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FESTA松本2021

10月になりました。
松本では10月8日から【FESTA松本2021】という演劇祭がスタートします。
今年の3月から準備しているので、他の仕事もしつつ、かれこれ6ヶ月以上これにかかりきりです。
演劇祭を0から作るのは途方もない作業で、演劇を作る、演じる、ということ以外のことが山のようにあります。
人によっては3作品、4作品に関わってる人もいて、参加者たちは10時から20時まで2作品の稽古場を毎日行ったり来たりしています。
お祭りを作るには、体力、気力が勝負って感じです。毎日これでもかってくらい疲れますが、どうせやるなら楽しまなきゃ、損ですね。

僕が演劇祭を経験したのは、2015年「スカパン」、2019年に「K・テンペスト」という演目で、ルーマニアのシビゥ演劇祭に参加した時です。
アヴィニョン演劇祭、エジンバラ演劇祭など、話は聞いたことはありましたが、自分が実際に見たり参加するのは初めてのこと。
2015年に飛行機に乗ってルーマニアのシビゥ国際空港についてから、シビゥの街に入り、自分たちの演目「スカパン」を上演しつつ、空いた日は他の国の参加作品や、シビゥがホームグランドであるのラドゥスタンカ劇場の演目を見たりしました。
街は本当に小さくて、松本くらい。
首都ではないし、普段はそこまで賑わってる街ではないのでしょうが、この期間だけは、山の上の教会や、学校の体育館が、工場の跡地が劇場となり、観客が押し寄せます。
世界中からボランティアが参加して、演劇祭の運営に当たります。彼らを受け入れるのは街の人々で、ホームステイ先を提供したりしています。
そして、地元の演劇学校の学生たちも参加して、演劇祭を盛り上げます。

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こんなに小さな地方都市でどうやって世界3大演劇祭の一つを作ったのだろう?と疑問に思いました。
1993年に始まった時は、まだ非公式で、現在でもこのシビゥ演劇祭を率いる俳優のコンスタンティン・キリアックさんが主導してスタートしたそうです。現在では10日間のフェスティバルに70カ国以上、350以上のグループが参加し、1日に6万人の観客が訪れる規模になっています。
1994年が正式なスタートらしいので、今年で17年目、キリアックさんを中心に、継続的に工夫した結果今の規模になったのでしょう。去年と今年はコロナの影響で、映像や配信を中心に演劇祭を開催していました。

このシビゥ演劇祭の中心的な場所、ルーマニアのナショナルシアターでもあるラドゥスタンカ劇場。元映画館です。

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言っちゃ悪いですが、こんな小さな劇場がナショナルシアターです。
でも、なんともいい劇場ですし、在籍している俳優たちもみんな魅力的、独特の身体感覚で、いつも素晴らしい演技を見せてくれます。
ああ、僕らにもこういうことができないだろうか、松本で。
と思わせてくれる何かがそこにはありました。

次にシビゥを訪れたのは2019年、今度は「K・テンペスト」という演目で参加しました。
前回よりも多少ゆっくりのスケジュールで、しかも演劇祭の後半ということもあり、フィナーレも見届けて帰れるスケジュール。
連日「ファウスト」「スカーレットプリンセス」「ヴァージニアウルフなんて怖くない」を演じているラドゥスタンカ劇場の看板女優オフェリア・ポピ、ファウストで爆発的なメフィストの演技をしてた翌日の昼には、ヴァージニアウルフなんか怖くないのマーサを軽々と演じているのを見て、演劇祭ってこういうことかあ、と思っていましたが、
今度は【FESTA松本2021】で、マクベス、ハーミア、ボトム、ロシア人の核軍縮交渉人を連日演じます。
どうなることやら、、、

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ラドゥスタンカ劇場のバックヤードはボランティアの人たちの交流の場所になっていて、いつも1日が終わるとみんなそこで飲み食いして、踊ったり歌ったりしています。招聘された僕らにもパスが与えられてそこには自由に入ることができるので、お祭りの中心部に入れたようで、大好きな場所でした。運営する側の苦労は今回味わっていますが、みんなの夜のはしゃぎようは自分たちがお祭りをやっているんだ、お祭りの一部なんだ、という喜びに溢れていました。
最終日はそこの真上に花火が上がって朝まで飲み続けます。

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一緒に行っていた大先輩の俳優が、「この経験はこれまで演劇を続けてきたご褒美だ」とおっしゃっていたのが、なんだかとても印象的でした。

さて、そんなこんなで
第1回目の松本演劇祭【FESTA松本2021】が開催されます。
初めてだらけのお祭りですが、来ていただいたお客さんに、この僕がシビゥで体感したあの感じやこの感じを感じていただけるのか、全力で頑張ります。
ぜひ足をお運びください。
お待ちしてます♪

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近藤隼



近藤隼の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/m469a63ef1392


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