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ベルリンにあったビアレストラン(アイコンの話)

壁紙とヘッダとアイコンと

パソコンや携帯を新調して最初にやることは、画面のサイズに合った壁紙作りです。基本的に、全て自分が旅先で撮った写真を使います。

現在のiPhoneのロック画面。ヴェネツィアのリド島。


PCの壁紙の1枚。ハンブルクの倉庫街。
PCには20~30枚くらいの画像を用意して、ランダムで表示するようにしています。

同様に、新しいSNS等のサービスに入って最初にやることは、ヘッダ画像の作成です。noteに入会したときも、まずはヘルプセンターを見て、縦横比に上手く合う画像をHDDの中から探し出す作業から始まりました。

登録できる画像の推奨比率は 1.91:1 です。

● 基本サイズ
・1280 × 670px
 記事の見出し画像と同じものを使えます。
 中央部分 216px がヘッダー部分に表示されます。

●より綺麗に表示するなら(おすすめ)
・1920 × 1006 px
 中央部分 324px がヘッダー部分に表示されます

ヘルプセンター「登録画像の推奨サイズ一覧」「2.クリエイターページ/マガジンヘッダー画像」

この「中央部分 324px がヘッダー部分に表示されます」という条件がなかなか曲者で、真ん中の細長い部分が見栄え良く収まる写真を探すのに苦労しました。

とりあえずのヘッダ画像。
ミュンヘン空港、ドブロヴニク行きの飛行機に乗るタラップから。

しかし、プロフィールに表示するアイコンは、どのサービスでもだいたい2つの画像を固定して使い続けています。

アイコンのお酒

自分がSNS等で主にプロフィール欄のアイコンに使っているのは、下の2つの画像です。

ベルリナーヴァイセ・緑。
ベルリナーヴァイセ・赤。

これは、ベルリナーヴァイセ Berliner Weisse (ベルリーナヴァイセ、ベルリーナーヴァイセ)というベルリンのご当地ビールです。小麦から醸造した白ビールの一種です。発酵に乳酸菌を用いるために単体では非常に酸っぱく、通常はシロップで割ってストローで飲みます。

ドイツでベルリナーヴァイセを頼むと、「赤」か「緑」のどちらにするかを聞かれます。ラズベリーのシロップで割ったものが「赤」、ヴァルトマイスター(クルマバソウ)というハーブのシロップで割ったものが「緑」です。
(赤と緑以外のシロップも稀にあるようです。また、近年はクラフトビールからそのまま飲めるベルリナーヴァイセも出てきています。)

この2つのベルリナーヴァイセは、いずれも同じレストランで、違う年に撮ったものです。緑が2007年に、赤が2012年に訪れたときの写真です。

今回は、このベルリンにあった店の話です。

ベルリンの「ブラウハウス・ミッテ」

アイコンのベルリナーヴァイセを撮った店は、ベルリン中心部のアレクサンダー広場駅 Alexanderplatz の近くです。

アレクサンダー広場には有名な世界時計 Weltzeituhr があり、

見上げればテレビ塔  Fernsehturm が天を突いています。

2階がブラウハウス・ミッテ。
1階にはイタリアン、タイ・ベトナム料理、インド料理の店が見える。2012年。

この店がビアレストラン「ブラウハウス・ミッテ Brauhaus Mitte 」です。テレビ塔からカール=リープクネヒト通りを挟んだ向かい側で、アレクサンダー広場駅を降りてすぐの便利な場所です。


2回目の訪問

赤のベルリナーヴァイセを飲んだのは2012年、2度目の訪問のときでした。

ブラウハウス・ミッテの店内。天井は高くないものの、吹き抜けになっていて開放感があった。

店の中にはタンクがあります。樽生のビールはここで醸造されて、造りたてがそのまま出されます。

店内に鎮座するタンク。
店内醸造のピルスナーと、湯気が立ち上るアイスバイン。
アイスバインの大きさがいまいち伝わりにくいが、ビールは500mlジョッキ。

樽生のピルスナーと一緒に頼んだのは、ベルリン名物のアイスバイン(豚すね肉の煮込み)。これで一人前です。だいたい500gくらいでしょうか。それだけでも大変なボリュームですが、付け合わせに結構な量のポテトと豆のピューレ、それにザウアークラウトが下に敷かれていて、肉のインパクトに気を取られているとこちらの方に胃がやられます。

これはキバ KiBa というノンアルコールカクテル。
キルシュ(さくらんぼ)ジュースとバナナジュースが、だいたい1:1から1:2くらい。
キルシュ Kirsch とバナナ Banane で "KiBa"というわけです。

アイコンの赤のベルリナーヴァイセは、このとき飲んだものです。
これはブラウハウス・ミッテの醸造でなく、ベルリナーキンドル Berliner Kindl のもの。ベルリナーヴァイセは造っている醸造所が非常に少なく、街で見かけるのは大抵このベルリナーキンドルです。

