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映画『プロメア』冒頭20分から味わえる興奮と感動

 皆さんはアニメーション映画『プロメア』をご存じだろうか?

 プロメアは2019年5月24日に公開された、TRIGGER制作のアニメ映画である。監督は今石洋之、脚本は中島かずきという豪華タッグにより作られた本作は、興行収入15億円というアニメ映画においては驚異的な記録を残している(『鬼滅の刃 無限列車編』以前に公開され、なおかつ単発のアニメ映画としてはかなり優れた記録だろう)。

 かくいう筆者も公開当時には映画館に赴き、その映像をダイレクトに味わった。作品としては気になる部分もあったものの、十分に楽しめる、チケット代の元が取れる作品であるのは間違いない、と断言できる。

 そしてそんな本作において、筆者が特に引き込まれたのが『冒頭20分間で行われる、迫力の戦闘シーン』である。これについては、実際に動画を見ていただいた方が早いだろう。公式が冒頭20分の内、3分強の映像を特別公開している。

 これを見て頂いたらわかると思うのだが、このプロメアという映画、CGの質がかなり高いのである。2Ⅾの作画にしっかりと馴染むようなCGを、全編にわたってふんだんに使用している。

 自分はCGについては全くの素人なのだが、それでも今まで見てきたアニメの中で、こんなにもアニメに馴染むCGは見たことがなかった。このCGを初めて見た時の興奮は、未だにしっかりと記憶に焼き付いている。

 それ以外にも、TRIGGER特有の作画がとても効いている部分が各所に見受けられる。3:08や3:19辺りが特に顕著で、ここでは敵組織『マッドバーニッシュ』の幹部であるゲーラとメイスが、マトイテッカーという強化服を装着した主人公、ガロ・ティモスにより凍らされる、というシーンなのだが、ここでの氷や人体の表現がとてもアニメらしいのである。

 氷漬けにされた後、手や足を氷で縛られるゲーラとメイスだが、縛られた後は微動だにせず等身大の棒のように床に転がるのだ。これが実写であれば氷を解こうともぞもぞ動いたり、あるいは気絶しているのならぐったりと柔らかく体が曲がると思うのだが、プロメアではそのような実写的表現はあまりされていない。

 これは監督である今石洋之の演出による部分が大きいのかもしれないが、とにかくアニメらしさを全面に押し出した、癖が強くはあるものの一旦ハマれば容易には抜け出せないような演出がプロメアには詰まっている。

 また、このシーン以外にもマッドバーニッシュのリーダーであるリオとガロが戦うシーンがあるのだが、ここでもパリッとした演出と2D作画ライクなCGがとても効いている。

 そして、この冒頭20分はストーリーもメリハリが効いており、20分間で最低限の世界説明とマッドバーニッシュとの交戦という『話の土台作りと掴みの見せ場』をキチンと描いているのである。この20分だけでも短編映画として楽しめるくらいだと筆者は考えている。

 プロメアは全体的なストーリーも面白い部類だとは思うのだが、この冒頭20分の出来は頭一つ抜けていると言える。それほど、初見時のインパクトがとても強かったものだった。

 上記の冒頭シーンを見て、少しでも興味を持った人、または監督・脚本が同じである『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』を見た人がいれば、この映画も是非見て欲しい。今石・中島タッグの作品を見たことがない人には新鮮な驚きが、グレンラガンやキルラキルが好きな人には新たな今石・中島タッグが見られることだろう。

(ヘッダー画像引用:映画『プロメア』公式サイト 5/24(金)全国ロードショー (promare-movie.com)

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