一年前のガンの自分への手紙

ミワユータ

2022年3月12日 08:56

一年前のガンの自分への手紙

ヘイ！絶望してるゥ！？

わかるよ、でもすごくない？
しこりもないのに、自分で気づくなんてさ。
ラッキーだったよ。

待合室で絶望して、
こふじに言われるよね。

「がん」を検索するな、って。

それは正解。
何を読んだって怖くなる。
だからいいんだよ。
周りに甘えて、周りから必要な説明だけ受ければいい。

メンバーは頼れるよ。
誰も絶望せず、誰も悲観せず、
私がちょっと下痢になったくらいのテンションでいてくれるから。
多くの闘病生活は笑って過ごせるよ。

泣いたのは数回だと思う。
でも半分くらいは嬉し涙だ。

泣いたのはさ、抗がん剤が終わっての不調で、
さらに洗濯機の調子が悪かった時。
意味不明だけど糸が切れたように泣いてしまった。

まあいいよ、泣くのってタダだしね。

あと、子宮頸がんと子宮体癌の検査の時。
痛いし怖いし、しかたない。
でもその多くは先生によって平気になっていく。

胸を切った傷を鏡で看護師さんに見せてもらった時、
自然と「気に入った」って言葉が出る。

どんなに不安でも、あなたはユーモアがある。
だから大丈夫なんだよ。

抗がん剤で抜けた髪、
スキンヘッドは最高に似合うから、楽しみにしてなね。
そこから伸びたベリーショートも人生史上1番評判がいい。

集まったチャリティーはすごい額。
だからね、ちゃんと生きていかなくちゃ。
間違っても犯罪に手を染めるようなことはしちゃいけない。
その体は、半分くらいはみんなにもらったモンなんだから。

今、3/12の朝。
あなたは手術用のソックスを履いてる。
乳輪に刺す注射、これだけは一瞬だけど死ぬほど痛いから頑張れ。

不安なんかない。あなたはワクワクしてる。
廊下を歩いてる時、ステージに向かう時を思い出してるんだ。

当時、こう言ってるよ。

どこまでもふざけてるなぁ。

帰り他のバンドさんの物販も見てってください、は、
バンドマンmcあるある。

手術の後から翌日の朝まではきつい。
でもチャリティーに参加してくれたみんなの名前を見て、
感動して号泣するよ。

一年前の私へ。

こっちは不調も多いけど、メンバーみんな仲良くやってます。
エッセイや写真から知ってくれた人もたくさんいます。
遅れたけど新譜もリリースできたし、今日は一年記念パーカー発売。
私生活でも色んなことがあって、ツイテないですね、なんて言われるけど、
私はそうは思わない。逆だよ、って思うよ。ツイてる。生きてるからね。

何度も気持ちで負けそうになりながらも、
その都度、ねじ伏せて頑張ってきた。偉かった。

大丈夫。ライブやれてるよ。
最近は不調もあるし、
色んな薬飲んでるし注射も欠かせないけど、やれてるよ。

おっぱいと引き換えにしてぜーーーんぜんいいよ！って思ったバンド生活、
今送れてるよ。

麻酔はすぐ効く。大丈夫。息をゆっくりして。
目が覚めたらオッドパイの誕生だ。

救われた分、救うんだぞ？ミワユータ。