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4級、3級(V2、V3)で、止まってしまう理由【前編】


これまでは、クライミングでも特にボルダリングでの変化や、マナーにつていお伝えしてきました。
ここからは、ボルダリングの基礎的な考え方や、課題に対する捉え方をお伝えして行きたいと思います。
タイトルにもありますように、ボルダリングにはグレード、つまりは何級(V何)などの階級があります。
そこでよく停滞しがちなグレードが4級や、3級くらいではないでしょうか。
では、なぜそれより下のグレードが登れるのかをまず考えて行きましょう。

•5級くらいまでは登れる理由
まず5級までのクライミングの課題として考えられることは、以下の三点に絞られてきます。
→①最低限の筋力
→②手順
→③足の場所

まずは、① 最低限の筋力になります。
これは、経験者の方であれば自ずと理解頂けると思うのですが、自身の体重を支える、引き上がる筋力は必然的に必要となってきます。
特に、女性の方は始めた当初は、『こんなにしんどいスポーツなのか…。』と感じた方がほとんどではないでしょうか。
クライミングにおいて自分の体重を引き上げ、立ち上げって行く動きは必ず必要になります。
ただ、数回練習して慣れてしまえば簡単にできる動きでもあります。
逆を返せば、反復練習してしまえば、筋力は必ずついてくるので、出来てしまうんです。
なので、最低限の筋力しか必要としないため、登れると言うことになります。

次に、②の手順に関しては、観察をしっかりされている方なら、迷うことはない部分です。
どんな課題にも、一番楽に行ける手順は存在します。
それを探すには、登っている状態を待機中に如何に考えられるかが重要になってきます。
しかし、5級までの課題は前述したように、ある程度の筋力があればできてしまうと、言う側面が存在するために、特に男性は無理に行きがちです。
そこが、後半でのグレードが上がった時の致命傷として、顔を出してきます。
こうなってしまうと、『自分の登り方』がある種の『癖』として出てしまうので、直すのが難しくなります。
そうなる前に、手順を考えて、簡単な課題を、より楽に登れるように考えて登ることは、非常に大切です。
特に、5級までの課題は親切な課題が多いため、比較的持ちやすいホールドが並びます。
なので、手順自体が間違えて居ても登れてしまうのです。

③ 足の場所は、① 最低限の筋力と② 手順の両方があってやっと成立します。
手順が間違えていれば必然的に、足の位置は違う場所にきます。
しかし、筋力があれば、多少間違えた位置に乗って居たとしても、引き上げてしまえば完登する事事態は可能です。
あくまでも『可能』と言う事だけで、次に確実に登れるかと言うと、不透明です。
もっと言うならば、手と脚の筋力を考えた時に、どちらをきちんと使えた方が、より確実に、より楽に登ることができるでしょうか。
答えは必然的に脚になるはずです。
5級までは特に大きい脚で乗りやすい物が多いので、多少間違えて居たとしても、ホールド間の距離も近いため、引き上げてしまえば登れてしまうのです。

では、上記を踏まえて、なぜこのような登り方になるのかを考えて行きましょう。
特に2015年前後もしく、東京オリンピック辺りからクライミングを始めた成人の方に多く見られる傾向かもしれません。
項目としては以下のようになるかと思います。

•向いてない事はしない。
•周囲をきちんと見ない。
•諦めるのが早い。
•映えを狙い始める。

上記項目を一つづつ見ていきたいと思います。
まず最初に、『向いていない事はしない。』と言う部分です。
現状の苦手部分は、今行っているグレード以前にやってきた課題で、『あなたがやってこなかった』事が、苦手な部分として出てきています。
私で言うなら、カチ課題は未だに苦手ですし、トライする時も多少躊躇はあります。
なので、苦手を感じてしまう前に、クリアできるグレードの課題は全て登れるようにする事は非常に大切です。
ジム内でも、いくら『○級』と表記されていても、全て同じグレードに感じることなんてあり得ません。
必ず誤差がでます。
また、ホールドも様々な物があるので、そこで持つ練習をする事で、次のグレードに上がった時に、大きな苦労を少しでも楽にする事もできます。
『向いてない事はしない。』と、片付けるのではなく、一歩下がって基礎からやり直すことも大切です。

