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地方の文化事業を考える

■はじめに

 2011年以降、日本の大手企業は
メセナからエコにシフトし、
2020年からのコロナ禍で大きく文化事業も
変わってきた様に思う。

 エンタメ界も大きな団体から小さな団体、個人と
さまざまで抱えている問題もおのおのに違う様に思う。
コロナ禍で職業音楽家よりも、
職業音楽家として歩めるように一般の仕事と
音楽の両立でやっていた人の方が今や
生活という面においては立場が逆転したかも
しれないし。(どちらがという優越の意味では無い。)

 都市部と地方も抱える問題が大差が無くなって
きたかもしれないが、地方の文化事業を考えたく思う。

■プロの線引き

 日本では、とにかくプロとアマチュアの
線引きが難しい様に感じる。
音楽のクオリティーという意味においては
愛好家だからプロだからという話では無いのだが、
プロとしての生き方、働き方というのは
私は存在すると思う。それは、決して何かのバイトを
したり、他の仕事をしているからプロでは無いという
話では無くて、1番は、心構えとその取り組む姿勢、
歩み方の様に思う。

とりぎん前のポスターと一緒に

 例えば、これは鳥取県で開催された
とりアートの一環のオペラ公演だが、鳥取出身の
オペラ歌手でドイツのマイニンゲン宮廷歌劇場
専属歌手でバリトンの谷口伸さんを迎えてのオペラ公演。
地方では私の故郷の香川県もだが、
小学校、中学校、高校、大学の音楽教員をしながら
音楽活動したり、音楽教室などをしながら音楽活動を
している人達が王道の歩みに思う。

 そして、こういう公演は、地元出身や他からゲストを
呼んだり、地元を拠点に活躍している人達で
キャスティングされる。日本では、どれもプロのスタンス
なのだが、そのステージの責任の持ち方や、その能力というのは
幅がある様に感じるので、プロの線引きというのは
難しい。勿論、それは、テレビに出ている他ジャンルの
アーティストもカラオケの延長線上のレベルでも
事務所の力でテレビに出れたりもするので
まあ、答えの無い話ではある。

■地方でオペラ公演を目指す素晴らしさ

 この鳥取のオペラ公演は、オーケストラは関西から助っ人を
呼んだり、地元の人達でのコーラスやキャストを構成し
素敵な公演だった。

ドン・ジョヴァンニのプログラム

東日本大震災以降、そして、コロナ禍になり
この様なオペラ公演に挑戦するクラシックや
声楽の団体は激減した様に思う。
ピアノ版でのオペラ公演は、たくさんされている
とは思うが、オーケストラでのオペラ公演は
激減した様に思う。勿論、新国立劇場、二期会、
藤原歌劇団は、その組織としてある一定の
オペラ公演をしているが、地方やその他の
主催では、年々減少傾向にある。

とりぎん文化会館

欧米にある劇場と、
日本にある文化会館、市町村の会館の
音楽ホールでは、使い方は変わってくる。
劇場がプロ公演に対して、
日本の会館は、プロも使うし、アマチュアや
愛好家も使うホールなので地域によって
運営の在り方は変わる様に思う。

特に地方公演は、
町の行政、ホール、地元の音楽家、
住民と一体となって盛り上げていく事が
大切になってくる。
文化、芸術への理解の数は、
人口に比例するので非常に難しいが
努力していくという事はいつの時代も大切だし、
昔より社会がさまざまな事に理解を深める
流れがある中で、文化、芸術に向き合わない
という事は、私は大きな、矛盾に感じる。

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