見出し画像

Kickstarterのバカでかい箱内にあった最もアホで使い道のない4つのもの(The 4 most absurd and useless things ever to appear in a Kickstarter box)

本記事は、Anthony Faber氏が2021年6月4日に投稿した「The 4 most absurd and useless things ever to appear in a Kickstarter box」の翻訳である。

前回翻訳した記事で引用されていたことから翻訳している。タイトルはやや煽っているが、本文中の内容を踏まえたものとなっている。

Kickstarterをはじめとするクラウドファンディングはいわば祝祭だ。みんなが集まって盛り上がって散財するというイベントでもある。ジョルジュ・バタイユという哲学者は、祝祭には浪費を必要とするが、それは威厳や名誉を示すために行うためであったということを指摘していた(ような気がするし、これ自体は彼のオリジナルというわけではないと思われる。)。

小難しい話は措くとして、本記事は純粋に笑えるものだ。読者の皆さんも悲喜交々とした実体験があるはずで、共感することも多いかと思われる。それだけで本記事を翻訳した意義があると思う。

元記事は以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリー機能を利用させていただいた。

文章の膨大な量に目がかすんでしまったら、ポッドキャスト「Two Wood for a Wheat」において、肥大化して馬鹿げていて無駄なKickstarterの豪華な飾り物(bling)に関する議論を聞くことができる。それに、Level 99 Gamesの「エンパイリアル」のレビューも聞くことができる。

みんなKickstarterの肥大化については知っているね。ゲーム会社のクローゼットの中にあるあらゆる物が、ストレッチゴールとデラックス化による無尽蔵の必要性を満たすために最後には特大サイズの箱の中に詰め込まれることになる現象のことだ。今回は、Kickstarterのキャンペーンの良いところ悪いところや評価に関すること(value proposition, ※価値命題)を議論するわけじゃない。単に、今まで見た中で最高にクソだったものについて雑に笑い飛ばしたいってだけなんだ。

始める前に、私が4つのユニークな例を引き合いに出していることに指摘すべきだろう。全部、私が個人的に支援したキャンペーンで手に入れたものだ。カテゴリ分け可能なほど十分に一般化されたアイテムは避けている。多くのキャンペーンの中で繰り返されているバカバカしいものがそんなにないとは言えない。例えば、私が挙げる上位4つの中に、以下のものは一切含まれていない。

・アートブック

素敵な絵を見ることが好きな人を妬んでいるわけじゃない。けれど、出版社が重要なプレッジレベルで、アートブックを含めてしまうと、フルゲームを手に入れるために全く不必要なものに金を払うことを強制されているみたいで好ましいとは思わない。そうとはいえ、大抵の場合、アートブックはアドオンとなってあるから、あんまり気にならないかな。

・サウンドトラック

消費者はゲーム会社が選んだ音楽を購入したいはずだと考える出版社の意図(reasoning)があまり理解できない。およそ、Proctor & Gamble(※いわゆるP&G)がトイレに入っている間に流す音楽を商品に同梱するようなものだ。Ryan Laukatや、文字どおり全てに通暁しているのでない限り、ゲーム会社は道を踏み外す前によく考えてほしい。

・何も意味がないミニチュア

ミニチュア全般の話というわけじゃない。けれども、あるゲーマーの一部は、間違いなく全てのミニチュアが無駄であると考えている。私はというと、駒として用いられたミニチュアは、うまくいけば、ゲームの楽しさや没入感を高く向上するものだと思う。実際にはボード上に置かれなかったり、何かを示すために横に置いてあるだけだったりするミニチュアはそうではない。こういった多くの例のように、お金に火をつけて燃やしているようにちょっと思えてしまう。「Vindication」、てめぇのことだよ。

・豪華すぎるファーストプレイヤーマーカー

上記で挙げた品々は、Kickstarterの世界では文鎮のように役に立たないものだ。"デラックス化"されたファーストプレイヤーマーカーは、大きなキャンペーンでは不可避なストレッチゴールとなる。たとえどんなに素晴らしくて印象深いほど重いものが封入されていたとしても、実際にゲームをプレイする時には、常に忘れ去られてしまう。

