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Alibabaの「夸克(Quark)」ブラウザに大学入試向けの特集ページがある中国ならではの理由

前回、Alibabaのブラウザ「夸克(Quark)」の素晴らしさや機能、使ってみての感想を紹介しました。

今回はその中にサービスとして用意されていた大学入試向けの特集ページ「高考志愿填报」について説明します。

前回のnoteで、日本のみなさんから「なぜいまさら新しいブラウザ使うの?」と感想をもらいました。ブラウザの機能が良くなったなどの理由もあるかもしれませんが、実はそのほかにも中国的な事情があるのです。

中国でお馴染みのブラウザといえば「百度」ですが、以前にも紹介したように、検索エンジンの中国市場シェア7割くらいを占めている「百度」はお金で表示の順位が変わります

ビジネス目的な健全な広告に対しては理解できますが、わけのわからない病院やサービス業に関する詐欺サイトでも、お金を出せば検索結果リストの上位に表示させることが可能なのです。

病院の広告で詐欺の被害にあった人や亡くなった人もいます。その都度中国のネット民から叩かれましたが、こういった広告は未だに「百度」のビジネスモデルの一つとして存在しています。

病院だけではなく、例えば大学の入学についても広告表示は問題になっています。先日のnoteで中国のセンター試験について紹介しました。大学入学試験はそろそろ出願のタイミングになります。

昨年、新華社が報道した内容ですが、山西省の教育管理部門が「検索結果のリンク経由の出願をしないでください」と呼びかけました。

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どこの検索エンジンなのかは明言しませんでしたが「百度」で検索をした場合の結果はこのようになりました↓

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後ろに薄い水色で「広告」の表示がありますが、みんなのネットリテラシーが高いとは限りません。正体不明のリンクの場合は、偽の大学のものや、出願が無効なものもあります。場合によっては個人情報の漏えいでさらに大きな事件になる可能性も十分あります。

「百度」は昨年この記事が出てからすぐ対応しました。今年は検索結果の上部にオフィシャルサイトへの誘導を設定しています。

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しかし過去にあまりにもたくさんの不祥事があったので、ネット民からの信頼は低くなっています。一度落ちた信頼を取り戻すのは簡単なことではありません。

アリババブラウザ「Quark」のような、まだ市場シェアの高くないアプリはその隙をついているのです。「高考志愿填报」というページを用意して、その機能をアピールすることでシェアを獲得しようと努力しています。

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いかがでしたか?

今回の2回の投稿で、サービスのインターフェイスや機能・サービス、使っての感想、そして中国の検索サービスが抱えてきた課題についてを紹介しました。

「Quark」の技術的な取り組みや検索の精度などについては後日難しいレポートなんかを調査して改めて紹介したいと思いますので、気になった方はぜひフォローして応援してください。


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