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『Beep21』【体感記事シリーズ】 曲も聴ける!『BORDER BREAK MUSIC COLLECTION TYPE-06』

【おしらせ】ただいまデザインのリニューアル中です。


最新の新譜を『Beep21』で試聴体験!

Webマガジン『Beep21』では
紙の雑誌媒体にはできない
デジタル媒体ならではの
体験・体感記事シリーズ
展開しています。
今までの、CDの紹介シリーズでは
実際に音楽が聴ける「体感記事」として
こちらの記事などをお届けしてきました。

今回は「体感記事シリーズ」「聴いてみた!」最新譜として、2023年8月10日(木)にウェーブマスター/SOUND! SHOCK SERIESより発売となる新譜CD『BORDER BREAK MUSIC COLLECTION TYPE-06』を実際に「聴ける体感記事」としてお届けします!

本作は、PlayStation®4向けソフト『BORDER BREAK』の楽曲集としてリリースされてきたMUSIC COLLECTIONシリーズの最新作であり、2018年8月から続いてきたオンラインサービスが2023年9月9日(土)をもって終了するPS4™版の“サントラ第六弾にしてシリーズ14周年を締めくくる最終盤”となります。

今回記事を担当するのは音楽好きゲームライター、鶴岡八幡。どうぞ最後までお楽しみください!

オーロラカラーと赤✕緑の映えるジャケットが目印。ぜひ楽曲を手に入れるべくこちらで購入しよう

◆CD楽曲情報
01.弩(いしゆみ)~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
02.弩(いしゆみ) <デ・ネブラ大落片 β side>
03.叢濃(むらご)~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
04.叢濃(むらご) <ロンシャ深山 β side> 
05.火蛾(かが)~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
06.火蛾(かが) <第 3 採掘島 β side>
07.Organs~SN76489~ <DCSG アレンジ> 
08.Organs <ホープサイド市街地 α side>
09.Highlander~SN76489~ <DCSG アレンジ>
10.Highlander <ベネヴィス高原地帯 α side>
11.颪(おろし)~8bit Mix~ <8bit アレンジ> 
12.颪(おろし) <マリナセドナ大雪山 β side>
13.Devil's Mountain~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
14.Devil's Mountain <トラザ山岳基地 α side>
15.Extreme pirates~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
16.Extreme pirates <スクランブルバトル>
17.Crystal Works~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
18.Crystal Works <研究都市メムノス α side>
19.Soft Landing Experiments~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
20.Soft Landing Experiments <M532 バイオドーム α side>
21.卵嚢(らんのう)~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
22.卵嚢(らんのう) <M532 バイオドーム β side>
23.Eradication~8bit Mix~ <8bit アレンジ>
24.Eradication <ユニオンバトル 終盤 優勢>
25.MONICA STRIKE! <ボーダー「モニカ」イメージテーマ>
26.渚のプラズマ☆カノン <ボーダー「カノン」イメージテーマ>
27.Warheads(PS4 Arr) <メニュー画面>
28.Break a leg <メニュー画面>
29.Secret Strategy <メニュー画面>
30.Gale Gun Front-疾風のガンフロント-(mobile) <「疾風のガンフロント」テーマ>
31.Gale Gun Front-疾風のガンフロント-(PS4 Arr) <「疾風のガンフロント」テーマ>
32.Soar~Unused Demo~ <未実装 月面マップ EUST 陣営>
33.玉兎(ぎょくと)~Unused Demo~ <未実装 月面マップ GRF 陣営>
34.Catch The Future -Re:UNION- Feat.ミツヨロイド v0.48 <ミツヨロイド vs 光吉猛修>
35.Catch The Future -Re:UNION- Feat.ミツヨロイド v0.48~Off Vocal Edition~ <ボーナストラック >
<サウンドデザイナー>
作曲|三島順平:01~04,11,12,15,16,19~22 濱田誠一:05,06,23,24,34,35 永田泰之:07~10,17,18,28,32,33 高木一樹:13,14 松本謙介:25,26 伊藤二三雄:27,30,31 Hiro:29
編曲|伊藤二三雄:01,03,05,13,15,17,19,20,21,23 三島順平:20,25,26 光吉猛修:34,35

■商品情報
商品名:BORDER BREAK MUSIC COLLECTION TYPE-06 
(ボーダーブレイク ミュージックコレクション タイプ-06)

発売日:2023 年 8 月 10 日(木)
品 番 :WM-0859
JAN  :4571164385457
定 価 :2,750 円(税込)
ブランド:SOUND! SHOCK SERIES
発売・販売元:株式会社ウェーブマスター
著作権表記:©SEGA
販売店
セガストア: https://ebten.jp/sega/p/4571164385457
BEEP: https://www.beep-shop.com/ec/products/detail/36779 ※秋葉原店でも
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B0CB8PPQ6G

PS4™版『BORDER BREAK』公式:https://ps4.borderbreak.com/news/2023-07-10

サイン入りCDプレゼント【※応募は締め切りました】

今回は『Beep21』読者に、永田泰之氏・三島順平氏・伊藤二三雄氏・光吉猛修氏ら4名の直筆サインを入れた今回のCDをx3名様にプレゼント

永田泰之氏・三島順平氏・伊藤二三雄氏・光吉猛修氏ら4名の直筆サイン入りCDを抽選で3名様にプレゼント! ハッシュタグをつけてTwitter(X)で皆さんどしどし投稿してきてくださいね。

※CD提供:株式会社ウェーブマスター
©SEGA
※こちらの応募は締め切りました。

最新の楽曲をマスターシステム/ゲームギア音源でアレンジした「最先端で最新のあの頃の音楽」が聴ける!