本当にユニークな私のお気に入りたちの話をする前に、Kickstarterのボードゲームのリワードがどんなに馬鹿馬鹿しいと思ったとしても、ビデオゲームのリワードのほうが、全く別次元のレベルでその馬鹿馬鹿しさを具体化する傾向にあるのとは指摘しておくべきだろう。最高のものを見つけるためにYouTubeを見てみようか。私の個人的なお気に入りは、格闘ゲーム「Shaq Fu」(※ゲームの詳細はここ、キャンペーンの詳細はここ)のリメイクだ。超低額の3万ドルでシャキール・オニール(※有名なNBAプレイヤー)本人をDJとして自分のパーティーに連れてくることができた。「Night Trap」(※ゲームの詳細はここ、キャンペーンの詳細はここ)のリメイクでは、200ドルのプレッジによって、アホなJoe Lieberman(※アメリカの上院議員)が、ビデオゲームにおける暴力に関して、アメリカ上院議会で公聴会が開かれる理由づけとして、オリジナルの「Night Trap」を用いた時に作成された法律文書のデジタルコピーを手に入れることができた。

ともあれ、私のお気に入りの4つを紹介するよ。

4 「エンパイリアル」 - ポストカード

クレジット: Casey Liu

Trey ChambersとLevel 99 Gamesから出版されたこのゲームは、非常に多くのイカれた魔法の力に単純なルート構築とピックアップ・アンド・デリバーを組み合わせたものだ。そんなのうまくいくわけないように思うが、無数のプレイヤー固有能力と、そこから構築されるエンジンから生ずる深くて独創的なプレイをもたらす単純なシステムとして、見事にやってのけたわけだ。

あいにく、このゲームは、Kickstarterにおいて、ゲームの価値にふさわしい程度の成功を収めなかった。おそらく、ピックアップ・アンド・デリバーの鉄道ゲームを探している人たちとイカれた魔法の力を探している人たちがベン図上で重なる部分がかなり小さかったのが理由だろう。それに、このエッセイ的に更に重要な点をいうと、おそらく、「グルームヘイヴン」級の箱サイズに入って売られる軽い鉄道ゲームに対して130ドルを支払うことに興味がなかったんだろう。

このゲームがリストに挙げられている理由は、ポストカードのせいだ。このゲームには、Level 99 Gamesのファンタジー世界であるインダインの街を表現した8枚のポストカードがついてくる。私は、こういったものをいいなと思うと正直に言わないといけないね。アートはとても素晴らしい。けれども、アホらしくて無駄なものではないとはいえないよ。2021年になって、ポストカードを送る野郎なんているんだろうか。ボードゲームに真に必要なものはアメリカ合衆国郵便公社(U.S. postal service, ※USPSと表記されるアメリカにおける日本郵便)のサービスの悪化の証明だと考える奴はいるのか。私の購入したゲームから完全な価値を引き出そうとして、ポッドキャストの共同ホストであるPatにエンパイリアルの街が描かれたポストカードを送ったんだ。2週間経って、私の送ったポストカードはまだ届いてないとのことだ。Louis DeJoy(※アメリカ合衆国郵政長官。要は、USPSを所管している官庁のトップ)には感謝しかないね!

3 「Dwellings of Eldervale」 - 音響効果の付いた土台

クレジット: Nanon Visut

昨年出版されたものから、もう1つの大箱の派手なゲームである「Dwellings of Eldervale」には、デラックスレベルのプレッジがあり、ゲームのフルコンテンツを人質にして、8歳向けのおもちゃを押し付けてきた。8歳向けのおもちゃというのは、ゲーム内のモンスター取り付けて、卓上に置くと、うなり声を発生させる電子的な音声の出る土台だ(※これ参照。正直、笑ってしまった。)。これだけ。このために、40ドルを余分に支払わないといけない。あと、ところで、この土台は、小さくて調和したものではない。モンスターが乗り込んでいる浮島のように、馬鹿みたいにでけぇんだよ。このプレッジレベル(※デラックスレベル)で手に入れた余計なゲームコンテンツ(※土台)は、コスト全体のほんのわずかにしかならない。ゲーム出版社の方々、ゲームのフルバージョンを手に入れるために、無駄なうんちみたいなゴミ(clap)を買わせないようにしてくれ。そう、私は、クリスマスキャロルのスクルージみたいにケチ臭いんだ(Scrooge)。Mattelのおもちゃを売りたいのであれば、それはそれでいいさ。ただ、そのために私は金を支払いたくないのさ。ところで、こいつが、このリストの1位にならなかった唯一の理由が、正確に言えば、この音響効果付きの土台は、喜ぶ人もいるゲームコンポーネントであるからだ。そのほかのものは、ゲームのコンポーネントですらない。

