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Shut Up & Sit Downが語るBoardGameGeekランキング:101位から81位まで(SU&SD TAKE ON THE BOARD GAME GEEK TOP 100: 101-81)

本記事は、2017年5月22日、Shut Up & Sit Down(以下「SU&SD」ということがある。)という海外大手ボードゲームサイトに投稿された「SU&SD TAKE ON THE BOARD GAME GEEK TOP 100: 101-81」の翻訳である。

SU&SDは、Quintin Smith、Matt Lees、Tom Brewster、Ava Foxfortの4名が中心となって運営されているボードゲームレビューサイトYouTubeチャンネルを指している。コメディタッチの独特のレビューはファンも多い。よくSU&SDが揶揄することとして、大型のミニチュアが多数含まれたボードゲームが高価になりすぎることが挙げられる。

海外において、この記事はかなり参照される。引用回数でインパクトを図る学術論文に喩えると、この記事はボードゲームを論じる上で必須記事と評価することができる。これを読んでない奴は"モグり"ともいえる。

日本で読んでる人はかなり少ないだろう。"モグり"を少なくする、そういう意味合いで翻訳に手をつけることとした。けれど、訳者の予想では、これを紹介したとしても、ほとんど興味を持たれることがないと思われる。人に喜ばれない、報われない作業だけれど、まぁ、自分しかやらないしなぁという感じである。

なお、本記事は、かなりカジュアルな文体となっている。それゆえ、判然としない表現があり、誤訳等がいつもより多くなる可能性が高い。適宜修正するので、御指導いただければ幸いである。また、SU&SDのおすすめゲームには独自のマークが付されているが、note上には反映できないことから、便宜的に「☆」を付けることとしている。

元記事は以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像は、同リンク先の画像を引用している。

Paul:BoardGameGeekは、ボードゲームシーンにおける巨人であり、このホビー業界で最も総合的で参照されるサイトであるだけでなく、我々がインスピレーション受けたという膨大な恩義もある。また、BoardGameGeekは、オタクの中でも絶対的なボードゲームオタクの神々ども、すなわち小さいジップロック袋(※チャック付きポリ袋)に月々の手当を充ててるような野郎にとっては故郷だ。我々も、疑問の余地なく、そういったカテゴリに分類されるけれど、全員がそういう人たちではないということを理解しているし、我々の意見とは異なったものになるというのは不可避だよね。

BGGのトップ100ランキングに居座り続けるという永遠の戦いの中で、非常に長い時間居座り続けた最も高い評価を得た作品を我々はどう理解すればいいか? 今週は、このリストに対する広範囲の、いや徹底的な分析を行うこととする。我々が何を取り上げ、何を思い、更に何を見逃してきたかについて話そうと思う。そこで、ゲームを順番に数えていって1週間を丸々費やす意義がある分析と冒険に入ろうか。

101位:「Mage Wars Arena」 ☆

レビューはここだ。

Quinns:よっしゃ! トップ100リストを始めるけど、ちょっと前の101位から始めるよ。このゲームはとても面白くて、省略するのが申し訳なく感じるからね。最初のレビュー以降、「Mage Wars」の様々なリリースや拡張を追っていたわけではない。けど、みんな次のことを知っておくべきだ。①いまだにこのゲームは、私が最初にプレイした時点と同じくらい大いにイカれたゲームだと考えられていること、②今では、「Mage Wars: Academy」というタイトルでもっとお手頃なスターターセットが入手可能だってこと。

なんて言ってたか。

Quinns:このゲームがバカバカしいなって感じるとすれば、このゲームはまさにそのとおりだからだね。昨夜、私のウォーロック(Warlock, 黒魔術師)は、のろのろと動く偉大な疫病のデーモンを召喚した。デーモンは、めっちゃ頑丈で、敵に向かって進ませるために役立つライオット・ホース(a riot hose, ※詳細不明だがゲーム内のカード効果か?)と同等の魔法を使うことができた。そいつは最高だったね。何週間も受信トレイに「ハースストーン」のベータ版に入れるキーを放置したままだ。私は、熊の力を用いてフェレットに魔法をかけておいて、都市を征服して軍隊を指揮する対戦相手が、フェレットを眠らせて逃げ去る必要が生ずるほど致命的になる軍隊を作り上げるまで、ベータ版のキーに触れるつもりはないね。