さて、この『BORDER BREAK』というゲームの魅力とそのサウンドはいかなるものなのか?  まずはそこから語りたい。

【カスタムした人型兵器をチーム戦で運用するドラマチックな戦闘ゲーム】に昇華した本作は、楽曲も素晴らしいのだが、今回はマスターシステムやゲームギアで使われてきたサウンドチップ「SN76489」を使ってのアレンジバージョンとなり、原曲とセットで収録されている、という点が目を引く。
往年のセガファンにとってたまらない、あの少ないチャンネル数の中で世界観を表現してきた音色を、ゲームプレイにひもづいた楽曲で作らせたらどうなるのか? ここが最大の聴きどころだ。

音楽単体として楽しむのもちろんだが、このサントラの記事をキッカケに「ゲーム体験とセットで音楽を楽しみたい!」という人も出てきそうだが、手元にPS4™があるのならば「プレイ基本無料」でゲーム中に実装されている「SN76489サウンド」や8bitアレンジのサウンドを楽しむことができるので、ぜひ体験してほしい。

『BORDER BREAK』と音楽から感じるセガサウンドの系譜

PlayStation®4でサービス提供されている『BORDER BREAK』は、2009年にリリースされたアーケード版『ボーダーブレイク』を家庭用移植したもの。アーケード版『ボーダーブレイク』は、日本全国のプレイヤーたちと共闘、もしくは対戦できる10vs10の大規模戦闘TPS(サードパーソン(三人称視点)・シューティングゲーム)として、2019年までゲームセンターで稼働していた。

当時のセガマニアはアーケードで人気を博していた『三国志大戦3』や『WORLD CLUB Champion Football』のカード+対戦ゲームのプレイヤーが多かったと思うが、その対戦の待ち時間や気分転換として本作を遊んだ人が多いかもしれない。加えてアーケードゲームで遊べる本格的な多人数対戦ゲームとして、FPS(ファーストパーソン(一人称視点)・シューティング)やTPSが好きなプレイヤーもこぞってゲームセンターに集まるなど、たちまち人気タイトルとして多くのプレイヤーがしのぎを削っていたのは記憶に新しい。

その後に家庭用移植としてPlayStation®4に移植され、自宅でのネット対戦ができるようになったときに、それまでの呼称とは違う『BORDER BREAK』(アルファベット表記)に変化した。
呼称は変わったものの、どちらも戦略性とカスタマイズで幅が広がるゲーム性で多くのプレイヤーを魅了した。そのなかでも出撃シークエンスから戦闘終了まで流れるドラマティックな楽曲を制作している本作の音楽チーム「メタセコイア」の重要さは特筆すべき要素だ。

『ボーダーブレイク』および『BORDER BREAK』のサントラすべてにおいて、「ゲームの体験価値と音楽が紐づいている」というセガならではのゲームミュージックの在り方を感じさせることから、ゲームをプレイしていない人はゲームがしたくなり、ゲームを体験していてサントラを聴いている人は、脳内に戦いの景色をありありと浮かべながら楽しめる。

本TYPE-06以前のサントラ『BORDER BREAK MUSIC COLLECTION』では音源の収録のみならず、メタセコイア自身が手掛けるバンドサウンドとしてのアレンジや、幅広いジャンルの音楽クリエイターによるリミックスを入れ込むなど、『BORDER BREAK』を入り口とした音楽の楽しさの布教に務めているため、まさに音を楽しめるサントラになっていた。

今回の最新アルバムの意義

長らく愛されてきた『BORDER BREAK』は、2023年9月にオンラインサービスを終了する。本作のシリーズのファンはもちろんのこと、古くからのセガファンへのはなむけとして、シリーズの名曲からDCSG(マスターシステム/ゲームギア音源)でのアレンジと8bitアレンジ、そして聴き比べ用の原曲をセットで楽しめる構成で収録されたのが本作だ。

前述の通り、マスターシステムとゲームギアという、セガハードの歴史の中でもひときわ印象的なサウンドを奏でていた「SN76489」から流れるメタセコイアの楽曲は「あの頃のDCSG楽曲の素晴らしさ」を思い起こさせると同時に「最新技術で鳴るように設計された最新のDCSG楽曲」としても楽しめるものとなっている。

「SN76489」でのアレンジと、別途のチップをつかった8bitアレンジを両方収録しているため、便宜上アレンジに関しては以降「チップチューン」と呼称するが、チップチューンと言っても表現の仕方が変わることにも注目してほしい。

