見出し画像

CSの適性は「お客様にウソをつかない」ということ

コールセンターでマネジメントをしています。コールセンターでは、さまざまな人が働いています。役割はスーパーバイザーという管理者や、電話対応をおこなうオペレーターがほとんどですが、その他にも運用を企画したり、品質や数値を管理するポジションがあったりと多くの人の仕事で成り立っています。

いろいろな人が集まって、お客様と向き合う仕事をしているのですが、たまに「この人、CSの仕事は向いていないな」と感じる人もいます。向いていなくても、適性が欠けている分を能力や努力によって補えばいいのですが。

今回は、どういう人が適性があるのかを考えます。

お客様対応に必要な姿勢

クレーム対応かどうかに関わらず、私は「お客様にウソをつかない」ことが必要な姿勢であると考えています。

お客様にウソをつかないとは、商品価格が2,000円なのに1,000円と案内するとか、効果が無いのに効果があると伝えるなどの詐欺行為を指しているのではありません。また、商品を送るのを忘れてたのに「送りました」とウソをついて、すぐに速達で送るとか、そういうのも論外です。

私の考える「お客様にウソをつかない」とは、例えば「悪いと思っていないのにお詫びする」のような姿勢のことです。たまに、全然悪いと思っていないだろという口調の「大変申し訳ございません」が聞こえてきますが、これはお客様も気づきますし、本当に印象悪いです。

表面的にはお詫びしているけど、本当は申し訳ないと思っていない、ともすればリテラシーがないお客様が悪い、一般的な常識とかけ離れているからおかしな人だと内心バカにしている、そのような姿勢をウソをついていると表現します。

「クレーム対応のコツ」というフレーズでお詫びの言葉などを伝えている本などがありますが、そこに違和感あるのは、そもそもウソをついたらダメということを教えていないからだと思います。ウソのつきかたを教えるのではなく、ウソをつかようになるアドバイスをしたほうがいいです。

ウソをつかないためにお客様を知る

ウソをつく人が、お客様にお詫びをする理由は「謝っておけば早く対応終わるでしょ」「謝らないで炎上したら上司に怒られる」「謝っておけば解約しない可能性がある」など、お客様ではなく、自分や自社の立場で考えていると思います。

自分のことを考えてお詫びする、防御や保身がお詫びの理由という人は、結果としてウソをついてしまいます。思考の軸を自分ではなく、お客様にする習慣がつくと、少しづつ変わってくるかもしれません。おそらくお客様の事実にしっかりと向き合っていない、お客様を知らないことが原因だと思います。

お客様がなぜ理不尽と思える要求をしているのか、お客様がなぜ感情的になっているのか。すべて100パーセントもれなく、正当な理由であったり、共感できるものではなく、なかには悪意や恐喝まがいの場合もあるにはあります。その場合はウソをついて無難なクロージングに最短で向かえばいいです。

そうではない場合のお客様対応を、ウソをつかずにやりましょうということです。ウソをつかないということは「お客様に申し訳ない」「お客様のためになんとかしたい」という気持ちから「大変申し訳ございません」という言葉が出ている状態です。

そのためには、お客様目線になること、他人ではなく自分や身内に置き換えて考えてみるといいと思います。そうすると、お客様がどういう気持ちで電話をしているのか、お客様がどういう状況をなんとかしたいと思っているのかが理解できると思います。

お客様の事実を想像するには知識も必要です。自社サービスでは、どういうチャネルで、どういう文言でコミュニケーションしているのか、どういうオペレーションフローでお客様に商品が届くのかなど、知らないと想像できません。「思い」だけでは対応できないです。自社のお客様体験をしたことがないオペレーターには、実際にお客様経験してもらったほうがいいです。

また、オペレーターのマインドセットができていないと、自分の目の前の対応にはバイアスがかかりやすいもので、「今回は」お客様がわがままだとか、理不尽だとか都合よく解釈しがちです。

マインドセットは一朝一夕でどうにかなるものではなく、少しづつ定着させていくものだと思います。対応事例をつかってディスカッションをするなど時間をかけるしかないと思います。

ディスカッションの場では「こういう対応すべきです」と答えを押し付けるのではなく、「お客様がどういう気持ちだったと思うか」「そういうお客様にはどういう伝え方をすることがいいのか」など、考え方を共有しなければ効果は薄くなります。

以上です。タイトルの「CSの適性」ですが、それは「お客様にウソをつかないことができること」だと考えました。そして、それはお客様目線を持って、お客様を知る姿勢があって、お客様に共感できることだと思います。

トークが流暢だとか、間の取り方がうまいだとかは、表面的な技術でしかなく、それを適性だとは思いません。そういうのはバレますし、本当に申し訳ないという気持ちも伝わります。技術でなんとかするのではなく、お客様に共感できることが才能であり、CSの適性だ思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?