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僕が見たアメリカ[7]~これだから異国の生活は面白い ~

藤井拓哉(英語講師)

英語がわからないことによる「差別」

アメリカという国を語る上で、切っても切れないのが「差別」だ。

「人種差別」は、言わずもがなだが、アメリカに行く多くの日本人がまず経験するのは「言葉がわからないことによる差別」だろう。アメリカ人は、ストレートに物事を言ったり、露骨に態度に表したりすることが多いためこちらが受けるショックも大きい。

私の友人は、アメリカの空港に着くなり、いきなり洗礼を受けたと言う。

「お腹が空いていたから、ハンバーガー屋に行ったんだけど、店員が何を言っているのか全くわからなくてね。
何回も聞き直すうちに、店員が露骨に嫌そうな表情を浮かべて……😨
おそらく、何を食べたいのか聞いているのだろうと思い、慌ててメニューを見て、食べたいハンバーガーの番号を言ったのだが、それも全く通じない。
え?どうしてと思って、メニューをよく見たら、私はそのハンバーガーのカロリーをただ読み上げていただけだったんだよ。
そりゃ〜、通じないよね😆」

と、今では笑い話となっているこのお話だが、当時はすごい凹んだという。
 
もちろん、アメリカ人にも人助けをしてくれる優しい人たちはたくさんいる。

「場所がわからず、キョロキョロしていたら、おばあちゃんが声をかけてくれた」
「列で嫌がらせをされた際、後ろの人が助けてくれた」
という話も聞いたことがある。しかし、私の経験上、親切な方々はレアだ。

では、差別を受けた場合どういう対応をしたら良いのか?🤔
 

言い返す場合は、最悪日本語でもOK!


私の理想は「微笑んで許す😊(相手にしない)」だ。

基本的に「言葉がわからない」という理由だけで差別をする人たちは心が貧しい証拠。そのため差別的な態度を取られたら 「もしかしたら、この人は今日嫌なことがあったのかな?それとも、人生自体に不満を抱えているのかな?🤔 」と相手の立場を理解し、優しく微笑んでスルー。そしてスマホの翻訳機能を使うなどして温厚に事を済ませるというのが私の理想……だが、そんな簡単にはできない!!

では、負自己防衛のために何をするべきか?


私の答えは「こちらも怒っている態度を見せ、何でも良いので言い返す(相手にナメられないようにする)」だ。

私の経験上、相手は「言葉がわからない=言い返してこない」と考えているため、こちらが明らかに怒っている表情で、少し強い口調で What?!😡 と一言、言うだけでも全然違う。相手は言い返されたことに驚き、言葉を失う。

また「ナメられること前提」で、あらかじめ何を言うか決めておくというのも良いだろう

例えば、強い口調で Speak slowly, will you?(「もっとゆっくり話して」という命令表現。
Speak slowly. より柔らかいが、Please speak slowly. よりも強い言い方) と言うのも効果的だ。

スマホを取り出し、音声認識機能を使い Say it again.(もう一回言って)と相手に再度言わせて翻訳させるのもありだろう。
もし言葉が思いつかなったら、最悪日本語で文句を言っても良い。
不思議なもので「こっちだって怒っているんだぞ!😡」という気持ちは伝わり相手は怯むことが多い。
 
やはりアメリカという国は「アピールしてナンボ・自分の意見を言ってナンボ」の世界だと思う。我々日本人は英語を話す際、文法や単語など「何を言うか」についつい囚われがちだが「どう言うか」も注意するべきだろう

藤井拓哉(ふじい たくや)
1984年生まれ。父親の仕事の都合で3歳~6歳までと、15歳~24歳までをアメリカのオハイオ州で過ごす。オハイオ州立大学、同大学院で教育学を学び、日本語の教員免許とTESOL(英語を母国語としない方のための英語教授法)を取得。帰国後は、宇都宮大学で英語講師を務め、数学、化学、生物学、物理学を英語で学ぶ「理数系英語」の講義を定期的に行い、2010年と2013年にベストレクチャー賞を受賞。筑波大学、上智大学などで英語の指導を行う。

「日本における英語教育格差是正」を目標に「全て無料・登録不要」で学べる「基礎文法学習」「英検対策」「TOEIC対策」など多数の英語教材をホームページ上にて作成、公開中。
著書に『たくや式中学英語ノート』シリーズ全10巻(朝日学生新聞社)、『たくや式どんどん読める中学英語』シリーズ(朝日学生新聞社)、『MP3CD付き ガチトレ 英語スピーキング徹底トレーニング』シリーズ(ベレ出版)。TOEIC 955点、TOEFL 101点。
ホームページ:https://withyoufujii.com/
Twitter : @gachitore1


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