「Mage Wars Arena」には、ほかのあらゆるものよりもユーモアのセンスがあるという点は、過剰なように感じてしまう。このゲームは、間違いなく全てがうまくいっているボードゲームというだけだ。たとえ小さなことであってもね。簡単に理解できるルールブック、ルールの半分を用いた"初心者用ゲーム(apprentice game)"、ダイスの目による修正ではなくダイスを振った個数により表される攻撃力。あ、それに、このダイスを大きくして真っ赤に染めてあるところとかね。

100位:「村の人生」 ☆

レビューはここだ。

Paul:なんと、美しくて、牧歌的な「村の人生」。世代を超えて、充実した人生を送る人たちの小さい街で繰り広げられるドラマという家族と物語を紡いでいく。そう……疫病と突然死と過酷な労働と、はいちょっと待って。実は、「村の人生」は、陰惨で惨たらしい話なんだ。

実際に、私は、このユニークで天才的な様相のワーカープレイスメントが、いかに金銭に卑しくて不快になり得ることを忘れてしまっていた。プレイヤーは、家族のメンバーを教会、労働、遠くへの長い旅路に割り当てることができるだけでなく、家族が絶えず老いていき、永眠する前に人生の大半を捧げるだけでもあるということに常に意識することにもなる。「村の人生」は、常にプレイヤーに挑発してくるだけでなく、いかに中世の生活が厳しく妥協のないものであったに違いないかを何度も思い起こさせる並外れたゲームであるということだね。

なんて言ってたか。

Quinns:このゲームは、どういうわけか古風さ(quaint)と荘厳さ(grand)をうまく同居させている。複雑な戦略性を備えているが、大らかな戦略性となっていて、ゲームの終わりには、プレイヤーにはサーガ(saga)が生まれている。

Paul:プレイヤーは多くの子供をなして、全員殺すこともできる。蜘蛛みたいだね。子供たちを堕落した礼拝制度たる修道院に送ることもできる。ほかに、両親は家にいて、子供たちは街に送り出して荷馬車を作る労働搾取工場(a sweatshop)を経営することができる……。

99位:「ジャイプル」☆

レビューはここだ。

Quinns:レビューから3年が経って、「ジャイプル」がいまだに自分のコレクションにあることを報告できて嬉しいよ。問題を抱えたクソガキ(a toddler)のように、なんだかんだ理由をつけてこの自分の箱を取り出してみんなに見せるさ。

ああ、マジかよ、何言ってるんだか。まだ99位じゃん。既に頭がおかしくなってるさ。この特集を中止したいわ。

何と言ってたか。

Quinns:SU&SDでは、多くの素晴らしい経済カードゲームをレビューしてきたと行っておかないといけないね。「宝石の煌き」、「街コロ」、「Mundus Novus」。全部、イケてた! めっちゃ良かったな。けど、「ジャイプル」は、自分が心底愛すると言うことができる最初のゲームだと思う。そのほかのゲームには柔軟性がない部分があるからこそということなんだが。「宝石の煌き」はいつも厳しい、「街コロ」は常にばかばかしい、「Mundus Novus」は、軽いカードゲームの決定版だ。

「ジャイプル」は? 単純に良いよね。非常に良い。自分と対戦相手が同じズボンの中に押し込まれているような感覚だ。プレイヤーの一手一手が、友人を喜ばせたり、悲鳴を上げさせるかのどちらかとなるほど緊密な関係性に置かれるんだ。

