Kickstarterのキャンペーンでやってはいけない10のこと(Top 10 Worst Things To Do in a Kickstarter Campaign)

本記事は、2022年5月13日、Board Game Questに掲載された「Top 10 Worst Things To Do in a Kickstarter Campaign」の翻訳である。タイトルはマイルドに意訳している(「Kickstarterのキャンペーンにおける最悪なことトップ10」だと角が立ちすぎる。)。

本記事は一支援者側の視点からみた"悪い"プロジェクトの例が挙げられている。Kickstarterでは、プロジェクトの成功と失敗がかなりはっきりと分かれるようになったと思われる。また、Kickstarterには批判が集まる一方で、利用するクリエイターの多様化もみられる。クラウドファンディングを行う予定のある人、クラウドファンディングにあり方について関心がある人が対象読者だろうか。

元記事は以下のリンク先を参照されたい。また、ヘッダー画像は、みんなのフォトギャラリー機能を利用させていただいた。

私は、多くのKickstarterキャンペーンを支援している。正直言うと、おそらく多すぎるくらい。つまり、私のDiscordの名前が"Big Bri the KS Guy"(※この記事のライターの名前はBrianである。)というのには理由がある。私はKickstarterが嫌いではないし、この趣味に対する差し迫った破滅の兆候だとは考えていない。このリストに対する私の見方(lens)には、全体的に、ユニークなゲームとゲームプレイのためというKickstarterのゲームを支援する理由が反映されている。私が支援する第一の理由は、そういうものだ。

注意:このリストは、ゲームが配達されていることを前提としている。製品が配達されないことが最悪だってことは明らかだよね。

10 より多くのお金を支払えば、ゲーム内に支援者の似顔絵を入れ込むことができる

私は、Kickstarterのキャンペーンにおいて、可能な限り多くのお金を稼ぐことに全面的に賛成するが、これをリワード(※reward, 報酬)の選択肢として見るたびにドン引きする(cringe)。私が指摘する問題は、ゲーム内に他人が出現することではない(そういう理由で、この項目は10位にとどまっている。)。アートがテーマ的に非現実的となるのが問題なわけだ。アーティストは、古代エジプトでメガネをかけた人を(※アートの中に)押し込む方法をひねり出すのではなくて、ゲームの見た目に関して100%のコントロールを持っていてほしい。

9 各ゲームに固有の(unique)番号を付して宣伝する

自分のゲームが10000個の中の4932個目であっても気にはしないさ。"固有の番号“のあるゲームを所有することは、私にとって重要ではない。これが、もしストレッチゴールだったら、かなり腹立たしくなるね。真面目な話をすると、もし、ゲームに固有の番号を付すことをセールスポイントにしようと思ったら、最初からそうすればいいはず。こんなことに、ストレッチゴールを"無駄に"しないでくれよ。もちろん、ストレッチゴールは単なるマーケティング手法だってわかってるさ。だから、私にとってはいっそう意味がわからなくなる。つまり、固有の番号を付けるマーケティング手法が全く理解できない

8 箱に自分の名前を入れ込む

ゲームに固有の番号を付することよりも、その重要性は格段に落ちるのが、箱に自分の名前を入れ込むことだ。実際、私は、毎回、これを拒否している。製品を購入した時に、そのことを誰かに伝えようとは思わないよ。ただゲームが欲しいだけさ、お願いしますよ(please and thank you)。

7 ストレッチゴールとしてプリント&プレイがある

私はプレイするのに十分な量のゲームを持っている。キャンペーンの一部として、早く手に入るプリント&プレイのファイルは必要ない。紙や高すぎるインクを無駄にしたくない。ゲームが実際に届いて完全な形で遊ぶまで待てるさ。これがストレッチゴールだった時には、特に怒ってしまうよ。これまた別のストレッチゴール枠の無駄遣いだ……。

6 ストレッチゴールとしてアートの印刷物がある

個人的に、ボードゲームの最大の魅力の1つがアートだ。美しいイラストのカードと同じように、それによって引き立つ美しいイラストが入ったボードが大好きだ。このせいで、私はボードゲームに魅了された(もちろん、信じられないほど素晴らしいゲームプレイと同時にだ。)。私はアートの印刷物は欲しくない。無料であっても欲しくないよ。特に、ストレッチゴールとして欲しくないよね。お金を節約して、ゲームの他の部分の印刷コストにお金をかけてくれよ。

