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コーチングの応用

昨日、同僚がコーチングの研修を受けてきてその宿題として、実際にコーチングをやる。ということで、クライアントとしてご指名いただいた。僕は仕事柄ビジネスコーチングには縁が深い。周囲にも意外とコーチングを生業としている人も多い。そんな中でコーチングセッションを受けていて思い出した人がいるので、そのことを少し書いてみた。

僕の勤めていた人材開発の会社の役員にマスターコーチがいた。そのタイトルがいかほどのものかよくわからないが、コーチ歴30年であり、独特な訛りと間で話す彼を見ていてただ者ではないだろうと感じていた。

はっきり言って申し訳ないが、彼の(といいつつもううちの親父と年は近い)経営能力という点では学ぶものはなかった。ただ、人として、父親として、コーチとしてなどたくさん学ばせてもらった。

彼の研修はコミカルで自虐ネタを交えながら深いメッセージを受講者に伝えていく。まさに名人芸であった。そんな彼の事務所での仕事と言えば、「クレーム処理」とくに協力なパートナーやロイヤルカスタマーとなっている人たちからのクレームに対応する。もはや現場の若造には対応しきれない困った客が彼のもとに回ってくる。職業的には、経営者や医者など社会的に地位も高く、逆に言えば多少不満があると過剰に反応する人も多かったように思う。

彼の個室はガラス貼りで渋い顔しながら電話しているのを何度も目撃している。何回か横で聞いていたこともあった。そこでの会話はまさにコーチングであった。

「・・・うん、・・・うん・・・・嫌だったんですね、、、うーん」
「・・・うん・・・それは申し訳なかったですね、、、うーん」
「・・・うん・・・どうあって欲しかったですか、、、うーん」

みたいな。クレーム処理なので楽しい会話ではない。そして、文末の「うーん」が肝(だと思っている)
たとえトンチンカンな主張でも相手の意見に耳を傾け、意図を組んでいるような相槌、オウム返し。基本中の基本の技だが強力。話している方も徐々に「まぁここまで言うのも大人げないんですけど」などと、トーンがみるみる下がっていく。

こうして、彼の役員という肩書も手伝って概ね丸く収まる。
何より印象的だったのが、その電話が終わった直後にはそのことを忘れていたかのように切り替えて、別の仕事に向かっていく。嫌な感情もないもない。余韻もない。電話とともにクレーム処理モードが切れる。ちなみに、この時は研修の間の休憩時間であった。

この時はさすがにスゲーと思い。同時に笑いが止まらなかった。
マスターコーチ恐るべし。こんなコーチングスキルの応用もあるのね。


彼と歩いていて、チンピラに絡まれたこともあるので、そのことは別の機会に書こう。

#コーチング #応用 #クレーム処理 #マスターコーチ

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