Brendan:そんなの最悪や。けどな、まあ、何を言いたいかはわかる。細々とした計算がたくさんあるゲームは好きじゃない。だけど、「ジャイプル」はそんな気持ちに一切ならないんよ。「Rummy」かなんかといった伝統的なカードゲームに近いと思うね。その点、対戦相手の動きは、常に、自分の手札で達成しようとしていたことに多大な影響を与えることになる。伝統的なカードゲームの"手札の引き運"的な感覚は、このゲームにもあるし、古い格言にもあるとおり、自分の運を味方につけてプレイするってことだね。このことは経験豊富なベテラン勢だけでなく、あんまりプレイしない人たちにも気軽に紹介できるゲームにもなっていると思うね。重めのゲームに不快感を示す人たちにも最適だ。

98位:「ハンザ・テウトニカ

Paul:"伝説的な「ハンザ・テウトニカ」"を知っているかと質問される。そいつはびっくりして聞き直してしまうような種の質問だね。ハンザって誰のこと? どんなゲームを作ってたの? コンベンションで会ったけど、どんな人たちか忘れてしまったのか? けど、違うんだって。これは、実際にはゲームのことで、ずっと人気のあるルネサンス期の交易と経済をテーマにした作品だ。

曲がりくねった交易路を表現したマップの至るところで、お金を得るために都市をつなげつつも、自分自身の経済基盤の向上とのバランスを取りつつ、交易会社を拡大、強化させる任務が与えられる。急いで別の2つの都市(settlements)をつなげるか、それとも、もっと強いアクションと新しい種類の都市に自分の交易所を開くことができる能力を得て、他の誰かから奪い取ることに労力を費やすか。

このゲームは、いまだに試しにプレイする機会がないゲームである。それに、認めざるを得ないのは、このゲームが私たちのやるべきゲームリストの上位にも来たことがないということだ。このゲームは、ルート構築と交易要素のある同じような多くのゲーム(特に、「チケット・トゥ・ライド」!)と比較すると、マジで気難しい(morose)感じに見えてしまう。箱絵の男性ですら、なんだかみすぼらしいように見える。数年経って、このゲームは、振り返って改めてプレイする作品なんだろうか? みんなどう思う?

97位:「ゾンビサイド ブラック・プレイグ

Quinns:SU&SDは、「Zombicide」の中世を舞台にした続編である「ゾンビサイド ブラック・プレイグ」をレビューしてないだけでなく、オリジナルの「Zombicide」だってレビューする時間が見つからない!

今では、技術的すぎてみんながついて来られなくなる話をしたくないんだが、そうするのは非常に科学的な理由があるんだ。本当にそのまんまさ、このゲームをプレイした信用できる人たちみんなが、ちょっとゴミだねって言ってたんだ。

けど、判断するのは俺だね! 私は、コンピュータの前に座って、このゲームが忌々しい「チェス」よりも296位くらい上に位置付けられていることをたまたま気づいた、平凡な男ってことだ。

96位:「ラ・グランハ

Quinns:あ! オーケーだ。この作品をレビューしてないけど、今年の最初に「ラ・グランハ」("the Granja"をスペイン語にした題名)をプレイしたことがあって、この大騒ぎがどんなものかわかったよ。このゲームは巧妙な(clever)エンジンビルドゲームで、プレイヤーはスペインの農場を経営して、手札のカードを注意深く使って、売れる生産品を巧妙に作り出す。そんで……うーんと……、さっき、巧妙って言ったっけ? まぁ、間違いなく巧妙なゲームだ。

考えてみると、Paulが「テラフォーミング・マーズ」(レビューしないことにした別のゲーム)にしたのと同じ反応を「ラ・グランハ」にしている。どちらも複雑で巧妙なエンジンビルドゲームだ。しかし、最近は、複雑な経営ゲームが欲しければ、「フードチェーンマグネイト」のような、実際にプレイヤー間にインタラクションが発生するゲームとか、「オーディンの祝祭」のような、見た目でわくわくするゲームとか、その両方の要素が少しずつある「グレート・ウエスタン・トレイル」とかを購入するだろう。もしくは、リソースゲームにおいて巧妙なカードプレイを求めるのであれば、壮大なテーマの間違いなく古典的作品である「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」を考えるだろうね。

