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#15 セフレの境目とは何か。〜心優しき友人のアメリカ人A〜

tinderで知り合ってから一度も会うことなく長くメル友関係が続いていたアメリカ人のAという人がいる。彼は東京に住んでいて、奥さんは日本人。セックスレスだと言う。(ホントか嘘かはこの際どうでもいい)会ってみよう、という話に何度もなったのだけど、彼が出張だったり、私が都合が悪かったり。とにかくタイミングが悪い二人だった。
会うタイミングに関しては最悪というほど悪いのだけど、連絡をくれるタイミングはいつも最高だった。私が寂しい時や落ち込んでいる時に大抵ラインがくる。そして私の自己肯定欲を満たしてくれる。誰かが私のことを考えてくれている。女としての私を欲してくれている。そう思うだけで安心できることもあったし、その当時付き合っている彼や会った男の話をしても「そいつ、しょーもないな!」とか「緋紗子にはもったいないね。」と勇気付けてくれることもあれば、「君のことを考えるだけで寝られなくなる」「早く会ってみたいな。君は完璧な女性だよ」とか日本人女性が言われ慣れていないような嬉しくなるような言葉を次々言ってくれることもあった。だけど、本当にタイミングが悪くて、結局最初に会うまでに1年半が経っていた。しかも、最初に会った時は彼の勤め先のビルの1階に入っているスタバで30分ほど話しただけ。私はそのまま新幹線で移動しなくてはいけなかったし、彼は次のミーティングが始まるまでの休憩時間だった。

初めてラインのやり取りをしたのが2016年の10月頃だったけど、そのスタバで会った日は2018年の3月だった。およそ1年半もの間、付かず離れずのやり取りで最初のデートは30分。私にしては考えられないほど健全。
帰りの新幹線の中で食べて!とチョコクランチの入ったクッキーを持たせてくれたのも嬉しかった。
しばらくして、また会えるチャンスはあったけどその時もセミナーの合間にタコスのランチを一緒にしただけだった。一瞬の合間でも会えるチャンスがあれば会おうとしてくれる姿勢が好きだったし、今もそれは変わらない。
セックスが第一目的ではなくて、女としても魅力的だと思ってくれていると確信できるのは、女のメンタルを安定させるに相応しい男友達要素だろう。

彼のことを大好き、会いたい、と思って恋い焦がれたことはない。だけど、辛いことがあったり、寂しくなった時に彼の存在を思うだけで心がふっと軽くなるのを感じた。陽気で楽しい会話、ジョークが上手。優しくていつも私を甘やかしてくれる存在だった。絶対に傷つくようなことを言わないし、口論になる気配すらなかった。そこに私の恋愛感情がないからだろうけど、ただひたすら安心感のある存在。

そんなAとついにセックスすることになったのは、私が出張に来ていたタイミングだった。安心感があったし、Aはセックスが上手だった。1回の挿入の間に数回いけるタイプの男はなかなかいない。気持ちの面で信頼関係ができていることも理由のひとつとして考えられるだろう。
その日は泊まっていったけど、いびきがひどくて寝られなかった。無垢な寝顔を見つめる。

あぁ、やっぱりAはいいやつだけど、恋愛にはならない。人間として大好きだけど、恋人にも愛人にもなれない。そう思いつつも、彼のことを適当に扱うことは到底できない。いてくれないと困るから。私に旦那がいても、彼氏がいても、優しく包んでくれる人。都合よく扱ってごめん、と思うけど彼の存在はきっと私の中で必要だ。

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