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変化に抵抗する心理を考える

コールセンターでマネジメントをしています。組織のあり方が事業フェーズにあわせて変化が必要であるように、コールセンターも事業フェーズにあわせた形態での運営が求められます。

事業の立ち上げフェーズではコールセンターも小規模だったり、最小コストで稼働できるようにシステムに頼らずアナログな対応が中心だったり、属人的にフレキシブルな判断をしたりします。

徐々に事業が発展して、顧客数が増えてきたころに、引き続き属人的にアナログな判断をしていては量に対応できないので運用を整理したり、システムの導入を行うフェーズに移行します。

このように、事業規模や事業フェーズにあわせて、コールセンターの運営も変化しなければなりません。変化が必要であることは、ビジネスの世界ではよく言われることですし、誰もがその必要性を理解しているはずです。

にもかかわらず、変化に対する抵抗勢力はつきもので、組織の変化がスムーズになされるということは、ほとんどないと思います。

組織が変化するということ

組織に変化が必要ということは、ある程度の成長段階で、事業規模も拡大していることでしょう。昨日・今日できあがった組織ではなく、数年間かけて運用などができあがった組織かもしれません。

「変化」は大きく3パターンあります。

①「既」→「無」:既存のものを無くす
②「無」→「新」:無いものを新たにつくる
③「既」→「新」:既存のものを新しくする

そして「変化を恐れる心理」は大きく3パターンあると思います。

A:自己否定になる
・自分が築いていたものを否定することになる
B:既得権益を失う
・現状を失うことになる
C:新しいことへの不安
・新しい環境で同じ評価が得られないかもしれない

「①既存のものを無くす」ことは、今までに自分が築いてきたものを捨てるということとも言えるので、人によっては、今までの自分の功績を無駄にされるとか、自分の功績が間違っていたと否定をされたという心理になることがあると思います。ここで「無くす」ことを認めると、過去の自分の功績を否定する、つまり自己否定になるので、変化を受け入れられなくなります。

「②無いものを新たにつくる」ことも、過去の時点で新しい事をできていなかったという観点から、過去の自分に落ち度があるということを認めることになるので、抵抗する人もいます。ですが、それよりも新しい運用や新しい環境になることに不安を抱く人もいると思います。

これは自己肯定感があまりない人で、新しい環境になったら、次も今までと同じように評価を得られる自信がないと自覚している人がなりがちです。過去の偶然や、過去にたまたま評価されて今のポジションがあるけど、リセットでやり直したら、同じ評価は得られない、既得権益にしがみつきたいという心理で変化に抵抗すると思います。

「③既存のものを新しくする」ことも、同様に過去の自己否定や既得権益へのしがみつき、新しい環境への不安です。

これらのタイプの人は「ウチの業務は特別だから」「ウチの業務は他社みたいに単純じゃない」という発言をする傾向にあると思います。

変化を受け入れる

変化に抵抗せずに、素直に受け入れるにはどうすればいいのか。それは新しい環境でも適応できるという自信を持つことが一番です。

自信を持つには「普遍的なスキル」と「異なる環境での経験」が必要で、普遍的なスキルとはロジカルシンキングとコミュニケーション、異なる環境での経験とは同じような事業フェーズや事業規模での類似経験、一般的に他社ではどうなのか、どこに落とし穴があるのかを知っていることだと思います。

すぐにスキルを身につけたり、経験を積むことはできないので、では、そういう人はどうすればいいか。それは、素直にできること、できないことを認めて、チャレンジ精神をもつことです。

遅かれ早かれ、大なり小なり、変化はつきもので、変化に適応できない組織は弱体化します。逃げ切ることを考えずに、変化を受け入れる、そのために今回の変化を経験とするために、無駄な抵抗はやめて、チャレンジすることです。

今まで変化に抵抗している人を多数見てきましたが、やはり自信のない人、既得権益にしがみつきたいという人がほとんどでした。何年も同じ役割で、その仕事を取られたら、自分には何も残らないということを自覚しているようにも見えました。

そういう人を組織内に生み出してしまわないように、定期的な人事異動は効果的で、また、変化に取り組む場合も「現状を変えてやる」という気概があることが重要、でも現状の否定しかないと、過去の残すべき部分を継承することはできないので「現状を変えてやる」に加えて「今までの功績に対するリスペクト」をあわせもたなければなりません。全否定は禁止です。

また、外部コミュニティや、外部の同じような環境で働く人とのコミュニケーションも有効です。自社のことしか知らない、1社の事例しか知らないと、それでは知識が足りなくて、1を聞いて10を知ることができるような人でないと、落とし穴の場所が分からず、自信を持って進むことができません。自分ひとりで何社も経験することは難しいので、他社交流で知るしかないと思います。

以上です。変化が必要な状況で、自分で何を考えて、何をやって、そこから何を学んだのか。自分で考えた結果「変化に抵抗していました」は笑えません。学ぶチャンスとみるか、ネガティブに捉えるか。一択だと思います。

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