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夫婦で一年育休を取った話

2015年1月
我が家に待望の、待望の赤ちゃんが生まれました。結婚して9年目。長いこと待ち続けてようやく誕生した我が子。数年間続けた不妊治療が身を結んだ瞬間でした。今から5年前のその当時、男性の育休推進の声が世間でチラホラとは聞こえていましたが、実際に男性で育休を取っている人は周囲にまだいませんでした。

そんな中、男性でも育休を取れることを知って、夫に「男の人も育休取れるんだって!取る?」と聞いてみた私。男性の育休取得に関しては、いろんな立場からいろんなご意見があると思いますが、実際に取ったらどんな感じだったのか、書いてみたいと思います。

夫の反応

特に子供が好きな訳でもなければ、子供に慣れてる訳でもなく、どちらかと言うと子供は苦手なタイプの夫。そんな夫が果たしてどんな父親になるのか、私には全く想像が付きませんでした。長年の想いが叶って私が妊娠してもしばらくは何やら人ごとの様に思っていたのではないかと思います。

そんな夫、私に育休取得を問いかけられ、最初は拒否もしなければ肯定もせず、現実感のある話として捉えていなかった様子。「男も取れんの?」ぐらいの感覚で。しかし、”仕事=生活するため”(出来れば働きたくない)というタイプなのが功を奏したのか、育休取得の方に気持ちが傾いて行きます。

しかし、やはりいくつかの壁がありました。

最初の壁 : そもそも会社が認めるのか

育休取得を考え始めてまず夫がしたこと、それは、勤務先の会社の就業規則を読み込んだこと。育休制度に“女性のみ“との記載はないけど、産前産後休暇(産休)や育児休業についてはあくまでも女性が前提であるように読み取れる。

男性の育休取得は前例がありません。就業規則にそんな文言も含まれていない。ロールモデルもいない。そもそも会社として男性の育休取得が可能なのかどうか分からず、結局、会社にまず確認することになります。

でも、夫はなかなか会社に確認しない。タイミングを見計っていたようです。結局、最初に話を切り出したのは出産予定日の2,3ヶ月前だったと記憶しています。そして、夫の職場は前例のない”男性の育休取得”について向き合うことになりました。

次なる壁 : 親の反応

親と言っても、私の両親は最初こそ驚いたものの好意的に受け取っていたように記憶しています。考えてみたらそりゃあそうなのです、娘の負担が少ない方が両親にとっては安心な訳です。

というのも、私の実の妹も同時期に妊娠。出産予定日数日違い、という奇跡の状況だったのです。妹と一緒に里帰り出産も考えましたが、それだと両親の負担が大きくなりそう。そして、あまりに同時期過ぎてどちらか一方だけ里帰り出産するのも公平ではない。

ということで、どちらも里帰りせずに住んでいる地域で出産することになったのです。ということで、いくらでも娘の負担を減らせるだろうと、夫の育休取得は嬉しい気持ちだったのでしょう。

つまり、壁となったのは、夫の両親です。義父母共にその当時はまだ現役で仕事をしていました。私たちの周辺でさえ男性の育休取得がまだいないのに、親世代にとってはもちろん理解しがたい状況だったのでしょう。それはもちろん分かります。

「何考えてるんだ?」という、理解には程遠い、想像以上の反応でした。

どう壁をクリアしたのか

結局、どうやって2つの壁をクリアしたのか。
まず、夫の会社の壁。そこは幸い、仕事の性格上、複数の人が同じ仕事を担当していて、シフト制で仕事を回していくスタイルだったため、夫が抜けることで特別仕事が頓挫してしまう訳でもない。
夫が抜けることで人員は一人分マイナスになるけれど、その一人をどこか別のところから配置換えにて対応出来そうだ、ということで最終的には理解を得られたのだという認識です。

しかし、期間は”一年”。男性が育休を取ることだけでも驚きなのに、一年!会社の上司や同僚もさぞかし驚いたことでしょう。そこは夫の説得勝ちだったのかもしれません。夫よ、よく頑張った!(休みたかった気持ちが勝ったのかもしれないけど、とにかく結果オーライ)

そして、義両親には、夫が「これまでずっと子供を待ち望んでいたこと」「ようやく我が子と過ごせる時間が訪れるから一緒の時間を過ごしたい」心情に訴える作戦で理解を得ました。またしても良くやったぞ、夫よ!
(ま、親の理解がなくてももちろん育休は取得出来る訳で、でもやっぱり理解してもらってからの方がその後何かとやりやすいだろう、という理由で説得。)

