マガジンのカバー画像

俳句

6
運営しているクリエイター

記事一覧

皐月 俳句 後半

皐月 俳句 後半

小満の草の匂いを摘みて朝

甘藍や母の丸みが重たくて

「ほんとうは…」言いだす前に夏の風

こんがりとパン焼けた朝泣かないで

鼻先に天使舞い降り天花粉

皐月 俳句 前半

皐月 俳句 前半

青だけがいよいよ濃くて春惜しむ

人魚姫夢見て穿いた鯉のぼり

おざなりのキスを残して夏来たる

葉桜に時の風吹き人恋し

鹿の子は交通ルール守ります

いつの日か許せるのかなカーネーション

田代水譜面に響くサクスフォーン

たぼ沙魚が書いた本ほどベストセラー

卯月 俳句 後半

卯月 俳句 後半

父を待つ蓮華の花の秘密基地

春日傘無口なままの昼下がり

腹出して何様ですか桜鯛

水玉の傘をふりふり穀雨かな

ハルジオン記憶くすぐり春深む

花影に蜂の死骸の夢うつつ

逃げ水に棲む人探す旅路かな

車窓から春田流れて空だけ青い

昭和の日持ち歩けない過去の人

卯月 俳句 前半

卯月 俳句 前半

四月馬鹿寝癖のままで嘘をつく

桃の花愛でてよ撫でて愛してよ

縁側の沓脱石に虻死せり

雨だれに踊る清明夜明け前

花衣落ちた椿はだれ拾う

若鮎の跳ねる水面に銀の月

理不尽な呟きに咲くフリージア

薄墨の空に蝶舞う野辺送り

オリーブはアスパラガスと浮気中

朝のこと。散る音もなく春落葉

弥生 俳句

弥生 俳句

雉だって頼りになると言われたい

陽に透ける桃の節句の奥座敷

縁側におはじきがあり更紗木瓜

微熱なの。恋は啓蟄のせいなの❤️

啓蟄に変わらぬ今日も米を研ぐ

永き日のしっぽ捕まえ蝶結び

君子蘭隠しきれない嘘が咲く

靴の紐結び直して春の夢

秘め事をそっと包んで白木蓮

雨降ればはしゃぐ長靴蝌蚪の水

麻疹の子恋愛至上主義だから

春愁や殻のむけないゆでたまご

春の雪消えた街灯消えぬ傷

もっとみる
如月 俳句

如月 俳句

今年に入って詠みはじめた俳句です
二月詠んだ句を選句しました。

君の日にすべてを白く春の雪

閾値を決めかねている紙風船

猟名残格子窓には子守歌

三日月がしっぽ押えて猟名残

伊予柑が認定試験合格す

ノースシュアボード抱えて冴え返る

すこしだけやきもちやいて下萌える

雨水には文字の滲んだ懐紙あり

床の間に影を忍ばせ猫柳

パスタ巻くフォークの先にミモザ萌え

魔女だって恋をするのよ春

もっとみる