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マネージャーが現場を知ることの必要性を考える

コールセンターでマネジメントをしています。コールセンターには電話対応をするオペレーターがいて、オペレーターを管理するスーパーバイザーがいて、センターを管理するマネージャーがいます。

よくあるパターンでは、マネージャーは会社の人事制度でいうと「管理職」であり部長や課長、スーパーバイザーやオペレーターは「一般職」で、スーパーバイザーは係長や主任が該当すると思います。

そのためマネージャーは他部署の部長や課長が異動で着任するケースがあります。スーパーバイザーからマネージャーになるケースよりも多いかもしれません。そうなると懸念されるとおり、現場や実務を知らないマネージャーが誕生します。

今回は、結論「マネージャーは現場実務を知らないとダメです」ということについて、理由はいろいろありますが、ひとつの考え方を書きます。

トラブル発生時の応急処置

コールセンターなど現場にはトラブルがつきものです。大きいトラブル、小さいトラブル、なにかしらのトラブルが日々発生しています。

システムや運用は、トラブルが発生しないように他部門と協力して入念に設計しますが、どこまで想定しても、なにかが起きるもの。何も起こさないことを前提に準備に時間をかけすぎたり、何も問題は起きない前提でいるよりも「何か起きるよね、柔軟に対応しよう」くらいに構えておいた方がいいです。

例えば「システム担当者が処理を誤って、顧客管理画面の入金情報が正しい情報ではない」「管理画面にキャンペーン内容が一部反映されていない」などは経験があります。

これらの場合、現場ではどうするか。

まずは”応急処置”をします。解決策は「システム担当者が情報を正しい状態にする」だったり「管理画面の表示を正しいものにする」ですが、対応するには時間がかかります。その間も、コールセンターには問い合わせが入ってくるので待っていられません。

そのため、まずは応急処置をします。だいたいこの場合の作戦名は「オペレーター頑張れ!」です。金額計算を電卓をつかって手計算したり、目視でマニュアルと情報を照らし合わせて案内したり、本来であればシステムで自動化されてることを手作業で対応します。

このようにトラブルに対して、現場はなんとか対応します。

応急処置で安心してしまうマネージャー

現場がトラブルに対して応急処置ができると、マネージャーとしてはひとまず安心です。安心したことで「解決した」と認識し、トラブルが起きたこと、起きていることが薄れていきます。

さらに、システム担当者も「現場で対応できているならば、このままでいいでしょ。それよりも他の開発が忙しいから優先順位を整理して、早ければ半年後に対応しますね」ということを考えがちです。

マネージャーが、現場のオペレーターが今まではどういう処理をしていて、今はどういう処理をしているのかを分かっていないと、システム担当者に対して優先順位を説明することができません。システム部門に押し切られます。

そして、オペレータの手動対応が件数が増えて限界を迎えた頃や、手動対応によるミスが発生して二次トラブルが起きた頃に「そういえば、そんな問題点あったような。でも、解決したんじゃなかったっけ・・」なんて思い出したりします。

現場のスーパーバイザーは「あのマネージャーは現場を分かってない。。前からずっとシステムの修正が必要って言ってますよね。何もしていないように見えたけど、やっぱり何もしてなかったんだ」となります。

このように、現場を知らないマネージャーは、現場との距離があきがちです。現場とマネージャーとの距離があいてしまうと、業務改善の提言ができず(提言しても理解されないから進まない)、トラブルが起きるごとにオペレーターの手動対応やイレギュラー運用が増えていきます。

そうなると「ウチの業務は他社よりも難しいんです」ということを言いがちです。

「それ、他社ではシステム化してますよ」「運用整理すれば、暗記することとか覚える事、注意しなきゃいけないケースが半分以下になるよね」という事に対して、何もしないのだから運用やオペレーションは複雑化するに決まってます。

この場合、業務が難しいのではなく「簡単なことを、難しくやってるだけ」です。

現場実務を知る時間を取ったほうがいい

現場の運用や業務改善は、

・短期的な目線(応急処置)だけでなく、中長期的な目線で解決をする
・個々の案件を一つ一つ、個別最適で意思決定せず、総合的に、全体最適な意思決定をする

このように根本的な解決や、全体最適なマネジメントを、現場実務を知らずにおこなう事は困難です。スーパーバイザーからの報告を受けて、理解するにも実務知識が前提になります。

逆にいうと、ある程度のマネジメント経験があるマネージャーであれば、実務知識をある程度知ることで、現場の理解は進みます。

経験上、実務知識がぼんやりした状態でしかインプットできていない状態でマネジメントをしていた業務では判断が困難でした。対して、あたりまえですが、実務知識に自信がある業務でのマネジメントは、判断も自信を持って行うことができていました。

「急がば回れ」

私の座右の銘のひとつです。「マネージャーはマネジメントが役割だから実務を知らなくていい」を勘違いして、ほとんど実務を知らないままのマネージャーでいるよりも、オペレーション実務から経験して理解を深めていくほうが、結果として良い仕事ができるようになると思います。

なにごともバランスで、かといって、いつまでもオペレーション実務ばかりやり過ぎて、マネジメントがなかなか機能しないマネージャーもいるので、それはそれで要注意です。

以上です。マネージャーが現場を知らないと応急処置で終わりがちで、根本的な解決まで進められなかったり、全体最適な意思決定が困難であるという観点から、マネージャーは現場実務を知ったほうがいいと考えました。

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