近頃、ゲームは、複数の要素(area, ※分野)おいて感銘を与えることに成功する必要があるんだと思う。見た目も良くてプレイ感も良い、又は革新的であって遊びやすいことが必要となる。そういう類のものだ。そうでなければ、その年の最大で最も苛烈な販売競争に対して対抗することすら望み得ないんだろう。

95位:「The Princes of Florence」(「フィレンツェの匠」)

Paul:この作品は、はるか2000年にさかのぼって連れていってくれる。2000年は、ボードゲームの世界においては実質的に古代の歴史である。それに、このゲームは、有名な過去のフィレンツェとほぼ同じくらい、私たちから遠く離れているように思われる。今では、2000年に何をしていたか、ほとんど思い出すことができないよ。多分、ドリブルでもしてたんじゃないかね。

「The Princes of Florence」では、プレイヤーが作り上げた美しくて裕福な環境に引き寄せられた、様々な学者や芸術家が楽しそうに馬鹿騒ぎしてくれることを望んで、最も魅力的な邸宅を築くこととなる。みなさんがご存知のとおり、幸せな学者や芸術家は、価値のあるものを作る可能性が高まる。そして、プレイヤーは、名声のあるパトロンとして、彼らがもたらした素晴らしい作品から利益を得る。

このゲーム全体は、今の私たちにとっては、少しパステル調(pastel, ※淡い色)すぎるし、少し単調すぎるように見える。けど、その時代において、競り、タイル配置、ちょっと不機嫌そうな見た目のイタリア人(またか)の要素のある、かなりの影響力をもつ作品であったに違いないということは容易に見てとれる。

94位:「蒸気の時代

Matt:BGGのトップ100のゲームには、チームの誰もが鉄道に大きな興味がないという理由でレビューされてないものがあって、このゲームがその最初のゲームとなる。人生で何度も電車に乗ったことがあるし、その存在にはマジで感謝してる。けど、ボードゲームのコミュニティが、馬車と線路という強大な大物に対して長年にわたる崇拝をしてきたせいで、魅力的で無害な強迫観念に直面して多少の冷ややかさと戸惑いが生じている。

「蒸気の時代」は、人を裏切るようなことをするアメリカのビジネスボーイ(無法者)が、アメリカの"大西部(Big Big West)"を中心に儲けの出る鉄道網を整備しようと競争していた、歴史的な時代を軸に据えている。中には究極の鉄道ゲームであると目する人もいるが、「蒸気の時代」の単調な六角形の世界は、プレイヤーに一から自分自身の鉄道網を築き、ポケモンのように町から都市に進化させて、鉄道好きの人たちを喜ぶであろう形で、鉄道に関係することを行う自由をもたらしてくれる。

93位:「宝石の煌き」☆

レビューはここだ。

Paul:いやー。何年経ってもいまだに、「宝石の煌き」は、私にとって最も危険なドラッグで、さらにもう一度プレイしたいと思うだけでなく、このゲームの名前を口にした瞬間、最初のゲームが終わってもそこで終わりたくないって思う。このゲームは見事までにシンプルで、非常に巧妙なエンジンビルドのゲームでもある。プレイヤーは宝石を使って、最終的に最も高級な宝石を購入することができて、卓上を支配する宝石商の偉人になれると期待して宝石をもっと生み出す宝石鉱山を得る。

そして、もちろん、思っていたよりも近い場所にあるわけではない。慎重に自分の資源のバランスを取り、購入のタイミングを完璧に合わせ、可能であれば、対戦相手に欲しいカードを巧妙に与えないようにする必要がある。「宝石の煌き」は、ルールを覚えるのに少しだけ時間がかかるが、完璧に習得するのには一生かかる、稀に見る天才的なゲームの1つである。

