広告制作会社のこと、ぜんぶ話します④
宣伝会議コピーライター養成講座でのこと
大学の図書館で、コピーの講座があると知ってから、
いてもたってもいられなくなって、
なけなしの貯金を叩いて、
すぐに宣伝会議コピーライター養成講座に通うことにした。
無知な大学生の僕にとって、講座は刺激の連続。
毎回、広告業界の第一線で活躍している様々なコピーライターの方が
講演をしてくれる。それぞれのコピーライターの方が、
自分が世に送り出した広告作品をプロジェクターに映し、
制作の裏話やら、コピーが生み出されるまでのプロセスなどを解説してくれた。「ああ、この広告知ってる」「面白いと思ってたCM、この人が作っていたのか!」といったミーハーな好奇心はもちろんのこと、
「こういう考え、視点を持ってコピーって考えられているのか」という
発見もあって、講義は毎回楽しみで仕方なかった。
大学では教えてもらえないスキルが、
ここに通っている人限定で教えてもらえているという、
よくわからない優越感もあったと思う。
また、毎回「〇〇のコピーを考えよう」みたいな課題が与えられ、
講師の人に好評してもらえるのも、モチベーションになっていた。
ベスト5やベスト10に選ばれると、宣伝会議名物、金の鉛筆がもらえるのだが、自分の考えたコピーが他の人より優れているということだけで、
「おれはクリエイターに向いているんだ」と変に調子に乗っていたようなところもあったと思う(大学生ならではの痛い部分だ)。
でも、コピーライターになって10年以上経とうとしている今でも、
この講座での教えは役に立っている部分はある。
・広告というのは、商品(企業)を介しての、新しい暮らしの提案だ。
・コピーを書く上で、その表現は「描写」ではなく、「解決」になっているか。
・そのコピーには、ビジュアルが浮かぶ余白があるか。
・コピーを考える際は、いろんな視点に立つこと。
(リンゴを中から外から、上から下から見つめる。おじいちゃんがリンゴを持ったらどうか、赤ちゃんがリンゴを持ったらどうか。宇宙人がリンゴをもったらどうかなど、切り口をどんどん変えて探っていく)
・その人(ターゲット)にとって、商品があることでの正しさを言ってあげること。
・商品があることで、その人(ターゲット)の生活がどう変わるかを想像する。
上記のことは、いろんなクリエイターの方が異なるな表現で伝えていたが、自分なりの解釈にまとめあげて、
僕の中で、コピーや企画を考える上で、ずっと指針になっていることである。
これだけを吸収できただけでも、この宣伝会議コピーライター養成講座に
通った価値はあったと思う。
だがしかし、この講座に通ったことで、
社会人になってから少なからず、というか、
現実と理想のギャップに悩まされることになるのだ。
簡単に言うと、講師をされるようなスタークリエイターと
普通のクリエイターでの業務の違いとでもいうのだろうか。
次回は、社会人になってからの話をしていきたいと思う。
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