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さてもさても、今宵、御運び賜り、かたじけのぅ。 我が名はカンザ、紅爺と縁のあるものにござ…
荒涼たる山の斜面、由良が必死に逃げていた、騎馬が巻き狩りのように遠巻きに取り囲んでいる。…
江戸から陸奥(みちのく)へ続く道を北上し、すこし逸れると奈須街道に入る、上総の介の直属軍…
康成の放った根来、雑賀の乱破素破が、風間晴明と妻は奈須の原へ落ちようとしていると、湯河原…
「白鷗は関白に殺された、俺達が殺した事に成っているから、国中の兵が俺達を狩りに来るぞ」 …
宮殿からほど近い道長の館、道長と康成が酒を酌み交わしていた。 「首尾よう運んでおるの、女…
二、照魔鏡 季節が過ぎ、春の終わり。 一人、都に残った玉藻は表情に憂いを纏う様になり、それが本来の美しさに磨きをかけた。 白鷗は懲りずに玉藻に伽を求めてくるが、そのたび、あの時風呂にいた二人の女官のどちらかが現れ、代わりに伽をし、事なきを得た。 ただ、本来の思いを遂げられない白鷗は徐々に荒れ、酒を過ごすようになり、二人の女官を取り換えひっかえ連夜のまぐわいをして、だんだんに精力を衰えさせるようになった。 都病の時は、顎も三重で体つきもぶよぶよしていたのだが、由良
才蔵はふたことみこと話をして捉えた男を解き放った。 カンナギは傭兵だし、それほど重要な事…
また女中頭が呼びに来る、茶を持って白鷗の部屋へ行く。 「由良、共に茶を飲もう、干菓子も喰…