何と言ってたか。

Quinns:この宝石の原石というテーマは、結局のところ、それほどアホなものではなかった。だって、このゲームは、ダイアモンドと同じくらい、小さく、硬く、魅惑的だからね。

92位:「The Lord of the Rings: The Card Game

Quinns:うーん。慎重に考えると、Fantasy Flight Gamesから出版された、この素晴らしい協力型カードゲームは、私たちから少し不当な扱いを受けている。私は、プレイして楽しんだ。そして、即座にレビューを書くことはなかったし、今までこのゲームについて書いたこともない。言い訳すると、当時、SU&SDは採算の取れる仕事ではなかったし、フリーランスライターとしての利益のある仕事と近所のゴミ箱からじゃがいもをあさる仕事との間にレビューを撮影していた。

けれども、「アーカムホラー ザ・カードゲーム」の発売があったことで、このカルマ(karma)を是正したと考えたい。多くの面で、このゲームは、「The Lord of the Rings: The Card Game」の続編であって、早急に非常に好意的にレビューしたんだ。

91位:「Goa

Quinns:マジでこのゲームを聞いたことがなかった。Mattが、世界で最も特徴のない(generic)ボードゲームを作ろうと試みて、Photoshopで雑に作ったもののように見える。実際、この作品が、私に仕掛けた彼のいたずらではないということに確信が持てていない。

うーん、オーケー。「Goa」はどうやら実在するらしい。それに、これは、2012年にZ-Man Gamesから再販され、西インドの"温暖な気候"を舞台にした、競りとリソースマネジメントが組み合わさった2004年のゲームだ。

私は競りがめっちゃ好きだ。このゲームをそこそこ気にいると思うんだよね。読者のみんなは、私がこのゲームを気に入ると思うかな? 私が気にいるのは、このゲームの舞台かな、それともこのボードゲーム自体かな? コメント欄で答えてほしい。

90位:「ワイナリーの四季

レビューはここだ。

Quinns:面白い作品だ! 「ワイナリーの四季」は、重量級ゲームである「サイズ -大鎌戦役-」をデザインして出版したJamey Stegmaierが出版した最初の作品だ。振り返ると、Paulが、2017年のレビューにおいて、「サイズ -大鎌戦役-」を良いゲームだが素晴らしいわけではないと考えたのと同じように、私も、2014年のレビューにおいて、「ワイナリーの四季」を良いゲームだが素晴らしいわけではないと考えていたことがわかる。Paulと私は、海と大陸によって距離が離れているかもしれないが、精神的なつながりは強いままだ。

何と言ってたか。

Quinns:愛の込められた洗練されたゲームだよね。それに、もし、君やその友人が強烈で没個性的な戦略を追い求めるのであれば、「ワイナリーの四季」は、どんなワインボトルにも負けないくらい素晴らしい仲間になるだろうさ。

けど、ゲームを買う予算がほとんどないんだって? 単にどれを選んでもいいくせに、どれを選ぼうか悩んでるだけだね。牧歌的な側面を味わいたいなら、「村の人生」か「キーフラワー」を選ぶし、脳が沸騰するものを望むなら、「ツォルキン:マヤ神聖歴」か、Stefan Feldの作品かをプレイしてもらうね。

89位:「Steam

Matt:おいおい、待ってくれよ。もう、この作品については書いたよ。畜生、あれは「蒸気の時代」で、こいつとは違ったのか。家族に、愛していると伝えてくれ、もう二度と家には戻ってこないからね。「Steam」は「蒸気の時代」と非常によく似ていて、Martin Wallaceという同じ男によってデザインされた。鉄道ゲームの世界が、謎に包まれた集団(shadowy cabal)によって支配されていると言いたいわけではないんだけれど、これらの点が急速につながっていっているように見える。「Steam」においても、プレイヤーはすぐにつないでいかなければならない。それが、線路を敷設してゲームに勝利する方法なのさ!!! おいおい、お前ら、そんなふうに俺のことを見ないでくれよ。私は電車を発明してなくて、勝利に向かって電車に乗るだけだよ。 

