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話題の新刊!『セガハード戦記』発売記念トークショー・完全再現リポート!!

セガの家庭用ゲーム機が
40周年を迎えた2023年7月に
新刊として発売されて
大きな反響を巻き起こしている
セガハード戦記

その制作経緯と見どころについては
著者の奥成洋輔氏自ら『Beep21』へ
寄稿していただき、全文無料公開中です。

この話題の新刊の発売を記念して
トークショー&サイン会が開催されましたが、

募集開始早々に満席となり、 会場に行くことができなかった人も多かったトークショーについて、今回は誌上完全リポートでお届けします!

奥成さんは、この日のサイン会のために
特別に(※左側の)ハンコを用意して持参。


トークショーの後のサイン会では奥成さんの直筆サインと、この日のために新調されたハンコでの押印もしてくれました。

今回のトークショーには『Beep21』編集長が
そのお相手を努めさせていただき、
会場では1時間にわたり、濃い内容の話を
聞くことができました。

今回は当日来場できなかった人のために
トークショーの内容をたっぷりお届けします。

途中でいきなり特別ゲストが
ある秘話を公開するというサプライズ
も。

ぜひ最後までご覧ください。

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Twitterトレンドに居続けた『セガハード戦記』

──今日は『セガハード戦記』のトークショーですが、どうぞよろしくお願いします。
奥成 (会場を見回して...) なんか、見た顔がいっぱいというか(笑)。(セガで)僕よりえらい人もいっぱいいそうな感じもして恐縮きょうしゅくなんですけど、今日のお相手は、セガのゲーム専門誌を30年以上前から担当されていて、読者レースのコーナーの生みの親でもある方です。たぶんセガのことは裏も表も知っている方ということでお相手を依頼いらいしました。今日はよろしくお願いします。

Beep21 こちらこそ恐縮です。今日はご指名いただきまして、ありがとうございます。私の方は、昔は『BEEP!メガドライブ』『セガサターンマガジン』で副編集長、『ドリームキャストマガジン』『ドリマガ』で編集長を担当したあと、最近はセガハードヒストリアを刊行しまして。そこから2021年末にWebマガジンの『Beep21』を創刊させていただきました。奥成さんとは、実は毎週のように原稿チェックの依頼をしていて、あんまり久しぶりという感じはないのですが、実際に顔を合わせて...となると「セガのDNA」の石井洋児さんの取材の時以来かもしれないですね。

奥成 そうですね。あれは3回目(後編)の告知がまだないんですけど、鶴見六百(Beep時代のペンネームは氷水芋吉)さんの記事で、M2堀井直樹さんと私と鶴見さんで恩師でもある石井(洋児)さんにお話をおうかがいする、という企画ですね。

Beep21 石井さんについては、先日追加の取材もされてましたよね。また近いうちに記事は公開されると思いますので、楽しみにしています。さて今日は『セガハード戦記』のトークショーということですが、本の発売日前後から数日間、ずっとTwitterトレンドに居続けてましたよね。

奥成 びっくりしますよね。あれ、どういう仕組みで「トレンド」に上がるのか気になりますけど、たぶん皆さんが『セガハード戦記』についてたくさん話題にしてくださったり、リツイートしてくださったりしたことが影響しているんだと思いますので、本当にありがとうございます。

今日は1時間のインタビューでいきます

Beep21 今日はトークショーの時間はなんと1時間もあると聞きまして。私などは取材で「今日は1時間で」とか指定されることもありますから、「1時間」というのは、意外と慣れている時間配分だなと思いまして、今日は”ライブインタビュー”的な感じでお話をお伺いしていこうかと思っています。内容的には、前半は「奥成少年」について、あまり今まで聞く機会がなかったので、そのへんをお伺いしつつ、話が温まってきましたら『セガハード戦記』の話を順に深堀りしていこうかと思います。

奥成 ちなみに本が出て間もないのですが、まだ読んでいないという方はいらっしゃいますかね?(会場を見回すと...結構な数の挙手が) この本のサイン会だから仕方ないですね(笑)。

Beep21 まだ発売から間もないですし、今日ここで買ったという人もいるでしょうからね。それでは、あまりネタバレをして読む楽しみをうばわない感じに進めていきたいと思います。ちなみに、『セガハード戦記』の制作経緯と見どころについては、先日奥成さん自ら寄稿をしていただきまして、現在全文無料で公開中ですが

全体で10章構成という感じで?

奥成 そうですね。番号を振ったのは8章なんですが、途中でゲーム雑誌の『Beep』に触れた「2.5章」というのが間に入ってまして。あとは序章が入ってだいたい10章という感じです。

Beep21 セガのハード(SG-1000)は1983年7月生まれなので、実は今年40周年ですよね。この発売日はファミコンと同じ日ですが、ちょうど(このトークショーの)1週間後(の7月15日)にまたサイン会をされるとのことで。

奥成 ファミコンと(SG-1000が)同じ発売日というのは偶然なのかもしれませんが、たぶんセガ側がぶつけたんだとは思います。7月15日のサイン会はトークはなくて、純粋にサイン会ですが、今回これなかった方はぜひいらしてください(※こちらのイベントは無事終了しました)。

奥成さんは定年まで8年ほどある...ということは

Beep21 ちなみに奥成さんは今おいくつになられたんでしたっけ?

