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弁護士の年収について

誤解を恐れずに言ってしまうと、弁護士であれば、年収1000万円を得ることはさほど難しくないと感じている。

まず、弁護士の分類?を簡単に説明したい。弁護士は、企業や官公庁に所属する場合を除き、通常は法律事務所に所属する。法律事務所と弁護士の関係は様々であるが、大まかに、①法律事務所の経営に参加し、顧客から依頼を獲得してくるパートナーと、②法律事務所の経営には参加せず、法律事務所から事件(業務)の配点を受ける代わりに報酬(給与)を受け取るアソシエイト(居候弁護士、略してイソ弁ともいう)に分かれる。③ノキ弁といって、法律事務所に所属する形ではあるが、法律事務所から報酬(給与)を受け取らない弁護士(ノキ弁というのは、法律事務所の軒先だけ借りるという意味だろうと思う)もいるが、どの法律事務所にもノキ弁がいるわけではない(むしろノキ弁は取らない法律事務所は多いように思う)。

次に、②アソシエイトの収入について、これも様々であるが、大まかに、(i)法律事務所からの報酬(給与)以外に報酬を受けることができないパターン(そのように法律事務所と契約している)と、(ii)法律事務所を通さずに個人的に顧客から依頼を獲得することができるものの、その売り上げの何割かを法律事務所に渡すパターン(そのように法律事務所と契約している)に分かれる。

ちなみに、①パートナーと③ノキ弁は、法律事務所から報酬(給与)を受け取らず、(ii)と同様、顧客から依頼を獲得し、その売り上げの何割かを法律事務所に渡すパターンとなる。完全歩合制のようなイメージだ。

弁護士として法律事務所に就職するときは、その法律事務所ではどのパターンが想定されているのかを確認する必要がある。いわゆる街弁は、通常、②(ii)であるので、②法律事務所から受け取る報酬(給与)●円+(ii)個人的な売り上げから×割差し引いた金額が、その弁護士の収入となる。

法律事務所にもよるし、時代にもよるし、地方にもよるが、私のときは、新人弁護士の場合は、②は年収450万円~600万円、(ii)は2~4割差し引き、と示されることが多かったように感じている。そして、経験年数2~3年目ほどで、②+(ii)は年収1000万円を超える。その後の年収は、②というよりは、(ii)の売り上げによって大きく変わってくることになる。

大手法律事務所では、②が年収1000万円以上となるが、(i)法律事務所からの報酬(給与)以外に報酬を受けることができないか、又は(ii)に取り組む時間がないことがほとんどである。したがって、②だけ見ると、大手法律事務所の弁護士は、街弁よりも高収入であるように思えるが、(ii)の売り上げを伸ばすことに長けている弁護士であれば、大手法律事務所の弁護士よりも、高収入を望めるのではないかと感じている。

ところで、多くの弁護士は個人事業主であるので、書籍代、交通費、顧客等との交際費等は必要経費とすることができるのだが、この記事では、単に収入というのは売り上げのことを指すものとしている。そうした意味で、年収といってもサラリーマンの年収とは少し性質が異なる。

近年の報道等では、弁護士の年収が下がったという記事を目にすることが増えた。法律上の争訟はさほど増えていない一方で、弁護士の人数が増えたのだから、弁護士の平均年収が下がったというのは本当だろう。ただし、それを差し引いても、弁護士は年齢や経験年数のわりに高収入が望める職業である。

もちろん、高収入を目指すかどうかは自由だし、高収入であれば偉いというわけでもない。しかし、目指そうと思えば目指せる、上限はどこまでも、という環境は恵まれているし、夢もある。

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