ベルリン滞在中、わざわざアレクサンダー広場のこの店を訪ねたのですが、それは何故かといえば、ここへの1回目の訪問がどこか忘れられない思い出だったからでした。


最初の訪問

2007年。自分はライプツィヒ大学の語学研修(いわゆるサマーコース)に参加しました。折角の機会なので直接ライプツィヒには向かわず、コースが始まる前日はベルリンを観光していました。

アレクサンダー広場駅とテレビ塔。2007年。

特にあてもなく、イーストサイドギャラリー、ベルリン大聖堂、博物館島、ブランデンブルク門、国会議事堂、当時できたばかりのベルリン中央駅などを歩きながら、夕方にアレクサンダー広場のテレビ塔まで来ました。

西日が差し込むテレビ塔展望台。

テレビ塔の展望台に上がってベルリンの街を眺めたとき、ふと、翌日からの語学研修のことが頭について離れなくなりました。

ライプツィヒのサマーコースは、あるとき、研究も勉強も私生活もあまり上手くいっていないときに急に思い立って、自分の所属大学を経由せずに直接申し込んだものでした。(今は知りませんが、少なくとも当時は個人で普通に申し込めたのです。)

ドイツ行こそ2度目だったものの、ドイツ語はほとんど出来ない状態。そこに単身乗り込んでいく。しかし、ここで首尾良く勉強と調査(期間中は学生資格が得られるので、様々な図書館での資料調査も渡航の目的でした)が進めば、今ひとつな自分の状況も打開できるかも知れない。

「期待と不安」というお決まりの表現がありますが、まさにそうとしか言いようのない、ない交ぜの感情に囚われて、気がつけば円い展望台をぐるぐると何周もしていました。

テレビ塔の展望台から。ベルリン大聖堂、博物館島方面。

そんな思いを抱えて展望台から降りてきて、とはいえ宿に戻る前に何か食べないとなと考えたところに目に入ったのが、ブラウハウス・ミッテでした。

2007年のブラウハウス・ミッテ。
夕焼け空だが、ドイツの夏は日が長いのでこのとき既に午後9時頃。

何はなくともお腹が空いたと黒ビールを飲み、適当な料理を頼みました。

もう何というメニューだったか思い出せない料理。
ポークステーキにチーズと茸のクリームソースがかかったやつ。ポテトのクロケット添え。

このアカウントのアイコンは、このときに飲んだベルリナーヴァイセです。

空腹が満たされると気分が落ち着くもので、酔いも手伝って、まあ何とかなるでしょう、頑張っていきましょうという楽天的な心地になったのでした。

実際には、この後ライプツィヒでは、そんな甘過ぎる考えを見事に打ち砕かれて七転八倒する日々を迎えるのですが、それも終わってみれば良い思い出となりました。

店からアレクサンダー広場駅を眺める。

ここは場所柄、観光客の入りやすい店だったように思います。アレクサンダー広場駅はベルリンの交通の要衝です。空港行きのバスも出ていたので、時間調整をしながらベルリン最後のひとときを過ごすにも適していそうです。
その意味では、もしかしたらビールも料理も「観光客向け」で、グルメ的には見るべきものの多くない店だったのかも知れません。

しかしながら、グルメ的に名店であるかどうか、有り体に言えば料理やお酒が美味しいか否かと、訪問者にとって良い店として記憶に残るかは全く別の評価軸にあると考えます。
(この店の味が悪かったというのではありません。実は、特に1回目はあまり覚えていないのですが、かといってネガティブな記憶もないので、多分普通に美味しかったと思います。)

ここで何か特別な出遇いや出来事があったわけでもなく、ただご飯を食べたに過ぎません。今こうやって書いてみても、エピソードとしてとても弱く、だから何だと言いたくなるような話です。それなのに、自分にとってここはどことなく忘れられない店となり、5年後に再びベルリンを訪れたときにはわざわざ訪ねて行ったのでした。

そして、そのときの写真を今でもアイコンに使い続けているわけです。


ブラウハウス・ミッテの今

さて、ここまで書いてきたブラウハウス・ミッテですが、この店は既にありません。
2016年にレムケ Lemke という新興ブルワリーに買収された後、閉店してしまいました。

現在は、レムケが経営する別のビアレストランとなっているようです。

閉店を知ったのは2020年のことでした。それまで、自分の頭の中ではアレクサンダー広場の駅前にブラウハウス・ミッテがあり続けていて、いつかまたここでビールを飲むんだと願っていたので、もう随分前になくなってしまっていたと知ったときは、身体から力が抜けたようになりました。

レムケはベルリンのクラフトビール第1号だそうで、しかもなかなか意欲的で新しい味のベルリナーヴァイセを造っていると聞きます。ここのビール自体にはとても興味があります。

しかし、もし次にベルリンに行く機会が訪れたとしても、跡地のこの店には入らないような気がします。何だか思い出を上書きしてしまいそうで、仮にレムケを飲むにしても別の店でということになりそうです。


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