見出し画像

人間拡張基盤の「触覚共有技術」でレザーとショッピング体験が変わる!?

展示会や見本市のテーマなどにピックアップされたり、メディアに登場したり、目にする機会が増えている「人間拡張」

「日本経済新聞社」(デジタル版/4月23日公開)でも紹介されていて、
<最近開発の方向性が「物理的に忠実な再現」から「特定課題解決に役立つ簡便な再現」にシフトしてきたことに注目したい>という表現が腑に落ちました。


ちょっと先のことなのかな?と思っていたのですが、実用化に向けて、いろいろな取り組みが進んでいるようです。



「人間拡張」とは?


国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センター 公式サイトでは・・・

人間拡張とは、人に寄り添い人の能力を高めるシステムのことです。
英語の「Human Augmentation」の日本語訳に相当します。

「Augmentation」とは増強、増大させることで、音楽では半音上げるという意味で使われています。Augmented Realityを、日本語で拡張現実感と訳した流れから、「Human Augmentation」は人間拡張と訳されています。
広い意味では、顕微鏡や望遠鏡も人間拡張ですが、人間拡張研究センターでは、情報技術やロボット技術を活用したウェアラブル(装着できる)あるいはインビジブル(見えずにそばにある)なシステムを研究対象とします。これらのシステムの装着・利用によって、人間単独の時よりも能力を拡張することはもとより、その継続使用によって人間自身の能力も維持・増進できるようにします。そして、それらが社会で継続的に使用され、新しい産業基盤になるような状況を目指します」(国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間拡張研究センター 公式サイト センター長挨拶より)


「docomo Open House’24」で最新技術を発表し話題に


2024年1月17日~18日、東京・丸の内 東京国際フォーラムで、NTTdocomoの最新テクノロジーを紹介するイベント「docomo Open House’24」が開催されました。



五感を共有できる技術が実用化


docomoは人間の五感を相手に合わせた形に変換し共有する「人間拡張基盤技術」を用いて「フィールテック™」を開発。味を分析数値化することで、誰かと同じ味を感じられる味覚が共有できる技術は驚きですね。

俳優 綾瀬はるかさんとタレント 彦摩呂さんが共演する動画は、テレビやYouTubeなどでよく見た、という方も多いのでは?


このほか、2030年ごろのサービス提供開始を目指し、2018年から5Gの高度化(5G evolution)ならびに第6世代移動通信システム(6G)に向けた検討と研究開発が推進され、最新技術が続々と登場しています。そのひとつ、触覚共有について、「ワイドナショー」(フジテレビ系/日曜10:00~)で紹介されていて、とてもわかりやすかったです。

「(フィールテック™ は)円滑なコミュニケーションを実現するための言葉とか文字とか、映像ではきちんと伝えることができない人の動作とコツ、感覚。感情を相手に合わせたかたち、相手が理解できるかたちに変換して共有できる技術です」(NTTdocomo 慶応義塾大学大学院 特任教授 石川博規 博士)。


世界初「触覚共有技術」がレザーファッション、ショッピング体験を変える!?


遠く離れた場所にいる人同士で触覚を共有することができるという「触覚共有技術」。

指輪状の機械を身につけた人がものに触れると振動を感知し、その振動がマウスのようなボール型のデバイスを通じて伝えたり、離れた場所にいる人も同じ触り心地を感じることができる、という世界初の技術だそうです。

今後はネット通販で洋服の素材が確認できたり、ものづくり技術の伝承や手づくり体験ワークショップなどでの利活用も想定されます。

ECサイトで、レザーの質感やバッグや靴の重さもわかるようになるのはおそらく数年後。これは皮革業界にとって革新的なトピック。ワクワクしますね!


触れてみたいジャパンレザーが増加中!


皮革卸企業各社が2024年-25年秋冬コレクション個展を1月17日~19日に開催。ごく一部ではありますが、レザーの傾向を振り返りながら、今後の活用方法などを探りました。

「富田興業」

「革の解放」をテーマに、革というマテリアルの可能性を探求。伝統や規範にとらわれることのない新しい表現にトライ。


「レッザボタニカ®」が2020年グッドデザイン賞を受賞するなど、サステナブルレザーの取り組みでも業界を牽引しています。下のリンク先をご覧ください。



コーヒーの焙煎時に発生してしまうチャフを利活用したサステナブルなレザーに加え、ライトレザーを発表しました。

いままでにない軽量感を打ち出すライトレザー


製品サンプル(リュック)があることで、軽量感のニュアンスが伝わります。


ライトレザーは「軽量感」を打ち出しています。二次鞣し工程で独自に開発した植物タンニンの配合技術を駆使し、軽く柔らかい革を実現しました。


2022年、日本の総人口が減少するなかで、高齢者人口は3627万人と過去最多。総人口に占める高齢者人口の割合は29.1%に。(総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- より)。


大人世代の存在感が高まるなか、百貨店の顧客の中心、大人世代の女性はバッグや靴に、軽さ(軽量性)を重視するため、そのニーズに寄り添うレザーとなりそう。

店頭では、バッグを持って、重さ(軽さ)を確認なさる方が多いのですが、ECやオンライン接客でも同様の体験ができるのはうれしいですね!


「丸喜」


テーマは「自然界に存在しつつも神秘的なカラー」。

ジャパンレザーのファッションリーダーともいわれる藤田社長。農林業への被害軽減のため、有害捕獲された個体を利活用するプロジェクトも意慾的に紹介しています。


自然に還る革を豊かな風合い・色合いで表現


ソフトなタッチ感の傾向に合わせて、多彩なバリエーションで展開。昨年発表し好評のコンポスト(堆肥)にできる、自然に還る革を中心にナチュラルな色合い、風合いのコレクションが見られました。タッチ感を確かめてみたくなりますね。

サステナブルなレザーでありながら、ルー、ピンクといった華やかなトレンドカラーを纏うファッション性も加味したコレクション。


ちなみに同社は学生やクリエイター支援にも尽力。レザーを使用した作品がショーに出品されるなど、レザーを通して次世代との懸け橋になる取り組みに共感の輪が広がっています。


「吉比産業」

「以心伝心」をテーマに、手にとると持ち味が伝わる本物、説明のいらないようなレザーがラインナップ。

個性的なレザーが楽しいショールーム。


プリミティブな起毛感が時代の気分にぴったり

ファッション性の高いセレクトで知られる同社で気になったのは、起毛感のある一枚。トレンドの傾向として注目される「フォークロア」「グランジ」などのテイストのアイテムにマッチしそうですね。


プリミティブなニュアンスがあり、創作意欲が掻き立てられるレザーです。


また、新プロジェクトのサステナブルレザー「Zeology Leather」を展示。ゼオライトをベースにし、クロム、アルデヒド、重金属を含まない画期的ななめし剤であるZeologyで鞣され、持続可能で循環型で堆肥化可能な素材です。


発色のよさも目をひきます。



革って、やはり、触ってみたくなりますし、触って感じることが多い素材です。

日本初のジャパンレザー総合プラットフォームとして人気を集める「teema(テーーマ)」でも、触覚共有を利活用することで、ジャパンレザーの優れた風合い、秀逸なタッチ感を世界中のレザーファンにお伝えできるようになったら素敵ですね!


このほか、ジャパンレザーの最新傾向は下記リンク先をご覧ください。

JLIA公式ブログ【村木るいさん連載】
タンナーが取り組む環境に良い革づくりの話

https://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/cat63/20240424


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?