痩せる食事、太る食事の見分け方

序章.ダイエットを成功させるカギはタンパク質

食事量を減らすことは、ダイエットで最も重要な手段です。しかし近年、ダイエットにおける新たなパラダイム・シフトが起きています。

『食事を減らす』から『食欲を減らす』へ

その要となる栄養素が『タンパク質』です。

タンパク質の摂取は食欲のメカニズムに作用して、空腹感を減らし、満腹感を高めてくれます。習慣的な糖質や脂質の摂取によって高まった食欲を抑える力がタンパク質にはあるのです。また、タンパク質には、食べるだけでエネルギー消費量が増える『食事誘発性熱産生』を増やします。さらに、ダイエットによる筋肉量の減少を抑え、リバウンドを防ぐことにも寄与します。

ただし、タンパク質を多く含む食品が無条件に役立つわけではありません。肉には『太りやすい肉』と『太りにくい肉』があり、また、乳製品の食べ方を間違えると太る要因にもなります。タンパク質が持つダイエットへの有効性と効果的なタンパク質の見分け方も、この記事で詳しく紹介します。

第1章.好きなだけ食べて痩せられる時代が来た

①.これまでのダイエットの考え方

一般的なダイエットの処方箋といえば『食事を減らして、摂取するエネルギー(カロリー)を制限しよう』というものです。

体重はエネルギー摂取量とエネルギー消費量のバランスて決まるので、体重を減らしたければ『エネルギー消費量を減らす』というのは正解になります。

効果的にエネルギーを減らすダイエットとして有名なのが、糖質を含む炭水化物を減らそうという『低炭水化物ダイエット』や高エネルギーである脂質を減らそうという『低脂質ダイエット』です。

炭水化物と脂質ー。どちらのダイエット方法が効果的なのかについては、多くの議論がなされ、今ではひとつの答えが示されています。

ハーバード大学やトロント大学で行われた調査では、低炭水化物ダイエット方法と低脂質ダイエット方法の間では、有意な差は認められなかったのです。

つまり、主栄養素の量を制限するかに関わらず、エネルギー摂取量の制限を続けられれば、体重の減少効果が期待されることが示唆されたのです。

ダイエットの成功は、主栄養素の量の問題ではなく、エネルギー制限をするダイエットを『どれだけ続けられるか』がカギになるのです。とはいえ、中々続かないのが人の常。だからこそ書店やネットでは『簡単に痩せる◯◯ダイエット』など、甘美な言葉で目を引く情報が溢れているのです。

②.量を減らすより、質を考慮しよう

近年、ダイエットに関するパラダイム・シフトが起こっています。

これまでのダイエットは、食事の量を減らすことにより、エネルギー摂取量を減らして体重を減らすという手法でした。しかし、旧石器時代から目の前にある食事を食べるだけ食べるようにプログラムされてきた私たちにとって、食事量を減らすことはストレスになります。これがダイエットを続けことの大きな障壁になっていました。

これに対してスタンフォード大学の研究報告は、『良質な主栄養素を含む食品であれば好きなだけ摂取しても、結果的にエネルギー摂取量を減らすことができる。』という新たなダイエット手法を見出したのです。

近年では、炭水化物には『痩せる炭水化物』と『太る炭水化物』があり、脂質にも『痩せる脂質』と『太る脂質』があることがわかってきました。また、野菜、肉、飲み物も同様です。ありがたいことに、『痩せる食事』=『健康的な食事』であることも明らかになっています。

この記事では、『痩せる食事』の摂取で、健康的にダイエット効果を高めるという科学的根拠を紹介していきます。

ここから先は

24,897字

¥ 9,980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?