記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション映画→原作ネタバレ感想

デデデデ映画は賛否両論のようですが、とても良い映画だと思いますよ!
とは言え、個人的には、正直、後章がちょっと不完全燃焼でした。
見た感じカットされたところが相当あると感じたので、映画視聴後すぐに、原作12巻読んでみました。以下原作と映画の違いについてネタバレで語ります。

デデデデ原作感想

絵がきれいすぎる!最初から最後までクオリティぶっちぎりのままですごすぎた。作者が魂を削って書いたことが伝わります。3Dモデルも効果的に使って、新時代の漫画ってかんじですね~
私はKindleで読んだのですが、大きい版で見たくなります。

ネタバレ・最後全然違うやんけ!

なるほど、そもそも12巻の話が丸ごと無いんですね。映画を見て引っかかった箇所、特にテーマにかかわるところが、原作を読んで、腑に落ちました。

私が一番引っかかったのが「絶対」とされる関係性がどのような意味で展開されるのか?の答えが映画にはなかった点。ここは原作を読んで、だいぶすっきりした。

変わる世界とキャラクター

キャラクターの関係性について語る前に、まず世界とキャラクターの関係性を考える必要がある。世界に関していうと

  1. 最初の世界 門出が侵略者の力で世界を変えようとし、自らの命を絶った世界線

  2. 作中メイン世界 おんたんが勇気を出し、門出と友達になり、侵略者が来て、世界が崩壊する世界線

  3. 12巻の世界 門出の父が門出に助言を与え、門出が凰蘭と仲良くなり成長する平和な世界線

つまり、世界を変えようとしたがうまくいかず、自分と世界が変わってもうまくいかず、変わらなかった世界で自分たちが変わっていく成長の物語と言える。

「夏休みが永遠に続けばいいのに」とか「明日世界が壊れないかなー」という放言は別に若者の特権ではなく、大人=門出の父も似たようなことを考える。もちろん世界はやすやすとは壊れないのだけど、3.11やコロナのように「うっかり破壊されてしまうこともある」という時代の物語でもある。

私の疑問だった「絶対とされる関係性が、作中世界でどのような意味で展開されるのか?」の答えは「展開されない」だった。
関係性を「絶対」とした場合、世界が崩壊しても関係性が変わらないので、これはいわゆるever-after「その後、ずっと幸せに暮らしましたとさ」になるのだった。結局、崩壊世界はデッドエンドだということだ。
そもそも「世界が崩壊する」というのはあくまで舞台装置なので、キャラクターを成長させ、関係性を発展させるには、舞台装置のほうを引き下げざるを得ない。この作品では総じてメタ的な表現が強い、特に原作最終話では、デデデデの文字が世界を覆い、あまつさえ、カメラが回り込む。侵略者が来ないこの世界もまた虚構に過ぎないことをこれでもかと見せつける。
おんたんと門出の関係性を絶対としたうえで、おんたんと門出も含めた、キャラクターたちが世界を歩むには、舞台を変えざるを得ない。
この点で原作の方が理が通る。

映画オリジナルエンドについて

映画の方では残念ながら原作をフルでやるほど尺はなかった。やったとしたらあと1時間半くらいいるだろう。3部作あるいは24話2クールくらいならなんとか…という感じだろうか。
代わりに大葉の帰還で何となく収まっているが、これだと、中崩壊世界でクローズしてしまうので、ever-afterで映画的と言えば映画的だが、作品のメッセージとしてはだいぶ違ったものになってしまう。
なぜこうなったか?は知る由もないのだが、才気と妥協の産物ではないかとと雑な妄想をしている。この作品を見る限り、この作者はとんでもなく優秀な人ではあるが、組織人ではないとも思う。映画化するときにずいぶん苦労されたのではなかろうか。お約束を外すのがうまい作者であるがゆえに、才気に足を取られて、裏の裏の裏でever-afterにしてしまったのでは…と思う。
原作と映画どっちがいいかというと、原作は大傑作。前章は順番以外はほぼ原作準拠で、アニメーションも素晴らしく大傑作、後章は素晴らしいんだけど…もう少しボタンの掛け違い一つで超素晴らしくなる可能性があったのかな…門出の父のアドバイスのようにね。
ただ、ここを責める気にはならない。メタ的な要素を映画に入れ込むのは単純に難しいからだ。アニメでも難しい。デデデデのメタ表現は漫画表現として完成されているので、映画でメタ的表現を再発明するのは力業にすぎる。これ以上に素晴らしくするのは人の領域はみ出してる気がする。エヴァのシンジ君だって、宇部新川駅の階段をかけ上るまでに25年かかったんだから。私は漫画版デデデデのメタ表現は漫画表現の極致であって、安いものではないと思う。同等のことを初アニメでやれというのは酷だ。いっそのことそこはやらないという判断をある程度は支持したい。

映画を見たとき引っかかったことリスト→原作を読んでみてチェック

映画視聴後、原作未読時の疑問について、ある程度回答が出てきた。

  • 全体を通して、SESがらみがよくわからない。そもそもオーシャンは何がどうなった?⇒オーシャンは箱舟だったが、そもそも世界が崩壊するのでどうなってもどうでもいいので語られてない

  • 宝田さんいきなり殺されてるの脈絡なさすぎる⇒原作でも脈絡なかった

  • あの役立たずAI何。あのAIも唐突だし、須丸さんのポジションも唐突⇒AIは唐突だし役に立たずだった

  • 侵略者はもともと地球にいたというのは本当なのか?特に伏線もないのでちょっと引っかかってる⇒侵略者というのは概念なので、別に地球にいたことがあってもなくてもいい。

  • 侵略者はなぜそんなに弱いのか?⇒具体的な理由はない。どちらかというと、子供の造形で弱いほうが、社会の分断を描写できるのでそうしただけとも。例えば超強いきもい毛虫だと社会分断が作り出せないので、テーマと合わない

  • 侵略者が築地にいた理由は?交通安全のお守りの意味は?⇒8.31の墜落のいきのこり。お守りはなく妻の形見

  • 中破壊の結果で世の中がどう変わったか?⇒変わらない。この世界はデッドエンドなので、大崩壊でも中崩壊でもどっちでもいい。そういう意味でパスワード入力で大崩壊が食い止められたのも深い意味はない。

感想の続き


この記事が参加している募集

#マンガ感想文

19,984件

#映画感想文

66,844件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?