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中国政府のオンラインサービスの発展について。スマホで全ての手続きが完結する世界へ

中国政府が提供しているオンラインサービスの発展がすごいです。日本ではあまり報道されてないと思いますが、知ると日本の現状との差にショックを受けると思います。

2019年、中国政府は「デジタル政府」の整備を積極的に推進していました。なかでもIT事業に強い省(県のこと)、例えば浙江省(アリババやネットイースの本社などがある)や広東省(テンセントやHuaweiの本社などがある)の地方政府が「全国統一オンライン政府事業サービスプラットフォーム」の基盤を作り上げました。

これを発展させ、2019年11月にリリースされた「国家政府事業サービスプラットフォーム」では32地域、46部署の連結を実現し、中央政府の1142項目および地方政府の358万項目のサービスがオンラインで利用できるようになりました。

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↑簡単な手続きなどはもちろん、原子力発電所の建設から消費被害の告発まで対応できます、すごい!

これによりオフラインでの手続きが大きく減りました。政府、企業、個人の全てが効率化のメリットを得ることができます。

さらに、全国統一の最も重要な点は、地方による基準の差が少なくなり、全国共通プロセスが推進されることです。ここは日本とは大きく違うところで、中国はとても大きく、人数が多すぎ、地方による差が大きいのです。

と、ここまで書いてきても、文章ではなかなかピンと来ないでしょう。個人がどのように利用できるかについてキャプチャーで紹介します。

上記のWebページ以外でも、アプリを使ってのアクセスも可能です↓

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↑中央政府が運営してるものと地方政府が運営してるもの

アプリをダウンロードしなくても、WeChatやアリペイのミニプログラムでも簡単にアクセスできます。(日本で例えると、これらがLINEアプリ上で気軽に呼びさせるってことですね)

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↑WeChat内ミニプログラムの場合は個人利用が中心。最近では出入り用のQRコードや保険証(コロナウイルスにより、これらが提示できないと入館できない場所が多い)などが一番わかりやすいところに表示されてます。ここからPCR検査の申し込みもできます。

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他にも、法人用、地方政府サービスへのアクセス、関税、税務署などたくさんのサービスが用意されています。

アリペイの場合も同様に使えます。さらに、良く使うサービスを想定してアリペイのUIに合わせて開発された「市民センター」というまとめ的な入り口も用意されていて、とても便利に使えます。

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↑よく利用するサービスやロケーション情報を元に必要そうなサービスが表示されます。さらに、政府発表などの重要情報を確認するための「市民広場」という項目も用意されています。

この他にもミニプログラムで実現できるサービスはたくさんあります。

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↑例えば国家移民局のオンラインサービスでは、パスポートの申し込みや自分の出入国の記録調べができたり、さらに最近では出入国の便での新型コロナ感染者の有無を簡単に確認することができます。

専用のアプリも開発されてます。今の時期的にはこれが人気です↓

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税務署のアプリで簡単に申告ができます。課金された収入や税金免除できる項目の提出、税金の納付や還付など、全てアプリ一つで完結できます。

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どうでしょうか。未だにマイナンバーも全く普及していない日本とは大きな差になってませんか。

中国のインターネット発展と現状を統計する最も信頼性の高い機構のひとつCNNICが、つい先日発表した「第45回中国インターネット発展状況統計報告」によると、2020年3月まで「オンライン政府事業サービス」(在线政务服务)の利用者数は6.94億に達し、これはネットユーザー全体の76.8%を占めます。

2019年12月までは関連プラットフォームの登録者数が2.39億でしたが、新型コロナウイルスの感染予防に広く利用されたことで、ユーザー数が前年末より大きく伸びました。社会インフラがステップアップしたのです。

また、「デジタル政府」の建設はこういった実務的なサービスだけで終わりません。政府による情報発信も、国民のメディア利用習慣に合わせて日々進化してます。しかも各地域ごとに異なる特徴となるのが興味深い。

CNNICの報告書によると、2019年にモバイル端末で百度経由での政府事業サービスに関する検索量が201.97億回でした。中でも広東のネットユーザーが最も検索したそうです。

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Weiboのオフィシャル認定された政府機関アカウントでは13.9万個、河南省が最も多くの10,185個。

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ByteDanceのニュースアプリ「toutiao」でのオフィシャルアカウント数は82,937個で、山東省が最も多く8,325個。

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tiktokでの政府認定オフィシャルアカウント数は17,380個で、こちらも山東省が最も多く1,175個。

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このように、オンラインサービスのインフラは大きく発展してきています。「情報が政府に...、プライバシーが...」の話はあると思いますが、中国から学ぶことはたくさんあるように思えます。

そしてネットを使ってない(使えない)人たちはどうなっていくのか心配になります。データでは中国ではまだ5億人近くがネット難民で、こういった方々をケアしていくことも重要になってきそうです。

(参考資料)

http://www.cnnic.net.cn/hlwfzyj/hlwxzbg/hlwtjbg/202004/P020200428399188064169.pdf

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