88位:「コズミック・エンカウンター」☆

レビューはここで、プレイスルーはここだ。

Matt:人気投票が常に作品の質を高めるとは限らないという粘っこい確たる証拠をプリンに注入しているというわけで、このリストにおける「コズミック・エンカウンター」のランクは、この大掛かりな物事の仕組み全体からみれば恐ろしく低い。ポーカーチップが宇宙船! 銀河系との間でのブラフ! 何万マイルにもわたって、怯えさせたり笑わせたりするエイリアン。実のところ、このゲームを2回レビューしたい週があるほど良いと思ってるんだ。

Paul:そんなにひどいアイディアなのかな? 結局、私たちは、このゲームについて2回撮影してるしね……。

何と言ってたか。

Paul:ボードゲームは絆を深める体験を生むんだけど、とりわけ「コズミック・エンカウンター」は、絆を深めるのにうってつけだ。その理由の1つは、このゲームでは物語が生まれるからだ。交戦中の種族だとか、団結する宇宙の同盟国だとかといった話だ。このゲームを完全に知らない人と遊ぶことができて、その人と1年後に会ったら、名前は覚えてないけど、その時の1ゲームは思い出すだろうさ。ちょっと、不思議な感じだよねえ。

Quinns:「コズミック・エンカウンター」は美しいゲームだ。気持ち的にも、メカニズム的にも、見た目的にも美しい。

87位:「イスタンブール」☆

レビューはここだ。

Paul:ガルル(Grr, ※「うおー、うー」という怒りを表す単語)。

Quinns:Paulは「イスタンブール」が大嫌いなんだよね。けど、私がビデオレビューを行う機会があって、とてもこのゲームを気に入ってるので、その悪ふざけが彼自身にふりかかっている。レビューを公開して以降、私は一度もこのゲームをプレイしてないんだ。けど、いっつもそんな感じかな。SU&SDで働くということは、片方の目を地平線にじっと向けておいて、もう片方の目を今週レビューする作品の方に目をやるということなんだ。大抵の場合、こうしてると、怠惰な目をしているなって思われるんだけど、私と大切な読者のみんなは、真実を知ってるのさ……。

何と言ってたか。

Quinns:もし、みんなが、ほとんどのボードゲームよりも15ユーロも安いというこの値段で、効率性や価値を資源に変換する、考え込むようなパズルを解くのを楽しめるタイプの人ならば、「イスタンブール」は絶対に買うべきだね。SU&SD的にはおすすめするよ。Paulはこのゲームが好きではないけれども、もし、みんなが常に遅刻するような人間だったら、このゲームのことも多分嫌いになるんだろう。

もう1つだけ補足しておくよ。短時間でプレイできるリソースマネジメントゲームとしては、このゲームは「コンコルディア」ほど出来が良いわけじゃない。けど、そしたら、どれくらいの出来なんだろうね?

86位:「Combat Commander: Europe

レビューはここだ。

Paul:ボードゲーム(特にウォーゲーム)には、必ず六角形のマスとボール紙のカウンターがあるっていう、非常に多くの固定観念があるよね。けれど、それが当てはまるだけではない。とにかく、大部分は当てはまらないのだが、「Combat Commander」シリーズは、太くて長持ちするマーカーを使って、そういった期待の一つ一つにチェックを入れてくる……、それに、このゲームを、そんなことを気にすることすらしないんだ。私たちも気にしないさ。いずれにせよ、めちゃくちゃ素晴らしいからね。

