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ありふれた文言と新札

語彙力を気にするひとは多いけど、大した問題ではないと思う。どんなに頑張っても、あの時代に、あれだけの語彙をまるで魔術の如く使いこなせた三島由紀夫にはかなわないのだから。

今朝も湿度は80%を超えていて、空気の重厚感を感じた。奇譚な夢は一旦停止状態だけど、まさかのアノ人と電撃婚をする夢をみた、まさかじゃない気がしなくもないけど、まさかにしておいた方が人生の奇跡とアドベンチャーを、ふんだんに感じられるような気がする。写真に添えられた一言によくある「日常を切り取った」と、まるで教科書の文言のような性描写、「真夏に汗だくでするセックス」という人の語彙センスには、もうすぐデザインが変わる新札に負けず劣らずなチープさを感じる。日常はサンサーラなのだから、切り取ってくれなくて結構だし、この猛暑に、汗だくなんて嘘つきで退屈よ。汗拭きペーパーを脇に置いた上で、エアコンをつけてしてるくせに。

新一万円札は渋沢栄一より、西洋フェティシズム引用と、エロティシズムとナルシストのフルコンプリートなお方、澁澤龍彦さまにしてほしかった。さまざまな陰・淫なる文化を、陰鬱で密な部屋にて、半眼で感じるような悦びを与えてくれたこともさることながら、ご結婚前に妻の龍子さんが綴られたエピソード

「この宇宙は僕を中心に回っているからこれからもずっとそうだよ。そんなことで怒るのはおかしいよ」とシャアシャアとしているではありませんか。

『澁澤龍彦との日々』より

結婚してからの澁澤は大らかで、約束は必ず守るよい夫だったといいます。


私は語彙力を超えるセンスのある、
正直なヒトがだいすきだわ。


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