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味方が多い-海外でも俳優活動するようになったきっかけ-

いわゆる濡れ場(ベット、ヌード、下着、もしくはそれに近い描写があるシーン)がある役をカナダでやりました。
その時に初めてインティマシーコーディーネーターの方とお仕事をしました。


海外エージェントから連絡


僕が所属している海外のエージェントから連絡が来た。
僕の役に絡み(濡れ場)シーンが追加され
作品の中で結構過激なシーンがある・・・
大丈夫か?まずは台本を読んでくれ。と。

そして台本を読んでみる。
が個人的にはそこまで過激だとは思わなかった。
直接的な描写はなく、そういった表現はト書き上で
out of frameと書いてあった。
カメラには映らない。多少の露出(上半身、太ももなど)
と絡みが少しあるのみだった。

しかし僕のエージェントは、かなり深刻に考え、
そして心配してくれていた。それは、俳優としてはとてもありがたい。
そのように心配をしてくれている、確認をしてくれる。
こういったことの積み重ねで、何か不安などがあった時にはより
伝えやすくなる。

確認大切。

さらには、何か質問とかわからないことあれば遠慮なく言ってくれ
プロダクションに聞くと言ってくれた。


露出と絡みが多少とあるが、
万が一、予定よりも露出が増えたり、多少演出が変わっても
対応できるように撮影に向けて体を役に合わせて整えることに。
絞りすぎず、緩すぎず。

ピザ、ハンバーガー、フライドポテト
これらを食べるのを控えた。日本に住んでる時はそうでもなかったが、カナダに住み始めてこう言った洋食を食べる機会が増えた(西洋に住んでるから当たり前か。)特にピザは大きなスライスが数百円と、日本よりも安く、そしてうまい。
ゲネプロで劇場に行くと大体ピザが配られる。

こんな感じで自然と食べる機会が多くなる。


インティマシー コーディーネーターとミーティング


しばらくして
Intimacy Coordinatorとミーティングをすることになった。
インティマシー コーディーネーター・・・???
なんか聞いたことはある
でも詳しくは知らなかった。

Macbookの辞書より

親密さ。親交。
親密???
のコーディネーター。。。
???

時間が来てZoomにてインティマシーコーディネーターとミーティング。
僕のテーブルの周りには、台本、水、ipad、そして淹れたてのコーヒー。
オンラインで仕事する時のいつものセットを用意。

ちなみにいつも使っているマグカップは
Arts Club Theatreの2021/2022シーズン記念マグカップ。
本当は僕の分の記念マグはなかったのだけど、どうしても欲しくて。欲しいなぁ。と言ったら、ステージマネージャーのCaryn が私は毎年もらってるからあげると言って僕にマグをくれた。

Stanley Industrial Alliance Stage 楽屋にて

Caryn は舞台の本番をオペ室から毎日見せてくれた。簡単なきっかけの時はたまに、キューのボタンを押させてもくれた。とてもドキドキしたのを覚えている。
僕がボタンを押すと舞台上の明かりは静かに変わっていった。美しくて、まるで自分が舞台上に魔法でもかけた気持ちになった。

話が逸れました。戻します。

僕がお話ししたインティマシーコーディネーターの方はとても優しくて
柔らかい雰囲気の方だった。
最初は雑談をした。どれくらいカナダにいるの?日本のどこ出身とか。
その後に、
「今日のミーティングに関してだけど、まずインティマシーコーディネーターについて説明するね。」
と言って簡単に説明をしてくれた。

濡れ場、性的な描写があるシーンで
[俳優:表現者サイド] と [プロデューサー・監督:制作サイド]
その間に私たちが入って、
みんなが安心して安全に、特に表現者サイドに対して
グレーな部分、シーンを演じる上での不安をなくしていって
快適に演技に集中できるように
いい作品を作っていけるようにするための役割。

「今からいくつか質問をするけど、答えられる範囲でいいから教えてね。」
・過去に濡れ場などのシーンの経験はある?
・触られたくない、苦手な場所、くすぐったく感じる場所は?自身の境界線(ここまではOK)、これはNGとかある?
・何かトラウマはある?
・見られたくない傷とか何かある?