このゲームは、テンポの悪い不毛な戦闘シミュレーションではない。このゲームは、膨大で無限に近いリプレイ性をもたらすランダムのシナリオが生成される仕組み(a random scenario generator)だけでなく、あらゆる種類の部隊と地形で満たされた、慌ただしくて素早く動く分隊レベルでの戦闘が描写された作品だ。この箱には、プレイヤーをしびれさせるおそれのあるほど多くの戦争がある。ヘルメットを被っていないのであれば、このゲームを開けようとなんて思わないでくれ。

何と言ってたか。

Matt Thrower:「Combat Commander」の矢継ぎ早のプレイと革新的な時間のメカニクスは、素早いアクションの感覚を伝えるのにかなり適切だ。多すぎるほどの同種のゲームのプレイ感は非常にテンポが悪くて、入り組んだ計画に対してほうしゅうが与えられる。こういったゲームは戦略性に満ちあふれているかもしれないが、乱雑で本能的な近接戦闘(close quarter combat)の現実味を伝えようとする際には、かなり違うなぁという感覚を覚えるね……(略)……このゲームがシミュレートしようとしすぎないからこそ、遊びやすさ、物語性、現実味の素晴らしいバランスを保つことができている。

85位:「ケイオス・イン・ジ・オールド・ワールド

Paul:Neil Youngが、旧世界で死に続けよう(Keep on Dying in the Old World, ※Neil Youngの「Rockin' In The Free World」のもじり)と言ってたように、この作品も今ではおじいちゃん向けの古典的作品のように感じられるね。

Quinns:多作であるEric Langが手がけた「ブラッドレイジ」の精神的な先駆けとなる作品だ。この作品は、「ウォーハンマー」のほこりっぽい世界観を舞台にしており、敵対する神々が、その地域の人々の魂だけでなく、マップ上の支配権を巡って争う。この作品をレビューしたことはないね。その理由の1つは、この作品は2009年に出版されていて、SU&SDが酔っ払って騒がしいイタチのようにボードゲーム界隈に滑り込む数年前だったんだよね。それに、別の理由として、私がこのゲームに不満があるせいでもある。

おわかりのとおり、「ケイオス・イン・ジ・オールド・ワールド」は、各プレイヤーの混沌の神が非常にユニークな方法(戦争、ペスト、貴族階級の堕落)でゲームに勝利することを試みるのであって、"ふー! オーケー。変なゲームだったけど、次回は戦い方がもっとよくわかっているだろうさ"と思わせられたままゲームを終えることになるほど、乱暴な非対称性を持つ。数か月後にもう一度プレイした時には、このゲームがめっちゃ変わっていて直感的ではないことを除けば、身についていたことを全て忘れていて、イライラが溜まるだけだね。

少なくとも、このゲームが永続的な混沌の状態か抜け出せなくなっているという私の理解は、テーマ的に適切だよね?

84位:「チケット・トゥ・ライド:ヨーロッパ」☆

レビューはここだ。

Matt:彼女は「チケット・トゥ・ライド」を手に取った、けど、(他の売っているボードゲームのことなんか)気にしちゃいない(She’s got a ticket to ride, and she don’t care, ※The Beatlesの「Ticket To Ride」の一節。原曲だと、乗車券を手に取った彼女が気にしないのは、元カレの未練たらしい気持ちである。)。The Beatlesがよくわかっていたことがあるとすれば、それは大衆向けのブランディングの力だ。

何と言ってたか。

Quinns:「チケット・トゥ・ライド」は、文字通り、誰とでも苦労なくプレイすることができるほどシンプルなゲームで、これにとどまらない! このゲームは、単なる良いパズルゲームではない。映画「スナッチ」におけるBrad Pittと同格といえるパズルだ。非常に軽量級のゲームで、危険な細い腱のようにゲームを駆け巡るそれぞれのルールとゲーム全体が、プレイヤーを難なく打ちのめすことができる非常に美しい身体の中で一体となっている。