奥成 僕は’71年生まれです。セガハードが出たのが’83年なので、ちょうどその頃が12歳とか、小学生という感じでしたね。

Beep21 1971年生まれということは、今年52歳ということですね。6月生まれで、ふたご座のA型というのは事前にお伺いしていたので、ちょっと性格診断みたいなので調べてみましたら、「双子座でA型」の人は、聞き上手であり、自分が持っていない知識に対してしっかりと興味を持ちますとありまして。まさに奥成さんを表している感じだな、なんて思いました。先ほど年齢をお伺いしたのも、まだ定年まで8年あるじゃないですか。セガさんぐらいの大きな会社だと、「雇用延長」とかもあるとは思いますが、それでも8年あれば、たぶんセガサターンミニとかドリームキャストミニまで、出してくれるんじゃないかと、勝手に予想してます(笑)。いや、あくまで勝手にこちらが思っているだけですが。

奥成 そのへんについては、ちょうど先週木曜発売の週刊ファミ通さん(2023年7月20日号)に、うちの社長の杉野(行雄)のインタビューでちょっとれてましたね。どちらにせよ、メガドライブミニ2の時も、「続き」というか同じようにやるってことで、これなら楽にできるだろう、なんて思って進めても2年はかかっているので。次をやるとしても少なくとも2年以上はかかるので、すみませんそんなに早くは出ません!...という感じだと思います。

Beep21 まあ、そうですよねぇ。とはいえ何事も始めるのが大事かな、と思いますので、まだ「(定年までの)残り時間」はたっぷりあるので、そこは楽しみにしていたいなと思います。

奥成少年の幼少期について

Beep21 さて、最初に奥成少年のお話をお伺いしていこうと思いますが、奥成さんはお生まれは?

奥成 東京生まれ...なんですが、厳密げんみつに言うと、東京生まれ東京育ち。その後、幼稚園の時に神奈川に引っ越してきました。

Beep21 ご兄弟は?

奥成 兄弟はいないです。

Beep21 意外でしたが、一人っ子だったんですね。

奥成 そういう意味では、親からは自由にさせてもらっていたというか。

Beep21 親御おやごさんのお話の中で、お父様についてのエピソードが『セガハード戦記』の「あとがき」の中で出てきますよね。そこで今回の出版をされた白夜書房さんとのエピソードがちょっと触れられてましたが、お父様は当時、白夜書房さん(※当時はセルフ出版という社名)で「小説マガジン」という雑誌を創刊されたそうで。ちょっと調べてみたら、「奥成達(おくなりたつ)資料室」というサイトが出てきてそこに詳しく情報が掲載されていました。

意外とこういうところに、奥成さんのルーツというものがあったのかな、と思ったりしました。

奥成 そうですね。うちの父は著述業、物書きだったので、編集とか執筆とかそういったものは、わりとずっとなじみがありました。今回の『セガハード戦記』を出すに至ったのも、白夜書房さんから「奥成さん、本を書きませんか?」ってご提案をいただいて。「僕は普通の会社員なんですけど?」と思いつつ、なんとか本を出せたわけですけど、そのへんは、父親がそもそもそういうことをやっていたから、なんかできそうな感じがしたというのはあったかもしれませんね。

Beep21 赤塚不二夫先生とかも接点があったと『セガハード戦記』の「あとがき」にはありましたね。

奥成 赤塚不二夫さんとか山下洋輔さんとか。’70年代にみんなで集まって、時折いろんな人たちを巻き込んで大規模にやるか、みたいな感じでいつも遊んでいて、家には帰ってこない。けど、そのおかげで物心ついたときには赤塚不二夫の漫画がすべて家にそろってまして。絵本の代わりに読んでいたのが、「天才バカボン」だったり、中にはちょっと大人向けに描かれた漫画ものも置いてあって全部読むと。わりとそんな環境で育ったんですよね。

奥成さんの「マイファーストセガ」は?

Beep21 奥成さんは小学校の頃は「スペースインベーダー」の下敷きをながめていた、なんてエピソードも本の中では描かれていましたが、「インベーダー」以前にはどんなゲームを遊んでいたんですか?

奥成 もちろん「ポン」とか”ブロック崩し”のたぐいは、親に連れられて行ったゲームコーナーのどこかで遊んではいるんですけど、基本的に”エレメカの一種”みたいな感じで置かれていたので、「ポン」はすごいけど、これだったらエアホッケーで遊んだほうが楽しいかな、みたいな感じはあったかもしれませんね。そういう意味では「インベーダー」って代用が効かないすごいゲームだったので、やっぱりそこが良かったですよね。

Beep21 奥成さんは「セガが好きすぎるセガ社員」みたいな”異名”というか、二つ名をお持ちですけど、「マイファーストセガ」というのは何だったんですかね?

