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「自由を扱う」をテーマにした練習の実践録(その3)

前記事では初日の練習についてを紹介しました。
次にこの記事では2日目の様子をまとめたいと思います。

2日目

2日目は監督のBチームの選手に実戦経験を積ませたいという意向がありましたので、紅白戦を実施しました。紅白戦はサインは全て選手にまかせ、作戦も選手次第としました。チャレンジしたという積極的なプレーにおいてのミスはOKであるとだけ伝え、まずは出来る限りの自分自身のプレーをするよう指示しました。

試合の様子は、積極的なプレーが多く、次の塁を狙う姿勢が見られた選手、守備において一つのアウトにこだわっている様子が伺えるプレーをした選手、積極的に盗塁を仕掛けていった選手などが多くいました。反面、結果が出なかった選手もいました。

私は、試合前や試合中は何も介入することはせず、観察に徹しました。そして試合後に、各紅白チームでリーダーを中心に選手間ミーティングを実施させ、試合の振り返りを話し合うようにしました。その後、それら話し合いをした内容を聞き、それに私のコメントを述べ、最後に私から総評を話しました。

当時の私の手帳に指導日誌をつけていましたが、そこにはその時にコメントした内容を記していました。

●試合前の練習は試合でのパフォーマンス発揮のために十分だったか?
●昨日の練習が生きている?
●攻めたプレーはOK。出来なかったプレーは練習すれば良い。
●紅白戦やオープン戦は戦い方を試す場所。試合でどのくらい自分が力を出せるか。
●フリー打撃・責任は自分(フリー打撃の参加不参加ややり方)
 結果出ないのは自己責任。自由に出来るということは自分の取り組み方に自分で責任を負うこと。
●BをAにするには。
 (Bの能力をAにするにはどうすれば良いか。負荷も大切だし取り組み方も大切)
●1日を流すな。

紅白戦においては、昨日の練習を生かすことができた選手もいれば、そう出なかった選手、練習を切り上げたが結果を出せた選手もいれば、そう出なかった選手などまちまちでした。試合に入る上での準備として、1日目には全体練習や自主練習において自分自身で調整する時間がありました。その時間の中で、何をするのかはその選手それぞれに委ねることとしていました。こうした自由な時間の使い方・管理の仕方が上手になることが、時間を有意義にしていくことにつながると思います。練習時間は内容や時間共に自由になったが、試合では結果を出さなければならないとう状況に置かれることで、自分自身を成長させるためには何が必要になるのか、何をしなければならないのかを考えなくてはならなくなります。この経験をしてもらおうと思い、「自由を扱う」というテーマ設定にしていましたが、選手の中には自己成長を考える機会の一つとなっていた様子でした。

ミーティングにおいては、じっくり今日の結果に向けて昨日十分な準備が出来たかどうかを問いました。また、初回から点を取りにいけるだけの準備が身体面でも精神面でも出来ていたかを問いました。ここでは具体的に掘り下げて話はしませんでしたが、選手自身で自問自答するよう話しました。

次に、紅白戦やオープン戦(練習試合)は戦い方を試す場所であることを話し、その上でただ試合に出るのではなく、選手自身が自身の個性を知り、試合においてはどのような役割を担うことで長所が生かされるのかを検討していくことが重要であることを説明しました。そして、試合の中で自分自身の能力に気づいていくには、積極的なプレーをしていかないと分からないと話しました。この話は試合前に事前に話ておいても良いのかもしれませんが、自分自身の行動を振り返らせ、その中で気づいていって欲しいという意図があったので、試合後に話ました。私にとって重要なのは、物事に対してしっかり熟考して望んでいく癖をつけて欲しいという思いがあったので、事前に「こうしたほうがいいよ」と提示するとそればかりに気を取られて、考えを操作してしまわないかという懸念がありました。

そして、日々の練習や試合は自分自身のパフォーマンスを伸ばすために、それぞれが意図を持ち、負荷を考えたり取り組み方を考えたりすることが大切と説きました。惰性で練習するのではなく、どのようにすれば自分自身の能力がBからAに変わるのか、そこを意識するだけでも考えが膨らんでいくのだと思っていると話しました。

最後に、1日を流すなという表現で、惰性で取り組むなということを伝えました。何かを変えなければならないという危機感を感じることで、与えられた時間を少しでも工夫していこうという気になるのではないかと考え、この話でミーティングを締めることにしました。そして最後に、「主体性とは?」「主体的に活動するとはどういうこと?」ということを少しじっくり考えて3日目の練習に来るように指示しました。携帯で言葉の意味を調べても良いし、チームメートに相談して話し合っても良い。「主体的に」ということを少し勉強してみてごらんとお題を出しました。

この試合の手応えとしては、非常に選手の努力を感じられるものでした。1日目の「自由を扱う」というテーマ設定に近づいてきいるかといえばそうではありませんでしたが、変化していこうという雰囲気を感じられる1日であり、3日目も継続して「自由を扱う」というテーマで臨んでいこうと判断しました。3日目の様子は次の記事で紹介します。


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