Paul:「チケット・トゥ・ライド」の強みは、誰もが楽しめて熟練することからから巧妙に逃れていて、ボードゲームが至る可能性がある低いレベルとはなってない。だけど、高みにも達してないよね。「チケット・トゥ・ライド」をプレイして楽しい時間を過ごせるとでも? まぁ、多分、できるだろうさ。Shut Up & Sit Downが興奮してしまう"他のあらゆるゲーム"をプレイする方がいいかって? 間違いなくそうだね。

83位:「Paths of Glory

Paul:このゲームは、私たちが直面する時間と勇気がまだない、もう1つの巨人のようなゲームであることは認めざるを得ないね。GMT Gamesの非常に膨大な(そして、非常に尊敬すべき)第一次世界大戦のシミュレーションによって、プレイヤーは、巨大で怒りに溢れた軍隊が広まったヨーロッパ全土を体験することができる。このゲームには、何百もの大量のトークン、ずっしりとしたカードデック、少なくとも5時間分の戦争が含まれている。この作品での戦争には、海軍による海上封鎖、毒ガス、怒り狂った戦車が詰め込まれていて、大陸の支配権を巡って2人のプレイヤーがしのぎを削ることとなる。このゲームは、慎重に機会をみてカードを使うこと、戦略的な機転、それに間違いなく、その他のことを一切する必要がない日を設けることが全てのゲームだ。少なくとも、昼飯を食べる時間を設けるべきだろうね。それに、水だ。水分補給が重要となる。特に戦争においてはね。

82位:「Forbidden Stars」☆

レビューはここだ。

Matt:「Forbidden Stars」は、全てのゲームの中でわくわくするゲームだよな、みんな。際限のない数のパーツの入ったこの重い箱は、威張り散らかして虚勢を張る、楽しくて乱雑なゲームで、こ新しくてもっと重要性がある戦争に取って代わるのに5分以上続くことがほとんどない戦争が登場するってことを思い起こさせるね。今では、Fantasy Flight Gamesは、Games Workshop(「ウォーハンマー」の会社)のライセンスを失っていて、この星々は、すぐに空から消え去ってしまうだろう。もしこのゲームが売っているのを見つけたら、買いなよ! このゲームは、すぐにコレクターズアイテムになるだろうからね。

何と言ってたか。

Quinns:君の悪い未来の暗がりの中には、銀河を飲み込む混沌の脅威が忍び寄っている状況下では、痛み、残酷さ、憎しみがあるに違いない。その代わり、プレイヤーは細心の注意を払って考え抜いた一流の人物になって、15分間のルール説明を上手く習得すれば、たくさん笑い、笑顔になって、思い出深い瞬間を伴う素晴らしい時間を過ごすことができる。

81位:「Railways of the World」(※日本版として「レイルウェイズ・オブ・ニッポン」がある。)

Matt:出た、また鉄道だ! Board Game Geekの悪意ある、ずうずうしい鉄道バンザイ(pro-train)プロパガンダに対する盲信の更なる別の例だね。上位100の中で、何個のゲームが、友人のために卵を産むという重要なテーマを主軸にしてるんだろうか? まさしく。言語道断だ。ご承知のとおりさ、みんな。また、「蒸気の時代」に戻ってきてしまった。「蒸気の時代」でも「Steam」でもなく、「Railways of the World」という形でだ。それにだ、このゲームは、「Steam」と「蒸気の時代」の両方をデザインした男によって手掛けられた、六角形のマスをベースにした鉄道建設ゲームなんだわ。従順で自分の意見がなく大勢に従う野郎ども(sheeple)、目を覚ませよ!

けど、正直にいうと、「Railways of the World」は、壮大で魅力的な面を兼ね備えているように見える。小さいプラスチックの紫色の列車コマがあるという理由だけで、少しプレイしたい気分になるみたいだね。陰謀論者が勝利する世界でも悪いとは言わないさ、小さな紫色の列車で遊ばせてくれるならね。

続く

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