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4級、3級(V2、V3)で、止まってしまう理由【後編】

4級、3級(V2、V3)で、止まってしまう理由【前編】


前編をお読みいただい方なら、『具体的にどんな要素が増えるのか』『基礎的な動きとは』と思う方も多いと思います、
基本的に追加グレードが上がるごとに増えやすい要素は下記になります。

•級が上がるごとに増える要素
→安定感
→ポジションの確定
→取り先のホールドと動き

まずは、安定感です。
安定感と言われても、様々な安定感があります。
メンタルの安定、筋力や持続力の安定、同じグレードを登り続けられる安定、登れた課題をいつでも登れる安定と様々です。
ここで言いたい安定感は、『ゆっくりでも動ける』と言う安定感です。
クライミング用語で言うところの『スタティック』と言う事です。
クライマー同士の会話で、「あそこはスタで取らないと、振られて落ちるよ。」などと言う、使い方で使われる単語です。
日本語では『静的な』と言う単語になります。
つまりは、『静かにを取りに行く』と、言う意味で使用されます。
では、『何が静か』なのでしょうか。
極端な事を言うのであれば、まず音はほとんどなりません。何せ『静かな』と言う意味なので、不必要な音は鳴ることはありません。
次に、両足がホールドから離れたり、早く動く事も基本的にしません。
それが基本的な動きになるからです。
では、この安定感をどうやって出していけば良いのか、と言うことになります。
それは、前編でもお伝えしたように、手順、脚の場所をきちんと考える必要がります。
そこができて初めて、体重が脚に逃がせるようになるので、動きやすくなり、上達に繋がります。

次にポジションの確定です。
これは人によって大きく差が出てくる部分ですが、まずは基礎をしっかり固めて行きましょう。
課題を見るときに、皆なさんは、2D(二次元)、もしくは、3D(3次元)のどちらで考えているでしょうか。
面壁(真っ平の壁)や、立体壁(面が変わっている壁)で、違うと思われる方も居ると思いますが、基本は3Dで考えてポジションを考えていきましょう。
仮に、「紙を使って、三角形を作って下さい」と、伝えたときに、わざわざ鉛筆や定規を持ってきて下書きをする人も少ないと思いますが、紙の上で鉛筆や、定規を『建てて』三角形を作る人はいないでしょう。
ですが、クライミングではそれくらい捻くれた考えを持って居て十分です。
壁の上にホールドがついている段階で厚みが出ます。
この段階で3Dになっています。
仮に、壁に埋め込まれていたとしても、考え方は同じです。
『奥行き』ができているので3Dで考えてください。
そうでないと、『自身がどこに収まるのか』わかりません。
ホールドの厚みも考えておかないと、『どれだけホールドが持てるのか』わからなくなります。
重要な事は、自分が居るはずの空間に、どのようにすれば安定した状態で、そこに収まれるのかが試されるからです。
特に、身長の高い方は、収まるのは苦労するので、次のホールドにとばしたりしがちですよね。
それを我慢して、考えていかないと、高グレードになればなるほど登れる課題が絞られてしまいますよ。
その『収まって動ける場所』そこが非常に重要です。
このパートは、別項目として詳しく解説していきたいと思います。

次に、取り先のホールドと動きについてです。
今までの項目は、基本的に『その場から次を取る』と言う事をベースにお話ししてきました。
しかし、クライミングではそこは『通過点』です。
重要なことは、『全てこなしてゴール』と言う事が、大前提となるスポーツです。
次を取っても動けない、何も考えて居なかったでは、ゴールに到達することはできません。
そこから先のポジションにどうやって入り、次にどうやって繋げて行くのかが重要になります。
その為に、登りたい課題を切って登る事があります。(以降『バラす』と表記します。)
このような場合に、バラしの部分だけを意識して、次に繋がる動きを考えない方が非常に多いです。
いわゆる核心部をバラすのは問題ありませんが、バラすと言うことは、他のパートを度返しして居るので必然的に元気です。
その状態で、『これでできる』と感じるのは、ある程度経験された方なら当然と思われるかと思います。
しかし、どうしても経験値が少ないと『これでいける』と感じる感覚がかけ離れたものになって居る場合が結構あるんです。
スタートからゴールまでの流れが、全てつながって『クライミング』です。
目の前のホールドのことだけでなく、全貌を理解して『体の動き』『足の動き』などしっかり考える事が非常に重要です。

では、『上手い、強い人はどう考えている』のでしょうか。
重要なのは、『楽に登る』と言うことをしっかり考えて居ると言うことになります。
クライミングをする上で、よく耳にするのは『パワーは必要ない』と言う事をよく耳にすると思います。
はっきり言います。そんなこと嘘です。そんなわけがないんです。
では、なぜ登れる人は『楽そうに見える』のか、と言うことになります。
これは、『自分が一番力の要らない持ち方』を知って居るのと同時に、『自分が一番力が必要な持ち方』を知って居るからです。

別のスポーツで言うのであれば、サッカーでボールをキープする時に、ディフェンスが後ろに背負うのが得意、フェイントですぐに突破してしまいたい、味方にパスして奪われるのを防ぐなどの手段があります。
サッカーは11人で構成されているスポーツですから、『ゴールをする事、守り切る事』が重要視されます。
また、選手ごとに特色があって、勝利条件も様々にあります。
しかし、クライミングは『個人競技』なので、1人で何役もこなさなければならい。
一つの持ち方、一つの抜け方しか知らないと、到達したいゴールには辿り着くことができません。
そこで、『自分が楽に登れる方法』をいくつも持って居るかで、対応ができるようになります。
もちろん、逆も重要になります。

『苦手箇所の対応力』が増えれば増えるほど、クライミングは楽になります。
そのために、基礎的な動きや、ポジションへの入り方を重視したクライミングが重要にあります。

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