また、『一歩さがると言う意味』でもありますが、『周囲をきちんと見ない』と言うことも、自分のクライミングの幅を狭めてしまう原因です。
自分のグレードと近いクライマーだったり、それより上の方、下の方、様々なクライマーがその時々に同じ場所にいる状態です。
別の記事にも記載したマナーの部分で、『危険だと思ったら声をかけましょう』と、お伝えしたと思います。
これを実行するには、他者に目を向ける必要が必然的に発生します。
ただ、これはエリアを安全に保つだけでなく、『他者の行き方を見る』と言うことにもなります。
『見る』と言う行為は、非常に情報量が多い行為です。
もっと言うのであれば、聞くより見た方が物事はわかりやすくなります。
では、『なぜ見ない』のかと、言うことですが。
どうしても、自分が登ることに必死になってしまうと、周囲を見る余裕がなくなります。
しかし、『余裕』がない状態では、課題に集中する事も、失敗の原因も把握する事が難しくなります。
その余裕を作るためにも、広い視野を持って課題と向き合う必要があるので、周囲に目を向けて人の動きを観察したり、自分の登りと何が違うのかをしっかりと見比べましょう。

それでもできないと、諦めてしまう事もあると思います。
しかし、その課題をどれくらいトライしましたか。
インドアクライミングでは、ジムによって1か月から2か月程度で課題が変わって行くので、別の課題を触りたくなるのは十分に理解できます。
その中でも、好きな解題や、登りやすい課題を狙ってしまうのも理解はできますが、やらないとその課題はいつまでも苦手です。
前述した内容のように、簡単なグレードの課題でも、苦手だからできないと、避けてしまうと本当に登りたいグレードで登れなくなります。
あくまでも私の感覚ですが、本当に苦手なものは、中盤と最終で触るようにしています。
自分の調子のいい状態の時に苦手な課題を集中してトライし、それでもできなければ、終盤に力の抜けた状態でイメージを中心にトライして行くようにしています。
または、ホールドチェンジの前の週などのトライは、苦手課題を集中してトライして、できるだけ課題の回収を目指すなどしております。
ここは、人それぞれトライの仕方や、調整の仕方があると思います。
トライアンドエラーから、『原因』が必ず出てきます。
その原因が、自身で消化できるようになれば、必ずグレートが上がった時に役に立つはずです。

そして最後に、今流行りの『映え』を狙った投稿の為に撮影する方が増えていると思います。
個人的な感覚ですが、難しい課題は必然的に映える課題が多いのは当然です。
一級、もしくは、初段辺りからは、核心部(一番難しいパート)は、必然的に動きが大きくなったり、動き自体が難しかったり、どうしても握り込まないと進まないと行った箇所が出てきます。
それは『必然的』にそう設定されています。
では、『今、自分が登っている課題で、それは必要ですか』と、言う事を自分問いかけて下さい。
ランジ、コーディネーションの走る動きや、トリプルダイノをする必要性は本当にありますか。
重要なのは、『ケガをしない事です』
映える課題は必然的にその動きになるので、そうせざる終えません。
『行ける課題を丁寧に登れてこそ』、映えに繋がると個人的に感じるので、まずは映えを狙う前に、丁寧に綺麗に登れる方が重要です。
自分のケガのリスクも考えれば尚のことです。
足の乗る場所、取り先の保持面や、落下位置まで予想できてこそ、ケガのないクライミングができます。
特に、動きの大きな課題になれば、横や後ろに大きく飛ばされることもあるので、誰かを巻き込んでしまう可能性もあります。
リスクも考えてのクライミングですから、映えより安全面と、自分の技術と向き合いましょう。

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