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会議で「発散」と「収束」を明らかにすること

コールセンターでマネジメントをしています。コールセンターではオペレーターが電話対応をしていたり、事務処理をしていたり、いわゆるオペレーションが日々繰り返し行われています。

オペレーションは運用ルールに基づいて行われており、運用ルールに企業としてのお客様に対する姿勢や価値観があらわれます。

例えば、通販商品の返品ですが、これはクーリングオフの対象であれば、企業ごとに運用判断があるものではなく一律で対応しなければなりませんが、クーリングオフの対象ではない場合の返品ポリシーは企業ごとに異なります。

商品を開封していたら返品が不可として徹底している企業もあれば、申告があれば現場の裁量で返品を受け付ける企業もあります。これらは商品特性(食品であれば返品は原則不可、通信機器であれば初期不良の可能性があるなど)もあるので返品を受けるから良い企業、受けない企業は悪い企業ということではありません。

企業ごとにそれぞれ運用が異なるのですが、運用はコールセンターの管理者が決めている場合もあれば、運用管理の担当チームが専属で旗を振って決めている場合もあります。

余談になりますが、経験上、運用管理を現場のスーパーバイザーが行っているセンターはあまり運用管理がうまくいってないケースが多く、専任で運用管理チームを持っているとやはりうまくいっているケースが多いように感じます。現場の実務知識を知っているという事と、運用管理はスキルセットが異なるということかもしれません。そのため、「あの人は実務知識があるから」を理由に管理をまかてしまうのは危ないです。

運用は複数の関係者が議論をして決めるのが一般的だと思います。今回は会議で議論をするときに「発散と収束を意識すること」が大事だと考えたので書いてみます。

なにかを決める時、基本的にはまず前半に選択肢を広げる段階(発散)があって、後半に選択肢を絞る段階(収束)があると思います。

なぜ「発散と収束を意識すること」が大事かというと、「発散のときに収束させる人」や「収束のときに発散させる人」が一定数いて、そういう人がいることで議論が円滑に進まなかったり、いわゆる「やりにくい」状況になりえるからです。

例えば、「発散」の段階では、議論にあたって必要な情報を全部ならべてみましょう、リスクを洗い出してみましょう、アイデアを出してみましょう、プロコンを整理してみましょう、ということをすると思います。

この段階では、とにかく量を出してみましょうということをしたいのに「収束させたがる人」は、せっかちだったり、まとめるのが自分はうまいですアピールだったり、考え浅く結論を出せばいいと理解して「それって、つまりこうでしょ。以上、もういい?」みたいな発言をして、議論の進行を妨害してしまったりします。

本人は無駄な会議を早く終わらせてあげたつもりになるかもしれませんが、発散段階では参加者の腹落ちだったり、リスクの洗い出しだったり、説得力を持たせる結論を出すための多角的な意見の出し合いだったりが目的なので、早く終わらせることが目的ではなく、目線がずれている状態です。

こうならないために「いまは発散の段階です。収束は後でさせるので、まずは広げましょう」という認識合わせが大事だと思います。

「収束」の段階は、すでにある程度の時間を費やして、納期もせまっているのでまとめに入らなければならない、完成度よりも納期を意識しなければならない段階です。基本的に、参加人数が多ければ多いほど、全員の納得、腹落ちは無いものだと思います。よほど価値観が近しい人だけの集団であれば、全員納得ということもあるかもしれませんが、一般的にはどこかで線を引かざるを得ないケースの方が多いと思います。

この収束段階で「さあ、まとめに入ります。資料もほぼ完成したので微調整を反映させたら提出です」というときに「あの~、すいません・・、もしかしたら、、こっちのほうがいいかもしれないって思っちゃいました・・・」と言い出す人がいます。思っちゃうだけならいいのですが、ちゃぶ台返しをしようとチャレンジしはじめて、優しいファシリテーターが延々と話を聞いてしまい、まわりがうんざりしていることがあります。

ひどい場合は会議が終わった後に「やっぱりこっちの方がいいと思ったので資料を作りなおしてみました、皆さん、確認してどちらがいいか意見ください」というメールを送ってしまう人もいました。

こういう人も、目線がずれているというか、状況を認識できていないのだと思います。「これまで議論は十分にしてきました、いまは収束段階なので、これ以上に異なる意見があっても基本的には受け付けません」という宣言をして認識をあわせておけば、万が一、発散させはじめる人がいても、クロージングできます。

いまは「発散なのか」「収束なのか」をファシリテーターが明らかにすることで、議論において、参加者も「いまは何でも言っていいのか、もうまとめに入らないといけないのか」がわかりますし、ファシリテーターも舵取りしやすくなるので大事だと思いました。

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