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ロスジェネ・女性の「老後のお金」が危ない!企業・個人がすべきこと

「ビジネスを通じて、子育て世代と子どもたちが希望を持てる社会をつくる。」という企業理念のもと、現在および将来にわたり、人々が「お金の心配なく」「自分らしく働ける」社会を目指す株式会社ベター・プレイス。医療、保育や介護など、人々の生命と社会生活を支える人たちの資産形成や福利厚生を支援するための「はぐくみ基金」の設立のほか、DXにより企業年金を刷新し、初心者の方でも手軽に老後の資産形成ができるような取り組みを行っています。
 
1970年〜84年に生まれたロスジェネ世代および女性は、非正規雇用であることが多いことから、人生100年時代において、老後に「貧困」に陥る可能性が高いと言われています。この層は特に「長く働き続ける」ことや「資産形成」に注目し、対策を講じていく必要があります。
 
今回はロスジェネ世代でもある弊社代表森本と、人事のスペシャリストであり数々の企業でコンサルティングを行っている株式会社 We Are The People 代表取締役の安田雅彦さん、さらに弊社カスタマーサクセス部ゼネラルマネージャー内谷尚子も加わり、ロスジェネ世代および女性の「働き方」および「資産形成」の現実を踏まえ、企業は、そしてひとりひとりは何をすべきなのかを語ってもらいました。


旧態依然の地方・ロスジェネ世代・女性「変わらない同質社会」で生き抜くには

森本:まず現在の状況を見ていきたいと思いますが、地方ではまだまだ古い体質の企業が多い現実があります。女性は実力があってもなかなかアシスタント的な位置から抜け出せない男性優位の企業体質。さらには上司などに異を唱えづらい同質社会が今なお残っています。安田さんは、この実態についてどう見ていらっしゃいますか?

安田:若い時は安い給料でひたすら働いて、でも歳をとってきたらパフォーマンスが落ちても高い給料がもらえた年功序列型の賃金制度は、もはや現実的ではなくなりました。社会情勢も経済状況も変化しているのに、地方では「普通に働いて、普通に生きていければいい、このままでいい」といった感覚があるのは事実ですね。社員と会社が互いの成長に貢献し合いエンゲージメントを高めてビジネスの成長を促そうという発想自体がない。
 
たとえば東京だと、会社も競争社会の中にあるから変わっていかなければ生き残れない。個人で見ても、人の流動があるから、自分より優秀な人がきてポジションが奪われてしまうようなこともあるわけで、自分も変わっていかなければという自覚のある人は多い。地方ではそこまでの競争がなく、だから、旧来どおりの経営や運営が成り立っている面はあると思います。

森本:地方在住で働く人や、非正規雇用の率も多いロスジェネ世代の人、あるいは女性などが、自分を守り「働き続けていく」ためにはどうしたらいいと思いますか?

安田:選ばれる人材になることです。変わる意思のない会社に不満を抱えながら居続けるよりも、そこしかないからとあきらめずに、自分の可能性にかけて挑戦するほうがいいと思います。ライフもキャリアも、自分で自分の将来を描ける人材になるために積極的に自ら動くことが、結果として自分を守ることにもつながるのではないでしょうか。

森本:弊社のカスタマーサクセスを担う内谷も同席しているので聞いてみたいのですが、女性の働き方および資産形成に対するイメージについてどのように感じていますか?

内谷:全体的な印象として、女性に関しては、特にライフスタイルが変化する機会も多いですし、キャリアに関しても危機感を常に持っている人が多いなと感じています。最近ですと、老後資金の問題や資産形成の話題などにも敏感で、何かしなくてはと感じているのではないでしょうか。
 
わたし自身はロスジェネ世代と、ゆとり世代の間である「プレッシャー世代」にあたります。就職氷河期とか、大幅なリストラがされたとか、大企業が潰れるところを実際に見ている時に就活している世代ですから、会社にあまり期待をしていないし、何があるかわからないから、個人でなんとかしなくてはいけないというのがありますね。
 
ただ、では実際に何かアクションを起こすかというと、そこで迷ってしまう方が多い印象です。何がいいのかわからない、投資と言われると一歩踏み出すのに勇気がいったり、ためらい、自分も含め現状維持に留まりがちです。
 
