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PRADAの呪い。ますます難しくなるブランドプロモーションと中国ネット民の意見

「プラダを着た悪魔」はボクも大好きな映画なんですが、悪魔ならぬ“プラダの呪い”が中国でバズっていて、それに対する中国ネット民の意見が面白いので紹介しましょう。

最近、日本での芸能人の不祥事で作品の公開や広告ビジネスがうまくいかないケースの数々が中国のネットでもバズっています。そして、ボクの感覚的には中国のネット民は日本人よりも不祥事に厳しいです。薬物使用や売春などの犯罪行為はもちろん、不倫や異性関係の乱れもバッシングされます。

ちょっと前に、人気の若い男性アイドル蔡徐坤(ツァイシューカン)が一晩の関係で妊娠した女性に子供をおろしてもらうためお金を払ったり、監視カメラで監視したりしたことが暴露されて、Weiboのトレンドジャックするほどバッシングされたことはご存知ですか。

Weiboの上位がほぼその話題に

日本もそうでしょうが、ひとたびビジネス価値の高い芸能人だと思われると広告にたくさん起用されます。蔡徐坤さんもPRADAの他には腕時計のTAG Heuer、ジュエリーのDE  BEERS、BVLGARIなどのハイブランドから、スマホのvivoや、ペプシコーラー、ネスカフェ、パソコンのhp、日本の化粧品のCPBやKOSEなど幅広くイメージキャラクターを担当。

ただ中国の場合は起用する芸能人の不祥事があるときは直ちにSNSで契約の終了や打ち切りが一般的で、彼の不祥事により大変な思いをした関係者が多々いたことでしょう。

特に今回の件で中国のネットユーザーはまた新しいバズりポイントを見つけました。それはハイブランドのPRADAが巻き込まれたこと。「PRADA代言人魔咒」と呼ばれ、この話題がすぐにバズられました。

「代言人」はアンバサダー、イメージキャラクターとのこと、「魔咒」は呪い。「PRADA代言人魔咒」はプラダのアンバサダーたちが一連の不運やスキャンダルに見舞われるという現象を指しています。

(Weiboにアップされたリスト、リサーチしたら厳密にいうと一部はアンバサダーではなく、一時期的にCMを出ただけですが)

五人続けてのスキャンダル。最初の二人は薬物使用、3番目は中国で禁止された代理母をアメリカで頼んだ上に子供を認知したくないなどの不祥事、4番目は複数の未成年との肉体関係などで今は刑務所、5番目は売春です。いわゆる全員が、中国政府の管理政策では「不徳芸能人」に当てはまります。

そして、蔡徐坤(ツァイシューカン)はこのリストの6番目。彼は特に重要な存在で、2019年にPRADAが起用した初めての中国人のグローバルアンバサダーだったのです。PRADAにとって中国市場は重要な成長エンジンなことは明白。

ここまで立て続けに連続での不祥事発覚はもはや偶然とは思えません。「PRADAは代言人の呪いに翻弄された」とネット上で揶揄され、微博(ウェイボー)のホットトピックである「#Prada代言人」のコメント欄には、「中国市場の収入は主に違約金に頼っているね」「今年のKPIは代言人自身が肩代わりしている」「推しがPradaに起用されたら要注意」といった皮肉たっぷりの投稿が。

大多数のネット民の声は「PRADAはブランドアンバサダーを選ぶ基準を見直すべきだ」です。ブランドが有名人を選ぶ際には、その人物の個人的な品格やプロフェッショナルな実績、リスクをより重視すべきだと主張。

ただ、擁護派ネット民もいます。この「魔咒」は単なる偶然で、アンバサダーを選ぶ基準に問題はない。有名人がスキャンダルに巻き込まれるのは避けられないことで、それはブランドの選択とは無関係だと主張。

また当然こういう意見もあります。一連の「魔咒」は実際にはPRADAのマーケティング戦略の一部である可能性だと。このような話題が生まれることで、PRADAは自身のブランドをより多くの人々に知らせることができ、結果的にはブランドの知名度を高めることができると主張。

と、いろん視点があって面白い。ちなみに、定量的にどのくらいの損失があったかも面白い報道がありました。PRADAはスターとの契約において一定の保証措置を講じていて、PRADAの契約では最高補償額が設定されており、万一スターの行動によってブランドに損失が発生した場合でもその損失は最高で全体の30%までに制限されるとのこと。

ハイブランド各社はスターを広告塔にして、マーケティングとPRするのが一般的でしたが、新しい時代ではこれも変わっていくのかもしれませんね。中国市場は競争が激しいので、ブランドは常に新たな戦略を模索しているでしょう。実際PRADAは若者をターゲットにしたデジタルマーケティングやSNSの活用に力を入れています。また、中国国内での店舗展開やイベントの開催など、地域に合わせた現地化戦略も実施しています。これについては需要があったらnoteで紹介したいと思いますので、知りたい人はハートしてください。

(参考資料)


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