またセガ公式Twitterで発信されたように、セガ社員でありボーカリストでもある光吉猛修氏の歌声をディープ・ラーニングさせたAIボイス“ミツヨロイド”の楽曲「Catch The Future -Re:UNION- Feat.ミツヨロイド v0.48」と、ロストフッテージとも言える未公開曲など気になる要素がもりだくさんになっているため、初めての『BORDER BREAK』サントラとしてここからスタートするのもオススメだ。

今回は数曲をピックアップして、原曲とチップチューンされた曲を比較しつつ、同じ尺で並べられている本サントラならではの楽しみ方をお届けしていこう。

■曲レビュー :弩(いしゆみ) <デ・ネブラ大落片 β side>8bitアレンジ

本タイトルを代表する大名曲を大胆に

「デ・ネブラ大落片」と呼ばれるマップは、サブタイトルとして「雨下応酬」という名の通り、高山にある戦場を雷雨のなかで出撃し、雨音と雷鳴の鳴り響く中での発進シーンとオペレーターのボイスが加わることで、戦場の緊張とゲームが始まるという高揚感を併せ持つ楽曲が新旧ファンから高く評価されている楽曲になっている。

 ゲームが進むにつれて雷雨が引き、今回リリースされる「弩」の曲調に変化していくというドラマティックな演出があることを差し引いても、戦闘ゲームでの没入感を高めてくれるセガならではのサウンドデザインを体感できるだろう。

 その名曲を8bitリミックスしたアレンジが並ぶアルバムの1曲めの聴き比べは、まずチップチューンを味わってからオリジナルを聴き、ドラマチックなメロディラインがどのように限られた音色で奏でられるかを味わえるのが特徴だ。

 さらにより深い理解を得て楽しむのであれば、チップチューン版とオリジナルを同時再生できる音楽再生ツールを使用して、アレンジボリューム大きめ/少なめなどを調整するのがかなり楽しい体験となるだろう。

ドラマチックなサウンドを8bitで表現し、その上で曲自体が持つ壮大なイメージや世界観を限られた音色で表現している「自由さ」を感じられるアレンジが一曲目からセガファンを揺さぶってくるので、ぜひ環境を整えて「同時再生して味わう」という体験を推奨したい。

1:チップチューンアレンジ(8bitアレンジ):弩(いしゆみ)

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

2:原曲:弩(いしゆみ)

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

このように並べて聴くと、アレンジの妙が伝わるだろう。さらにこれを同じバランスで同時に再生すると、さらなる体験もできるので、こちらを聴いていただきたい。

3:ミックス:弩(いしゆみ)

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

同じ楽曲を重ねて再生すると分かる表現の違いと一致するポイントを味わえるのが、このアルバムの魅力となる。ぜひとも入手して、フルバージョンで堪能たんのうして欲しい。

Organs~SN76489~DCSGアレンジ <ホープサイド市街地 α side>

抜けの良い独特の音色がオリジナル曲の良さを拡張してくれる

 「Organs」はオリジナルのサウンドデザインを手掛けているメタセコイアのメンバー、永田泰之氏が自らSN76489版へのチップチューンアレンジを手掛けている。8bitでのチップチューンと明確な違いを感じさせるのは、鳴っている音の明瞭さと、オリジナルからアレンジした際の「意匠」としてDCSG版をいかに聴かせるかという描写であった。

オリジナルはシンセサイザーにメタルギターとドラムが加わった力強いサウンドだが、DCSGアレンジでは電子回路として他のチップとは違う「独自の音の鳴らし方」になるため、そのメリットを最大限に活かしたアレンジになっている。

ノイズを利用した音色設計の仕組みなどの細かい話は省くが、この曲をこの仕様で鳴らすためには、DCSGの特性を活かすべきというアレンジがされているため、低音でのキック部分はエッセンスだけにし、3チャンネルのメロディ部分で世界観をしっかりと落とし込む曲として聴き応えがあるのだ。

1:チップチューンアレンジ(DCSGアレンジ):Organs

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

2:原曲:Organs

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

3:ミックス:Organs

※クリックすると楽曲を聴くことができます。

ボダブレのサウンドチーム:メタセコイア(永田泰之氏・三島順平氏)への直撃インタビュー!

今回の記事制作にあたり、『BORDER BREAK』のサウンドを担当しているチーム「メタセコイア」から、永田泰之氏と三島順平氏の両名にインタビューすることができた。

自身の楽曲をチップチューンされた三島氏、自らの手でオリジナルをチップチューンにした永田氏という違いがあることから、このアルバムのチップチューンアレンジの意匠とこだわり、そしてメタセコイアが提供している「セガの魂」を感じるゲーム音楽のこだわりまでヒアリングさせていただいたので、ぜひ読んでほしい。

■永田泰之氏インタビュー

永田泰之と申します。私は初代ボーダーブレイクから関わっておりますが
こうしてサウンドについてお話しさせていただくのは初めてでして、貴重な機会をありがとうございます。

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