[短編小説]飽くまで悪魔、悪魔で天使
小さい時の夢をよく見る。
泣き出した天使の女の子の元に、たくさんの別の天使たちが駆け寄る。「どうしたの」「だれになにされたの」「なかないで」と、優しい言葉たちをつぎつぎに女の子にかけていく。
女の子は涙を流しながら、ゆっくりと、腕をあげる。肘から手首、指先まで、なめらかな動きを覚えている。そして、僕の、顔をまっすぐ、指さして、止まる。
天使たちの視線が僕に突き刺さる。棘のある言葉たちをつぎつぎに僕に浴びせていく。なにを言っているのか、思い出せない。ただ、一言だけはっきりと聴こ