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Gift再録

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美しき人形師の少女と、人間嫌いのカメラマン。2023年夏 文庫化クラウドファンディング決定
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#小説

ex.Gold Fish 03

ex.Gold Fish 03

 一病息災とはよく言ったもので、病気のような婚約者である所の七奈美も、月日がたつうちに空気のようになっていくのだから、まったく慣れとは恐ろしい。
 七奈美は気にすれば不愉快だが、気にしなければ、空気のように振る舞うことにたけていた。彼女にとって恋愛とは本当になんなのだろうか。
 恋愛ごっこというにも、あまりにもいびつなこの関係を理解も出来なければ、したいとも思わなかったが、それ以上に俺に眼前の問題

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ex.Gold Fish 02

ex.Gold Fish 02

 父親から話を持ちかけられて数日後、俺の学校は夏休みに入った。もちろん休み中の課題は山のように出されたし、各学年強制的な補習もあるから、休めるという自覚はあまりない。それよりもじきに盆が来れば親族郎党顔を合わせないといけないという憂鬱さが勝っていた。
 日差しが強かった。肩かけにした鞄の紐が食い込んで汗が滲んでいた。太陽光を直視しないように視線を下げて、いつものように校門まで惰性で歩いていたから、

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ex.Gold Fish 01

ex.Gold Fish 01

 どうかしている、と俺は思っている。
 メリークリスマスなんて糞食らえ。クリスマスの夜に俺は正装をして高層ホテルの最上階のレストランで落とした照明とテーブルの上のキャンドルと階下に広がる夜景の光でメシを食っている。一皿一皿もったいぶって出てくる料理の味なんぞわからない。黒いカクテルドレスの女性がホールの真ん中のグランドピアノの椅子に座り、静かにクリスマスソングを弾き始めた。
 俺はさっきから、この

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