2 「ダイナソー・アイランド」 - めんことスラングトークン

クレジット: Stuart Long

Kickstarterにはとある傾向がある。使い道のない無駄なものが含まれているKickstarterの製品は、そういったあらゆる無駄なものを全て収納することができるように巨大な箱の中に入ってやってくる。「ダイナソー・アイランド」は、ほかのKickstarterの製品ほどでかい箱ではなかったが、出版社は、何とかして箱の中に20ポンド(※約9kg)のものを詰め込もうとすることで、(※でかい箱に収納することを避けたメリットを)差し引きゼロにしている。

結果として、少なくともKickstarterのバージョンにおけるこのゲームの箱は最後まで閉まりきらなかった。私が"無駄なうんちみたいなゴミ"という場合に、みんな誇張していると思うかもしれないが、このゲームにおいてこの辛辣な表現がまさにぴったりだと思う。「ダイナソー・アイランド」には、ゲームにめんこ一式が封入されている。不満に覚えないのであれば、おそらく"めんこって何なんだよ?"って思っているはずだ。

ほら、デザイナーたちは、ネオンカラーと「ジュラシック・パーク」の模倣で90年代初期へのノスタルジーという想いを追求しているのは理解できる。けれど、めんこ? そいつは、遠すぎた橋(a bridge too far, ※1977年に公開された同名の戦争映画があるが、その頃の遊びっていう意味合いなのか無関係なのかは判然としない。)だね。めんこが何か知らない人のためにいうと、単なる小さいボール紙やプラスチックの円盤(この場合はボール紙となる。)に絵が描いてあるだけのものだ。それだけ。他には何もない。まあ、おそらく牛乳瓶のふたを用いて、それを叩きつけてひっくり返すような種類のゲームがあったみたいだし、子供たちはどうもめんこを集めていたみたいだ。

でも、冗談じゃない。あらゆる一時的な文化的現象がイケてるわけじゃない。ただ消えていくものだってあるはずだ。けれど、みんな、これだけじゃないんだ! めんこに加えて、陳腐なスラングが記載されたボール紙のトークンがあるんだ! 一体何のためにだって? わからない、単にわからないんだ。こんなにはっきりと、"環境について関心なんか一切持ってないぜ、ゴミ処理場を満杯にするために、できるだけ多くのボール紙のシートを印刷するだけだ"なんて言うゲームはほかにないよ。

1 「Lisboa」 - サイン入りのステッカー

クレジット: Vital Lacerda

こいつが、おそらくこの物語の中で最も悲哀あふれる章となる。「Lisboa」のキャンペーンにおいて、通常のプレッジレベルに10ドルを追加すれば、支援者は、Vital Lacerda本人のサインと手書きのナンバリングが付されたゲームが約束されていたはずだった。どうやら、Lacerdaがサインされるゲームのある倉庫を訪れることは実現不可能に終わったようだ。じゃあ、Eagle-Gryphon Gamesの解決策は? ゲームが手元に届いたら、10ドルを追加で支払った支援者は、その代わりにラセルダのサイン入りのステッカーを受け取ることなり、それを箱に貼り付けることとなっていた(と推測するよ)。そう、ステッカーだ。支援者が本当に欲しかったものは、箱に描かれたIan O'Tooleの美しいアートワークを名札シールのように見えるもので、その一部を覆うことだったみたい。やあ、僕の名前は……Vital Lacerda君だよ!

この馬鹿げた失態に対するオタクどもの怒りの反応は、滑稽だったよ。いまだに不思議に思うのは、Vital Lacerdaのサインのアフターマーケットにおける価値はどれくらいなんだろうか。エッセンシュピールの怪しげな片隅で私の「Lisboa」を質入れしてもいいかね。私は、1000枚のステッカーにサインするのに数時間も費やしているLacerdaの悲しい姿が脳裏に浮かんでしまうよ。こいつが良いアイディアだと考えたのは誰なんだ? Eagle-Gryphon Gamesは、どうやら3000部のゲームが燃えてしまったという倉庫の火災という妙にテーマ性のある困難な状況のせいにしようとしたが、燃えた3000部にはサインがされていなかったのは明らかだった。だから、この火災は、LacerdaとEagle-Gryphon Gamesの待ち合わせの時間を狂わせてしまったんだろうか。決して知ることができない秘密というのもあるのさ。

みんなこんな感じだ。私は、Kickstarterで出版されたゲームのほんの一部だけしか支援していない。だから、私が全く知らないKickstarterのボードゲームの中には、多数のもっとアホで使い道のないものがあると思うよ。それは何かな? 下のコメント欄で教えてくれな。

以上

※本記事と関連する記事としては、以下のものがある。

※Anthony Faber氏の記事としては、ほかに以下のものがある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?