】そもそもシネマカメラは1人で撮るのを前提に作っていない。

はい。以上です。
でも、このカメラ、画力がホントにすごいんです。絵が美しい。カメラでそんなに変わるの?と思う方は、ぜひ僕のYouTubeを(以下略)

そして、スチールで始まったカメラ達と違うのが、自分でカラーを決められるという点です。
撮った映像を保存する時に「RAW」という形式があるのですが、

画像1

こちら、一見、色がついてないように見えますが、実はあらゆる色データが入っています。
これを編集ソフトを使って

画像2

「カラーコレクション」という元の色を引き出す作業

「カラーグレーディング」という自分の好きな表現に色を調整する作業

をしていきます。
上記のように、もともとはモノクロに近い、一見色味が見えてなかった映像に実はすべての色情報が隠されており、カラーコレクション・カラーグレーディングを経ることで2枚目の画像のように人それぞれの好みの色を引き出すことができます。

この作業が、とにかくめちゃくちゃ楽しいんです。

しかしながら、先ほども申し上げたように、6KのRAWデータは、バカみたいに容量が大きく、1分〜2分の尺の映像でも5GBくらいになってしまいます。
そして、容量が大きいということはそれを扱うためのパソコンもスペックが高くないといけないんですね、、、そういうわけで、パソコンも買わなければいけない・・
そう、散財につぐ散財です。ファウストです。

ですがその散財には理由があって、
僕が活動している松本市で、演劇のフェスティバルが行われることになり、
僕自身が映像班としてその様子を切り取り、発信していこうとYouTubeチャンネルを作りました。

FESTA 松本 channel
【FESTA 松本 2021】
インタビューや稽古場映像、それに街の映像で、FESTA 松本、そして松本の魅力をお伝えしていこうと思っています。

FESTA 松本についての話もまたできればと思いますが、
1つの街で演劇フェスティバルが初めて立ち上がる生々しい様子を、
散財してきたお金にかけて(笑)
BMPCC6Kで美しく撮影し、皆さんにお届けする所存です。

ぜひ見守ってください。(その後の浪費もまた書きます。)

近藤隼



近藤隼の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/m469a63ef1392


読んでくださり、ありがとうございます。 このnoteの詳細や書き手の紹介はこちらから。 https://note.com/beyond_it_all/n/n8b56f8f9b69b これからもこのnoteを読みたいなと思ってくださっていたら、ぜひサポートをお願いします。