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脳科学コーチが『学問のすゝめ』を「すゝめ」る理由

■原点の一冊

 原点とか言いながら、ちゃんと読んだのは50歳になってからというオチがつきますが、「何のために学ぶのか?」の答えがこの本の中にありました。

■諭吉先生は平等主義者なの?→違います

 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」

 ちゃんと読む前まではこの一文しか知らずに、福沢諭吉って平等の大切さを唱える人なんだと、本気で思っていました。全然違いました。

 「天は人の上に~」と言わているが、世間を見渡すと「かしこき人あり、おろかなる人あり・・・」、全然そうなっていないじゃないか!これはなんでだ?

 という問題提起から始まっています。

 そして、「賢人と愚人」との差は、「学ぶと学ばざるとに由って」現れるものであるから、学びなさいと言っているのです。だからこそ『学問』を『すゝめ』ているんですね。

■何を学べばいいのか?

 賢人となるために学びなさいと言われても、何を学べばいいのかわかりませんよね。諭吉先生は、こう言っています。

 難しい字を覚えたり、難解な文章を読んだりすることもいいけど、まず学ぶべきことは、「人間普通日用に近き実学」である、つまり、実生活に役立つことを学びなさい。

 例えば、「手紙の文言、帳合の仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等」実際の仕事に役立つことです。現代でいえば、メールの書き方、会計の知識、PCスキルなどに該当するでしょう。

■そもそも何のために学ぶのか?

 結論から言ってしまうと、「一身独立して一国独立」のためです。ひとりひとりが強い個人にとなり、国力を高めるためです。つまり、日本を強くするために学びなさい、ということです。

 国のためというと、嫌な気持ちになる人もいるかもしれませんが、ちょっと冷静になって事実を見てほしいところです。

 僕らは、日本の領土に日本人として生まれて、日本語を話して暮らしている。国のために学んだり、働いたりすることは、自分と家族の生活を守ることにもなります。

■日本人が学ぶべきは正しいの歴史

 国のために学び、働くという当たり前のことにピンと来なかったり、嫌悪感を持ったりしてしまうのはなぜかというと、正しい歴史を知らないからでしょう。

 世界最古の国である日本が、どのように造られたのか。2千年以上もの間、先人たちがどのような想いで、国体を護ってきたのか。こんなに大切なことを僕らは学んでこなかったんです。

 今、日本人として生きているという事実を踏まえ、正しい歴史を学ぶと、自分の中にしっかりとした軸が生まれます。国のために学ぶ心が整います。いまどきの言葉では、マインドセットです。

■最後に痛烈なメッセージ

 「人として自ら衣食住を給する」のはカンタンなことで、「禽獣魚虫」だってやっていること。特に蟻なんていうのは、「遙か未来を図り、穴を掘って居住を作り」、冬のために食糧を蓄えている。

 昨今の世の中の空気を察するに、個人主義がゆがんだ形て広がっていて、自分さえ生活できればいいと考える人が多いように思います。そんな生き方は蟻にすら及ばないということですね。

 なかなか辛辣でありますが、人として生きていくために学んでいきましょう。

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