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何のためのCSなのか

コールセンターでマネジメントをしています。一般的にコールセンター部門は社内でカスタマーサービス部、お客様サービス部のような名称の組織に属しています。

コールセンターの目的(=ミッション)は「CS(お客様満足度)を高めること」という軸で設定されています。組織名や、「お客様満足度」という用語は会社によって異なるかもしれませんが、目的はほとんど同じだと思います。

従業員は「目的」と「手段」を理解しているか

コールセンターの従業員は頻繁に「お客様のために」とか「顧客満足が」という発言をしますが、「では、なんのためにお客様満足度を高めるのですか?」という問いを投げかけられて即答できる人は少ないと思います。

さらに言葉を変えて「お客様満足度を高めることは、あなたにとって『目的』ですか?それとも『手段』ですか?手段だとしたら、その先の目的は何ですか?」と聞いても、まず答えは返ってこないでしょう。

※もしかしたら「私はお客様のために働くことがやりがいです」という回答があるかもしれませんが、それは的外れです。個人のやりがいの話ではなく、従業員としてのミッションの話だからです。

私が過去に経験したコールセンターで、実際にこの質問をしたことはありませんが、おそらくほとんどの人が答えられなかっただろうと思います。いま思うと反省点なのですが、従業員がミッション(=目的)を認識していないか、漠然とした理解に留まっていたということです。

従業員が、即答できないまでも、自分なりの理解を語れなければ、日々の業務で行動にはつながっていないはずです。

「目的」と「手段」の関係

目的はミッションであり、その目的を達成するための方法が「手段」です。「目的と手段」は「戦略と戦術」「WhatとHow」とも言われます。

目的と手段は役職や役割によって異なります。上位層の目的を達成するための「手段」が、下位層の「目的」と一致することが多いと思います。イメージ図は下記です。(※絶対にこういうもの、というわけではないです)

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マネージャーの「手段」と、部下であるスーパーバイザーの「目的」はイコールで、スーパーバイザーの「手段」とオペレーターの「目的」がイコールです。

具体例を示します。

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マネージャーの目的が「来月のオペレーター人件費(=コスト)1,000万円」であった場合、手段を「CPH(1時間あたり処理件数)=10.0件」の達成とします。

すると、マネージャーはスーパーバイザーに「CPH10.0件」を目的として指示します。そしてスーパーバイザーは手段として「ACW(後処理時間)=2分」の達成とします。

さらに、スーパーバイザーはオペレーターに「ACW2分」の達成を目的として指示します。そしてオペレーターは手段として「資料を整理する」などを設定します。

このように「目的」と「手段」は役職や役割によって異なります。同じアクションをしていても、役割によってそれが「目的」なのか「手段」なのか一致しているとは限りません。

上位者はより上位概念、その先の目的を持っています。会話が噛み合わない時は、このように視座が合っていない可能性もあります。

お客様満足度を高めるという「目的」と「手段」

「目的」と「手段」とはなにかを説明したので話を戻します。

「お客様満足度を高めることは、あなたにとって『目的』ですか?それとも『手段』ですか?手段だとしたら、その先の目的は何ですか?」

まず「目的」か「手段」かという問いに対しては、役職によって異なります。おそらくマネージャーにとっては「手段」ですが、オペレーターにとっては「目的」でしょう。スーパーバイザーは位置づけがコールセンターによって異なるのですが、管理者として位置づけられていればマネージャーと同様に「手段」でしょうし、現場プレイヤーという位置づけであれば「目的」かもしれません。

「手段」の場合、その「目的」は何かという問いですが、ビジネスモデルや会社によって異なるものの、おそらく経済的な目的が設定されていると思います。お客様満足度が高まる、イコール、解約率が下がる、再購入の確率があがる、結果として売上や利益が増えるという目的だと思います。

以上です。今回はだいぶ概念的なことを書きましたが、コールセンター部門は目的(=ミッション)が抽象的で曖昧、かつ、どこのセンターでも同じこと言ってるようなものが多いですし、従業員の流動性も高いので、なんとなく仕事をしているということになりがちです。

せっかく「お客様のために」というような立派な発言をしていても、何のためにCSをやっているのか、従業員がその意味を理解していないと、行動が薄っぺらいものになってしまい、本当にお客様のための仕事ができないように思えたので書きました。画一的な答えはないので、なんとなくではなく、考えること、議論すること、理解することが必要だと思います。

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