おかげで、義父母は本当に孫を息子を可愛がってくれます。

そして、ようやく我が子が誕生します。

夫婦同時育休取得のメリット

晴れて育休を取得した私たち夫婦。
私は有給消化も含めて産前8週前ぐらいから休みに入っていました。男性は子供が誕生しないと育休が取れない(産休はない)ため、出産日から育休に入りました。

メリットはいくつもありました。
✔︎里帰り出産をしていなくても母親が体を休められる
✔︎退院後、父親も生まれた時から24時間体制で赤ちゃんのお世話を体験できる
✔︎家事を分担(産後は丸投げ)できる
✔︎家族で季節を感じながら濃い時間を過ごせる
✔︎混雑時期・時間を回避して行動できる
(里帰り・子供のイベント・写真撮影etc)
✔︎思い出がいっぱい作れる!(遠出はほとんどしなかったけど)
✔︎翌年入園した保育園の保育料が一年間無料になった!(想定してなかったけど)
※育休によって1月から12月の収入がなく、非課税世帯の扱いになったようです。これにはビックリ!

じゃ、逆にデメリットは?

夫婦同時育休取得のデメリット

もちろん、何事もメリットがあればデメリットもあるわけで...

✖️生活時間が乱れる(産後、子供に合わせたらしばらく昼夜逆転になりました)
→時間に追われる人が家族にいないと、時間が乱れますね..
✖️顔を合わせる時間が長いのでぶつかる時間も増える
→時間の使い方、子供のお世話の仕方、家事の仕方、他、いくらでもネタはある
✖️育児休業給付金は出ますが一時的に収入が下がる
→条件を満たす人なら、最初の半年は67%、それ以降は50%もらえました
→夫はさらに会社の共済会からプラスで補助が出ていたようです。すごい!
✖️普通の母親が一人でこなしていることが出来ない
→親一人で子供をお風呂に入れる、子供を見ながらご飯の準備をする、機嫌の悪い子供を怪しながら家事をする、等々。
大人が2人いる状態に完全に慣れていた私は、一年後先に仕事復帰した夫がいない中、一人で家事子育てをこなす、いわゆるワンオペ状態に慣れるまでしばらく時間がかかりました(汗)。

育休取得のその後

メリットもデメリットもあった夫婦同時育休取得。
結果、我が家の場合、絶対にプラスでした。生まれた瞬間から正に”生活を共にしてきた父親と息子(しかも一年も!)”、ベッタリ蜜月な時間だけとは行きませんが、今でもさすが繋がりは強い。

そして、元々(料理以外の)家事が得意な夫は、子育てにおいても主戦力のため、我が家には主婦が2人いるような感じです。(それもそれで色々あるけどw)

長男の誕生から2年9ヶ月後、我が家には次男が誕生しました。次男の時も私はもちろん夫も2回目の育休を取得しました。ただ、次男誕生のタイミングでは関わっていた仕事の都合上、夫は2ヶ月だけの育休取得となりました。

本人は再度一年の育休取得を希望していたのですが、残念!でも、夫の会社には2回も育休をとらせていただいて感謝しています。

夫の会社では、夫の育休取得後、続々と男性の育休取得者が出たようです。1ヶ月、3ヶ月、一年の人もいたような。第5号ぐらいまで聞いていました。その後、何号までなったかな...?

まとめ

我が家の夫婦同時に育休取得がメリットが大きかった、と思えるのは、家族で濃い時間を共有出来たことはもちろん、夫が子供のお世話や家事を担ってくれた事にあると思います。
普段、嫁と姑が一つ屋根の下にいる感じで夫の家事や子供への対応にいちいち口を出してしまうのだけど、「一年間、育休を取ってくれて本当にありがとう」。
直接言えないから書いておこう。

おまけ

夫婦で育休取得後の翌年、我が家は住宅を購入しました。購入にあたり、住宅ローンの審査のため前年度の収入を出す必要があったのですが、夫婦とも前年は育休取得のため収入がなく非課税世帯。
「収入がないと住宅ローンの審査通らないかもよ〜」なんて言われることもありましたが、前々年度の収入を提出して無事審査も通りました。

厚生労働省の資料によると、平成30年度の育休取得率は女性が82.2%に対して男性は6.16%。まだまだ数値は低いですが少しずつ伸びていますね。男性でも希望している人が育休を取得出来る世の中になりますように。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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