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保留中のオペレーターへの指示について

コールセンターでマネジメントをしています。オペレーターがスーパーバイザーに質問をするシチュエーションとして、お客様対応中の「保留」があります。今回は、保留中のコミュニケーションについて書きます。

保留というシチュエーション

お客様対応中に、オペレーターは電話を保留することがあります。なんらかの処理をする場合、回答内容をマニュアルで調べる場合、不明点があってスーパーバイザーに質問する場合などです。

なんらかの処理をする場合とは、例えば住所や電話番号の変更で、顧客管理画面の操作をするのに数秒から数十秒かかることがあります。この時に、電話を保留せず、雑談で間をつなぎながら操作をするという人もいますが、これは高等テクニックですし、意識が分散してミスを起こしやすくなるので、いっそのこと保留してしまったほうがベターだと思います。

その他にも、回答内容を暗記していないのでマニュアルなど資料を調べるために保留することもありますし、自己解決できそうになければスーパーバイザーに質問をすることがあります。

こういうコミュニケーションは困る

オペレーターが保留中にスーパーバイザーに質問をしますが、質問をされたときのスーパーバイザーの対応はとても重要です。ここで良い対応ができるかどうかで、オペレーターから、あの人はアタリだハズレだと裏で評価されます。評価のためにというのは微妙に違うのですが、それくらい保留中のコミュニケーションは印象に残りやすいので重要ということです。

■保留中に困るコミュニケーション
①自分で調べてパターン
②決めつけパターン
③禅問答パターン

①自分で調べてパターンとは、「前にも教えたよね」「あなたはどう思う?」「マニュアルのどこに書いてあるかわかる?」「まずは自分で調べてみて」とその場で修業が始まってしまうパターンです。これは最悪なパターンだと思います。

スーパーバイザーとしては、安易に質問をする習慣をつけてほしくない、自分で調べる事で知識が身につくと考え、オペレーターの成長を期待しているからこそ、自分で調べてパターンをやってしまうのだと思いますが、ひと言でいうと「今じゃない」です。

焦って調べても頭に入らないですし、まずはお客様をお待たせしないことを優先し、終わってから覚えればいいことです。

②決めつけパターンは、人の話を最後まで聞かないで、すこし状況を説明しただけで「どうせこういうことでしょ、この場合はね」と発言ターンを急に持っていかれるパターンです。

このパターンの何が困るかというと、「こういう場合はね」とバーッと説明されているときに「いや、今回はそうじゃなくて・・」と思っても、勢いに圧倒されて止めにくいことが少なくないからです。

オペレーターはどのタイミングで話を止めればいいのか、お客様待たせているし・・、とハラハラしながら聞いています。そして、勇気をもって「今回はそうじゃなくて、こういうことなんです」と遮ると、「それは早く言ってよ」とまさかの切り返しを受けることもあります。

オペレーターの質問が要領を得ない場合は、話を最後まで聞かずに、こちらから切り出してしまう気持ちも分からなくはないですが、「どうせこうでしょ?」と決めつけるのではなく、「こういうこと?」とワンクッションを挟んでから説明をしましょう。

最後まで話を聞いてくれなかった、それで的外れなことを言われたという体験は、次から質問をためらわせることになります。

③禅問答パターンとは、オペレーターが質問したことに対してだけ答えるパターンです。「この場合は、こういう案内でいいですか?」に対して、本来であれば「Aの場合はこうでいいけど、Bの場合もあるから確認してから、回答してみて」など、ある程度の派生した対応まで予測して、解決につながるように指示をするものです。

ですが、禅問答パターンだと「間違いでもないけど、あまり良い対応でもない」など、結論を出さずに評論をします。そして、「では、こっちの案内でいいですか?」と聞けば、「それいいですよ」とようやく結論が出てくる。

オペレーターとしては、評論を聞きたいのではなく、最短でどうすればいいかの結論に導いてほしいのに、まるで禅問答のようにオペレーターが質問を繰り返さないと回答にたどり着けないパターンです。

これは、スーパーバイザーが他人事のようにうつってしまい責任感がないように見えてしまいます。イニシアティブはオペレーターではなく、スーパーバイザーが握らないといけません。

保留中の指示内容

保留中のオペレーターの心境は、「お待たせしたくない」「早く回答したい」といち早く保留を解除して、案内できるようにしたいという一心です。お待たせして申し訳ないという気持ちから、不安や焦りによって、平常時ならできる事や分かる事も、ままならないものです。

スーパーバイザーは、運用の背景や事情、理屈はさておき、簡潔に、最短時間で対応方法を示しましょう。私は保留中に下記のフレームで伝えることが多いです。

■保留中の指示
①結論「どうするか」
②結論の理由を簡潔に
③伝え方、具体的な言い回し、言葉の選択
④やってはいけないこと
⑤どういう場合に、もう一度保留してほしいか
⑥保留の場合に、何をヒアリングするか
⑦どういう場合に、保留ではなく折り返し対応にしてほしいか
⑧折り返し対応の場合に、何をヒアリングするか

毎回①~⑧まで全部を伝えるわけではないです。必要に応じて省略します。①から順番に、急ぎながらも、焦らずに伝えます。「③具体的な言い回し」や「④やってはいけないこと」を伝えてあげると、安心して対応できるようです。

以上です。保留時には、いきなり「お待ちください」と唐突に保留するのではなく、こういう理由で何秒くらいお待ちいただけますでしょうかと、理由と目安時間を伝えてから保留をするという配慮も必要です。

そして、保留時間は短いに越したことはないですが、焦って何度も保留することも良くないので、適切な指示が求められます。スーパーバイザーの腕の見せ所ですね。

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