5 ゲームに入れ込むことができるブランク(※白紙の)カードのテンプレートがある

私は、食べ物、洋服、家、そして素晴らしいボードゲームを得るために、金を稼ぐ仕事があるわけだ。私はゲームデザイナーではない。自分が好きだったり嫌いだったりするゲームメカニクスがわかっている。ゲームのバランスを整える方法は知らないし、それをやってみたいとは思わない。中世を舞台にした交易ゲームにおいて、私の子供/犬/車/使っていない刀を入れ込むために、私にブランクカードを与える必要はない。

4 ストレッチゴールを通じてアドオン(Add-Ons)が解放される

ストレッチゴールが到達しそうになると、わくわくする。このゲームに何が付け加わるのかという謎や期待が心を躍らせる。そして、それが明らかになって……拡張を購入できる権利が解放されました……わーい? これは、ストレッチゴールにおける"忘れずにオヴァルティン(Ovaltine, ※ミロのような麦芽飲料。訳者は飲んだことがない。)を飲んでください"ってやつだ(※日本未公開だが、アメリカでど定番のクリスマス映画「A Christmas Story」の中のセリフ。)いいかな、出版社はみんなにもっとお金を使ってほしい。わかったよ、アップデートを通じて、もっとアドオンを購入できるように付け加えるだけ。ストレッチゴールが達成されるまで隠してはいけない。文字どおり、これにはわくわくする人は誰もいない。

3 初めて(Kickstarterを行う)出版社/ミニチュア付きの200ドル超えプロジェクト

私は、Kickstarterの目的を理解しているさ。Queenみたいな既に定評のある出版社向けのものではないよ。けれども、ボードゲーム業界は、「Zombicide」がKickstarterでローンチされて以降、劇的に変わった。ゲームはもっと高価になる。材料はますます高価になる。輸送料は……、言いたいことはわかるね。キャンペーンの運営、物流、それらがもたらす多数の複雑な事柄に対応する経験値がなくても、そこそこの(reasonably)値段のボードゲームであれば、まあ良いさ。初めてKickstarterをする出版社が、70個以上のミニチュア、3つ以上の拡張、30個以上の未解放のストレッチゴールがあり、200ドル以上の金額を支援を求めているのを見ると、大抵はもうそれで見向きもしない(a hard pass, ※ハードパス)。まずは、信用と経験を築きなさいな。

2 ストレッチゴールとしての音楽

やめるんだ。私の音楽の好みを知らないだろ。あなたの友人/いとこ/配偶者が作曲した音楽を聞きたくないよ。あなたの専門はゲームをデザインすることであって、"雰囲気を盛り上げる"ために音楽を提供することじゃない。むしろ、アートの印刷物やアドオンを購入する権利のほうが欲しいよ……。

1 あらゆる種類の早期支援特典(Early Birds, ※アーリーバード)

Kickstarterのキャンペーンでの最大の非難の1つは、それが生み出す取り残されることへの恐れだ(FOMO, fear of missing out)。特に、"Kickstarter限定ストレッチゴール"ってやつな。正直にいうと、なぜそういった手法が利用されるか理解しているし、そういった手法は大きな問題ではないと思う。私は、早期購入特典の提供こそが問題だと思うね(最初の24時間又は48時間以内に支援したら、"あるものが無料"とか"10ドル安くなる"とか)。なんでこういう手法を取るのか理解しているさ(目に触れやすくするように、キャンペーン開始時の支援者の数を増加させるためだ。)。だが、私は好ましいとは思わない。全てのキャンペーンのローンチと開始時間を調査する時間はない。私が興味を持った複数のキャンペーンが(※同時に)あったことがあるが、早期特典を逃していると気付いたら次に移るだけだった。ローンチ時にいなかっただけで、同じコンテンツにより多くのお金を出さないといけないなんて、ただただ失望するだけだ。少なくとも、Kickstarter限定ストレッチゴールは、プレッジマネージャーを通じていつでも手に入れられるけどね!

以上

※本件に関連する記事として、以下のものがある(以下の記事は、出版社側からみた内容となっている。)。

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