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課題積むタワー

六本木一丁目。
駅の横、どこまで高いのか『タワー』と名のつくビル。
首の痛い私には見上げても先が見えない。

避難してください!とかなったらどうするんだろうな‥

そんなこと漠然と思いながら、バーコードやらQRコードやら出して自動発券機で入館手続きを済ませ、お洒落なガラスゲートを通って、やたらと大きなエレベーターへ向かう。

ザ・ビジネスマンという風貌の人や、Tシャツの今どきIT社員て感じの人が次々と乗り込み、ボタンすら押さず澄ましている。
そうか、このエレベーターは乗ったら自動的に29階に行くんだ。
そしてそこから2回エレベーターを乗り継いでもっともっと上に行くのか‥

私が行った先は、ネットショップでお世話になっている会社の本社。
なぜか打ち合わせと題して呼ばれたのだ。
よく聞いてみると、毎月途切れず売上げが上がっていることと、商材が魅力的と判断され、現状聞き取りと売上げUPのアドバイスをくれるということらしいのだ。

売れているとはいえ、毎月さほどの金額ではないのになぜ?と思いつつも、勉強させていただける機会はありがたいと思い訪問した。

オフィスに着いたら、またまた最新機器の受付で担当者と自分を入力して呼び出す。
最新の危機管理なのかな。
今どこもこうなのかな。
ぼんやりそう思ったけど、考えてみたらここはトーキョー、首都のど真ん中の最新の最先端みたいなもんか。
私がこんなトンチンカンではなく、優秀なハッカーだったらとんでもない悪事でも働けちゃったのかな。


そして個室に通されると、にこやかに爽やかに面談は始まった。

内容はほぼダメ出し。
Instagramのフォロワー数3850人に対して、連動させているショップでの売上げが少ないのだ。
商品に対するいいね等も少ない。

要は、活かしきれていないということだ。

投稿写真に統一感がない、商品以外の余計なものが多い、ショップに直で飛んでいない、タグが‥ペルソナが‥など指摘されることは山ほど。
でも、だからこそこのフォロワー数になれたのではとも思うが、ショップのInstagramなら売上げに繋がらないと意味がないと言われたらそれまでだ。

そんなことはない!私はこのやり方で成功した!
と、反論できるほどの売上げ実績がない。

だけど、売上げ以外にも大事にしたいことはあるし、フォローしてくださっている方々にも楽しんでもらいたいと主張してみる。
それは個人アカウントならいい。
だけどショップのアカウントなら目的は売上げでしょうと。

おっしゃる通り。
おっしゃる通りなんだよね。

売れなければ続けていけないのが商売。

好きな人だけ買ってくれればいいとは言ってられない。
どんな良いものや面白いものを作っても、売れなければ続けて行くこともできない。
たくさんの人に買ってもらわなくては成り立たないのだ。
しかもコンスタントにずっと。


「このインプレッション数からすると‥」
「待って、インプレッションってなんですか?」

私の聞きたいことは都度カタカナに訳され、
それを都度質問し、その都度丁寧に教えてくれる。
だから時間がかかってすんなり進まないのだけれど、嫌な顔せずに説明してくれる担当者は良い人だと思う。

この人は、会社に利益をもたらさなければいけない。
そのためには多くの出店者の売上げを上げなければならない。
そのためには、多くのフォロワーをポテンシャルと捉え、それを持つ出店者のモチベーションを上げ、売り方や運営方法にテコ入れしていこうと努力されているのだろう。

そしてそれに選んでいただいたことは有難いことだ。
私は何の才能もない人間だとは思わないけど、とりあえず商才は全然ない。
教えてくれて勉強させてもらえるのは本当に有難い。
ありがたいんだけど。


どのマスにもびっしり課題が書いてあるすごろくのように、どこに進んでも課題ばかりだ。
サイコロを振ればいつも1ばかりで、ひとつ進むごとに課題。
ジャンピングチャンスのマスはないのかな。
『2マス戻る』とか、『ふりだしに戻る』ならそこらじゅうにあるのに。


そして、目的は売上げだけなのかな。
いやでも、まずは売上げがないことには話にならないのか。

でもまだ消えるわけにはいかない。
このゲーム、クリアできるのか。

課題はまた、積んだだけ。


#エッセイ #仕事 #ネットショップ #商売
#お店の未来

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