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『Beep21』真・セガハード列伝 Vol.4 ─セガブラックハードの進化 第二夜 セガ=ブラックハードを極めたメガドライブ

当時のセガハード開発者が
それぞれのハードの開発者にいていく
企画「真・セガハード列伝」

ナビゲーターは戸崎健司氏

前回はメガドライブなど
数々のセガハードのデザインを
担当したソルクス・デザインの
高須安夫社長がメディアに初登場

ここではセガのハードがブラックに
された理由
やその最初のブラックハードで
あったセガ・マスターシステムについて
語られましたが、今回はいよいよ
メガドライブの話に突入していきます。

・”セガブラック”と呼ばれた黒の話
・”黒いハード”にまつわるライバル機の動向
・6Bパッドのモックアップの秘密
・コントロールパッドのボタンの名称の話
・”あの周辺機器”に使われていた意外なもの
・そしてソニーをセガの開発現場はどう見ていたか?

といった当事者たちの証言が語られていきます。

ぜひ最後までご覧ください。

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“セガブラック”と呼ばれた「黒」

今回の取材でメディア初登場となったソルクス・デザイン社長の高須安夫氏。セガ・マスターシステムをはじめ、メガドライブシリーズ、ゲームギアなど、ブラックを基調としたセガの一連のハードのデザインを担当した。

高須 メガドライブの”黒”は、つや消しの黒と光沢のコントラストを用いる事で高級感を出そうとしたんです。つや消しのシボ(シボ加工)まできちっと入れてね。

©SEGA  メガドライブの黒も丸いリングまわりの光沢の黒とシボ加工された梨地的なつや消しの黒とが組み合わされて、高級感を醸し出すデザインにされた。

高須 ”黒”と言っても、いろいろあるわけですよね。たとえば色味ひとつとっても、「青みがかってる」とか、「赤が強かったり...」とか、いろいろな黒があるんですね。メガドライブは量産を台湾でやっていて、日本でも複数の会社で製造されていました。それぞれ、複数のルートからABS樹脂を手配されていたと思います。

白岩光成(しらいわみつしげ)  1987年セガ入社。戸崎氏の1年先輩。第3研究開発部(※当時はコンシューマ開発部署)へ配属となり、機構設計を担当していた。

白岩 あとはやはり、黒だとどうしてもインジェクション(成形)のあらが目立つんですよ。ガスとかれだとか。(メガドライブなどのゲーム機は)塗装をしているわけじゃないので、やっぱり(成形時にできる不具合とかは)すごい気をつかってましたね。
(※ガスや擦れ:金型成形時に、金型内に残っている空気による作用や、金型から取り出すときに擦れることで、キズが残ること)

──黒の色味チェックなども大変そうですね。
白岩 あの当時はよく「セガブラック」って言っていて。ABS(樹脂)を買ってるメーカーさんからは、(ABS樹脂を)大量に仕入れてるので、もうそれを全部(セガブラックと呼ばれる色味の黒に)着色をしてもらって、(その黒いABS樹脂を)使ってましたから。
(※通常はABSを素材色で購入し、成形工場側で着色剤を混ぜて樹脂に色をつけます。それを着色済みの状態で樹脂メーカーに製造してもらうことで、色味のバラ付きを低減していました。定常的に大量購入することが前提での対応です)

──もう専用の”セガブラック”という色味があったわけですね?
白岩 そうです。でもやっぱり海外の材料屋さんだと、ちょっと青味が強いとかあるんですよね。微妙な違いが...。だから、(生産地が違っても)同じ黒だという「承認作業」があるんですけど「いやー微妙にちょっと違うんだよな」と(笑)

戸崎健司(とさきけんじ)『Beep21』の「真・セガハード列伝」の企画兼ナビゲーター。セガでコンシューマゲーム機の開発部門に所属し、周辺機器などの開発を担当。セガ入社はメガドライブが発売された1988年。セガ退職はドリームキャスト撤退時の2001年。13年間セガのハード開発部門に在籍した当時の秘話はこちらの記事で。

戸崎 確かにあの頃、黒のチェックをしてて「緑がちょっと入っていて、青も少し入ってて...」みたいな会話をずっとしてましたよね。ずっと見てると、だんだん色が3原色で分解して見えてくる、みたいな(笑)

白岩 そう。何かちょっと違うよねって。オリジナルの黒はこれだけど、ちょっと海外の材料のは違うかもしれないな...って。

戸崎 よくやってました、屋上で。太陽の下で黒のチェック。

白岩 14時以降に北側の窓の下で、プレートで出されたサンプルで色承認するんですけど、なかなか最終的には本当の合格までは至らなかったというのは、思い出としてありますね。

セガサターンのコンペにもソルクスは参加したが...

高須 黒いハードという話に関連しますが、当時はセガサターンのデザインコンペにもソルクスは参加していたんです。

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