などのことを聞かれた。

僕は境界線や苦手な場所など特になかったので
今のところはないです。と言うと

「教えてくれてありがとう。今のところは大丈夫。と伝えるのはとても大切なこと。もしこれは無理とか、後からでも変わったら、当日でも遠慮なく言って。もしも、言いづらかったら私のところにこっそり来て教えてくれても大丈夫。」

本当に何もなかったので、
今んところ平気っす。
くらいの軽い感じで言ったのだが、ちゃんと受け止めてくれて
凄く安心感を感じたのを覚えている。

NGがない=全てOKではない


正直センシティブなシーンを演じる時は
いつも以上に気が張る。
自分にNGがない=OKではない。不安がないわけではない。

そういったシーンがある時はいつも以上に
相手役の方とコミュニケーションを取って、お互いにそのシーンについて話すなど、共有する時間をできるだけ取るようにしている。が毎回十分に時間が取れるわけではないし、リハーサルと撮影当日ぐらいしか時間がないことが多い。
だから、自分が受けたインティマシーコーディネーターとのミーティングを相手役の方も受けていると考えると、より安心して演技ができる気がした。


「シーンを演じる上で何か不安や質問とかある?」

僕は、具体的にどれくらい、どこを露出するか?そして衣装を確認した。
事前にわかっておくと、事前準備を効率的にできる。もしお腹周りは出ないなら
好きなハンバーガーを控える必要もなくなる。僕は気を抜くとすぐにお腹が出てしまうのだ。
そして衣装がわかれば、シーンのイメージをもっと膨らますことができるし
演技プランを事前に準備する時のための材料にもなる。

ミーティングの最後にコーディネーターの方から連絡先を伝えられる。
いつでも何か心配事とかあったら24時間いつでも連絡して。と。

そしてリハーサルで芝居の動きを事前に決め、撮影当日。

僕がトレーラー(控室)に入るとコーディネーターの方が訪ねてきた。

電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、シャワー室もあってかなり豪華。


おはよう。元気?どう?と何気ない日常会話をしつつその中に
細かい気遣いを感じた。

現場に入り、カメラテスト。そして撮影。
そのシーンの撮影はクローズドで行われた。必要最低限のスタッフ。
モニターも限られたスタッフしか見ることができない。

撮影が終わるたびに、僕の衣装を担当の人が撮影前の状態に戻して
しっかり着たのを確認してから
他のスタッフたちに無線で合図を出す。
その後にようやく照明スタッフなど別のスタッフがセットに入り
照明、美術など諸々の直しや調整をおこなう。
俳優が衣装をちゃんと着るまでは、それぞれの役の担当の衣装さんしか入れないようになっていた。

演出は監督とコーディネーターの方を交えて行われた。
監督が求める絵と、俳優達のアイデア、
そしてコーディネーターの方が
作品のために効果的で安全なアイデアをくれる。

監督→俳優
ではなく
そこにコーディネーターの方が入るので
もしかしたら、挟む分の時間はかかったかもしれないけれど、

第三者がいることにより色々な不安が減ったことは確かだ。

インティマシーコーディネーターがいる現場を体験して色々な発見があった。


最後に報告を1つ。
共同監督した作品『一歩 -IPPO-』が
カナダ/トロントの映画祭にて
Best Cast賞 & Best Drama賞にノミネートされました。
とても嬉しいです。

出演してくれたキャスト達の劇中写真です。

新山はるの
https://www.instagram.com/harunon_s2/?hl=en
Kuup Peters
https://www.instagram.com/blackstar_peters/
Amanda Spinosa
https://www.instagram.com/amandaspinosaa/


ありがとうございます。



祁答院雄貴の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/ma8d0b9a1a15c


読んでくださり、ありがとうございます。 このnoteの詳細や書き手の紹介はこちらから。 https://note.com/beyond_it_all/n/n8b56f8f9b69b これからもこのnoteを読みたいなと思ってくださっていたら、ぜひサポートをお願いします。