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2022年7月の記事一覧

詩25「わたあめは誰のもの」

詩25「わたあめは誰のもの」

わたあめは誰のもの
白くてなんて古い
虹色のだよ
コットンキャンディ
掴んだら飛んでいけそうなでかいやつ
あれが食べたいなおかあさん
森でさひとりで食べるんだ
リスに分けてもいい
そうしたらさ虹が出るんだ
この街の虹はあれから出来てるんだ
虹色のわたあめ食べたいなあ
ぼくはいつか思い出すんだ
わたあめを食べたんだってね
大きいやつをね

詩24「鳥の埋葬」

詩24「鳥の埋葬」

鳥が落ちていた
うちの玄関フードのガラスに
よくぶつかって落ちるのだ
くちばしから小さな血
この子の内臓はどうなっちゃってるんだろう
綺麗綺麗なハンカチを用意して
庭の墓スペースにしずしずといざなう
そして埋葬
そして黙祷
馬鹿だなあ死ぬなんて
冷たい固い死骸の感触
手を洗ってもしばらく消えなかった
別に個体として愛してはいなかったけど
愛していたよ
小さないのちを
わたしの切り傷を一つあげるから

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詩23「木こり」

詩23「木こり」

とーんとーんと音がする
胸に巣くった木を切除する音
小さい木こりが
小さい斧で切り倒す
たおれるぞーと声がする
わたしは安心して午後のコーヒーを淹れる
木こりには麦茶を
愛ってなんだか疲れちゃって
隙間に種が入ったみたい
金魚に餌をやると
喉まで開けて求めてくる
こんな顔をしてたんでしょうか
金魚の喉に黒子