老後の資産形成に悩む方に、「はぐくみ基金」のカスタマーサクセスを担当している立場としてお伝えしたいのですが、はぐくみ基金は厚生年金被保険者であれば誰でも入れる制度で、積立金額も少額からスタートできます。「なんとかしなくてはいけない、でもどうしたらいいのかな」と思っている人たちに、迷っているだけではなく、まずは始めてみることをおすすめしたいです。

森本:僕の弟夫婦は、地方在住で福祉の仕事に就いています。地方に住んで情報もなく、周囲の環境的にも資産形成なんて話にもならないわけで、いきなり「投資」と話をしてもあまり響きません。だからこそ、複雑なことは何もなくて心配せずに気軽にできる積立のような制度を活用してみるといいと思います。僕たちは「はぐくみ基金」を提供していますが、他の制度でも、何でもいいので、やってみることが大事だと思います。
 
安田さんはラッシュジャパンにいらっしゃいましたが、当初、ほとんどが非正規雇用だったそうですね。ロスジェネ世代は非正規雇用の率も多く、企業年金などの恩恵を受けられていないことが多いわけですが、その辺りはいかがですか?

安田:ラッシュジャパンは小売業ということもあって、非正規が非常に多かったんです。でも簡単に雇用契約を終了できるからといって、非正規を雇用の調整弁に使うのは非人間的だと思いました。小売業は保育や介護業界と同じでなかなか人が集まらないという課題もあります。それなら、働いてくれている人材を大切にし、エンゲージメントを高めることが大事だと思い、正規雇用に変えたのです。仕事に安心して専念できる環境を整えたことで、エンゲージメントが高まり、人材獲得としても有効な手段になりました。

森本:全員を正社員にするってすごいことですが、やろうと思えばできる。人も、会社も、変わろうとする意思があれば、なんとかできるものですね。

自律型人材を育てることは社会的責任

森本:企業の経営者や人事部としては非正規を正社員にするといった施策もあるかと思いますが、ロスジェネ世代や、不安を抱えている若者が何をすべきなのか、また企業は何ができるのかについても言及していきたいと思います。
 
僕は、若い人たちこそ金融教育が大事かなと思っています。今後30年で日本の労働人口は3分の2になり、単純に言うとGDPも3分の2になる。海外の成長を取り込めるような一部の企業をのぞくと日本国内の経済活動が大きく好転するとは思えません。そうなると自分が働いて稼ぐには限界がでてくるので、お金にも働いてもらう感覚を徹底的に身につけることが必要です。
 
企業視点で言うと、給料はこれしか払えないけれど、人的資本経営の一環として「あなた達が稼ぐ給与の中から、それをどう使ってお金に働いてもらうかを会社としてサポートします」と支援することはできます。その一例が企業型DC(確定拠出年金)やiDeCoプラス、はぐくみ基金だったりします。

安田さんはいかがですか?

安田:自律型人材を育てていくことが企業の社会的な責任だと考えています。まず、成長機会が多い会社になること。そこで働くことによってキャリアが広がる、伸びる、そうすることでどこでも通用する人材になる、つまり自分の力で生きていける人材になっていく。そういう知識や経験が得られるような機会を会社が創出していくと、優秀な人材が増えるわけですし、自分を成長させてくれた会社に貢献したい気持ちも強くなりますから、人材の定着にもつながるでしょう。
 
自社でしか通用しない人材を育てて、それで経営が苦しいからとリストラしたら、出された社員はどうしたらいいんです?ある意味、外で通用する人材を育てようとしない会社は、社会的な意味合いで「悪」だと僕は思います。

森本:全くそのとおりだと思います。しかし実際には従業員のスキルを伸ばそう、キャリアをどんどん成長させていこうとしている会社は少ない。特に地方は旧態依然の会社が多い中で、どうしたらいいのでしょうか。

安田:ひとりひとりの意識も大切ではないでしょうか。最近よくウェルビーイングと言うけれど、自分の幸せについてもっともっと考えて、自分をもっともっと良い状態にすることに力を注ぎましょうよ!と言いたいですね。嫌な上司がいて、会社に不満もあるけれど、かといって自分にはさほど能力はない、別の会社に行けそうにもない。だから、そこそこ給料をくれる会社に居続ける。それは「会社に自分の人生を握られている」ような状況です。
 
