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収益貢献という優先順位に囚われないこと

コールセンターでマネジメントをしています。インハウスでマネジメントをしていると年度や半期のタイミングで活動計画を調整するということがあります。どういうサービスを展開するのか、どういうシステム改修を行うのか、大きく影響するのはシステム開発のリソースです。限られたエンジニア稼働を各部署が取り合うというのは、よく見る光景だと思います。

各部署がそれぞれやりたいことを挙げて、優先順位を決めて、並べてみて上から順番に対応するという決め型が取られている会社が多いと思います。

その際、コールセンター部門はだいたい負け組です。なぜなら、売上貢献、利益貢献、つまり「収益」が優先順位の軸である場合が多いからです。

コールセンター部門からの改善要望は「オペレーション自動化」で手動でやっているものをシステムで一括処理や自動処理できるようにして欲しいとか、「お客様の利便性」でお客さまがマイページで操作したり参照したりできる項目を増やして欲しいというような要望が多いです。

それをやったらいくら収益に貢献しますということが表しにくかったり、今のままでも会社は潰れないよね、社員には引き続き手動で頑張ってもらって・・という結末になりがちです。

他方、販促部門、マーケティング部門は勝ち組で、新機能のリリース、新サービスのローンチと収益的にも見せやすい、華やかなイメージもあり、また、「やらないならば売上は無くてもいいってことか」という強気な姿勢に屈するということも何度か見てきました。

さらにシステム開発部門とマーケティング部門は関りも多く距離が近いため、社内の根回しがしやすいということもあるかもしれません。

ここまでを一旦まとめると、

・コールセンター部門の要求は後回しにされがち
・後回しでやるならいいけど、いつまでも後回しされて実質やらない
・販促部門の要求は優先されやすい
・理由は収益貢献という軸が優先順位の定義になっているから

この場合の問題点は、対応することを決めるにあたって「優先順位」という方程式にあてはめるだけだと、その定義が「収益貢献」である場合、長期的にコールセンター部門の要求が後回しになってしまうことです。

「短期的」だったり、「今期に限って」と期間限定であれば、やむを得ないかもしれませんが、習慣になっていて「お客様のマイページが使いにくい」「問い合わせフォームが古くさい」など既存顧客の利便性が後回しだったり、社内オペレーションが改善されないで、システムだったら数秒で終わることをオペレーターが時間をかけて処理をしていたり、単に時間がかかるだけでなく、手動なので入力ミスや処理漏れが起きやすいまま何年も続けているということがあります。そして入力ミスがあれば「オペレーターの質が~」という話題になりがちです。

では、この「コールセンター部門の要求が後手になる問題」をどうすればいいか。それは、システム開発のリソースのうち、20パーセントは収益貢献に囚われずにコールセンター部門のために使うと決めておくことが有効でした。

そもそも、そういうルールにすることが難しいかもしれませんが、以前にこのルールで対応するようにしたところ、いつまでも変わらないということは無くなりました。要望がお蔵入りして、何年も人の手でやってるとか、使いづらいマイページが放置ということが解消されました。

直接的な収益貢献(新機能やプロモーション)だけを優先順位の軸としてリソースすべてを振り切るのではなく、「改善」という軸を別に持つことが有効です。

システム開発に限らず、コールセンター内のタスクでも同じような発想が必要かもしれません。「必要性」という単一の軸だけで、リソース配分を決めるのではなく、コールセンターというホスピタリティやアイデアを持っている人が多いチームであれば「やりたい」という軸も別に持って、「必要性はあまりないけど、やってみたいこと」をやってみるのもいいと思います。もちろん、価値観にあわないこと、誰かの迷惑になることはやらないという見極めは必要です。

以上です。優先順位が収益貢献だけという価値観の組織、以前よりは減ってきていると思いますが、まだまだあるように思えます。だいたいそういう会社はWEBページが古くさい、逆に、お客様のことを意識している会社はWEBページが心地いいデザインになっているように思います。

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