そうではなくて、意思をもって自分らしく生きることをもっとリアルに考えて、努力してみてもいいのではないかなと思います。

森本:「自分には他の企業に行くなんて能力がない」と、どこかで諦めてしまっているなら残念なことです。

安田:僕は、職務経歴書を書いてみませんか、とよく勧めます。ほとんどの人が書いたことがないんですよ。会社に何年もいて仕事をしてきて、価値がないなんてことはありません。自分の職務を振り返って、どの時が一番ハッピーだったのか、やる気がみなぎっていたのかと分析してみる。自分が持っている成功のDNAを見つけて、自信を持って次に踏み出したらいいと思いますね。それこそロスジェネ世代で非正規で働く方などは、辛い時期も多かったかもしれませんが、本当に何もなかったのか?と改めて考えてほしい。絶望的にならず、今日まで自分が積み上げてきたものを見つめて、そこから次をめざしたらいいのです。

内谷:安田さんがおっしゃるとおりだと思います。たとえば、他の市場で自分の価値を測ってみてもいいのではないでしょうか。わたしより少し上の世代で、金融の一般職で、総合職と同じような業務をしているにも関わらず、一般職だから賃金の上昇が止まってしまった方がいて、試しにと思って転職活動をしてみたら、はるかに高い年収が出てきたそうです。それで転職をしたそうですが、安田さんがおっしゃるように、とにかく行動してみないと何も変わらないなとは思いますね。みんなが成功するわけではないでしょうが、ダメならまた別の市場に出ていってもいいと思うし、会社にしても何にしても、いま属しているコミュニティに固執せず、思考の転換は必要かなと思います。

資産形成・キャリアプラン。不安を抱くよりまず行動を!

森本:人生100年時代になっていくことで、将来に対する不安はふくらむばかりです。安田さんは、こうした不安とはどう対峙していけばよいと思われますか?

安田:心身ともに健康で、自分が機嫌よく働ける状態になること。僕自身、何度も転職していますが、それはどうやったら自分がよりハッピーになれるかを常に考え、常により良い道を探ってきたからです。やる気スイッチは人それぞれ違いますよね。自分はどういうところで、どういう仕事ならより力を発揮できるのか、もっとそこを考えて、次をめざして、思い切って動いたほうがいいと思います。

森本:ハッピーになれるかという話は、お金の面でもとても重要だと思います。喜劇王チャップリンは、「人生に必要なのは、勇気と想像力と少しのお金」と言いました。たとえばiDeCoやNISAでもなんでもいい、投資という行動の第一歩を踏み出すことだと思います。投資も一定の年数がたてば資産が増えたり、税負担の軽減効果だったりを実感できます。そこからまた、次の一歩へと進むことが資産形成につながります。
 
資産形成も自分のキャリアプランも、不安だ不安だと思っているだけでなく、不安を少しでも解消するために何かしらの一歩を踏み出すことが大事なんですよね。
 
安田さんがハッピーに生きるという話をされましたけど、そこにはやはり経済的な不安をとりのぞくことも大切です。将来への不安をなくしてこそ、自分らしく生きられるというのはあるので。みんなが、老後老後と見えないものに怯えている感じがあるけれど、そうではなくて、何が自分にとって不安なのかを具体的に考えるべきです。そうすれば、その不安を解消するための行動を起こせばいいだけですから。

安田:自分に何ができるかを冷静に考え、不安があるなら不安の正体を突き詰めて、その上で決断をして進んでいけるかどうかが大切ではないでしょうか。

森本:企業は従業員の成長を考えスキルアップの機会を与え続ける、たとえ給料をアップできなくても、そのお給料から少しでも資産形成ができるよう全面的にサポートする。ひとりひとりは、自分のスキルやキャリアを見直して、自分がもっとも幸せになれるよう、変化を恐れずに一歩踏み出していく。老後にせよ、お金のことにせよ、あるいはもっと別のことかもしれませんが、自分がもっている不安をしっかり追求して、その不安を解消できるような行動を起こすということが大切なんですね。
 
企業も人もみんなが幸せになる、「お金の心配なく」「自分らしく働ける」まさにベター・プレイスがめざす社会につながるお話になりました。安田さん、内谷さん、今日はありがとうございました。
 

安田雅彦氏
We Are The People 代表取締役


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