奥成 たぶん、ここにいる皆さんもそうだと思うんですけど、ビデオゲームって最初に触るときに「これはタイトーのスペースインベーダーだ」と思って触ってないと思うんです。いろんな「インベーダー」をやって「なんかこのインベーダーだけ、背景が青いな。しょぼい音がするな...」とかっていうのがあったと思うんですが、あれが多分最初ですね。『ヘッドオン』も遊べて(デュアルプレイのこと)。そういう意味では当時も「これがセガだ」という認識はあまりなくて。自分の中で「あのへんの塊がセガだ」と思ったのは、横須賀中央駅のすぐ近くに「横ビル映画街」っていうのがあって、今でいうシネコンみたいな映画館なんですけど、ビルの中にたくさんの映画館がいっぱい入ってて、そこの階段の横の待合室的なところにビデオゲームがいっぱい入ってたんです。で、そこのゲームがセガのゲームだらけだったんですよ。セガの直営店舗だったのか、フランチャイズ店だったのかはわからないですけど、そこに行くと「スーパーザクソン(1982年)」とか「王将 芹沢八段の詰将棋(1982年)」とかそういうゲームがいっぱいあって。ここだけ、見たことないゲームがいっぱいあるな、と思って、遊んでたりしてました。

Beep21 そんなセガだらけのゲームセンターが...。

奥成 ただ、一番最初にハマったのは「ジャンプバグ(1981年)」ですね。あとになってから、あれは実はアルファ電子が作っていた、みたいなのは知るんですけど、あの当時はセガのゲームというくくりで見てましたね。

『Beep』の影響でセガ・マークⅢを買う前にアルカディアを買った理由

Beep21 奥成さんは雑誌の『Beep』を買ってから、セガ・マークⅢを買う...という流れがあったわけですが、最初に買った家庭用ゲーム機は意外にもアルカディア(1983年3月発売/19,800円※当時)という...。結構渋いところを攻めてきたな、という感じがしますが、アルカディアで一番やり込んだゲームは?

奥成 「ホッピーバグ」ですね。アーケードの「ジャンプバグ」が好きだったので、それが遊べるということでアルカディアを買いました。このへんは、うまく伝わるかわからないんですけど、アルカディアの前に「インテレビジョン(1982年7月発売/49,800円※当時)」というバンダイのゲーム機があって、アルカディアとインテレビジョンは、実は中身も違うし、作ったところも違うんですけど、同じバンダイが出してるし、なんとなく「インテレビジョンの廉価れんか版」みたいなイメージがアルカディアにはあったんですね。で、そのインテレビジョンを山下(洋輔さんのバンドの)トリオのマネージャーの方が持ってたんです。僕はしょっちゅう山下さんの家に遊びに行って、時々そのトリオの人達とも遊んでもらったんですけど、ある時インテレビジョンが置いてあって。これからはビデオゲームが家で遊べるんだぞって。カセットを変えるだけで、いろんなゲームが遊べるというものが誕生して、「インテレビジョンはいいぞ、洋輔」って言われたんですけど、高くて買えない。5万円とか出せないんですけど、みたいな感じだったんですね。だけど、なんとなくインテレビジョンのデザインのかっこよさに憧れてたので、アルカディアに引き当たった...というのはあったかもしれないですね。

Beep21 奥成さんがセガ・マークⅢを買う頃だと、セガのアーケードゲームには体感ゲームも出始める時期にあたるわけですが、「スペースハリアー(1985年)」とか、「アウトラン(1986年)」とか「アフターバーナー(1987年)」とか、あとはさっき話題に出た、石井(洋児)さんの「ファンタジーゾーン(1986年)」とかもありましたね。このへんはやられていた?

奥成 1986年になると、もう中学生になっていたんですが、そのころも映画館に結構通ってたんです。僕の家から1時間くらいかけて横浜の伊勢佐木町の映画街に行くんですけど、当時は町中に映画館があって、同じようにゲームセンターがあって、せっかく1時間もかけてきたんだから、映画のついでにゲームセンターにも寄る、みたいな感じになるんですね。当時はそこの関内のハイテクセガ馬車道にプリペイドカードでゲームができるシステムがあって、それを使うと500円で600円分遊べるとかお得だったんです。

Beep21 それはお得ですね。

奥成 ここ(の会場)に来ている人は皆うなずくと思うんですけど、’85年、’86年くらいのゲームセンターで一番派手なゲームがセガの体感ゲームでした。それに続いてシステム16のゲームも、ビジュアルとサウンドがすごいゲームがいっぱいそろってて、セガのゲームセンターは他のゲームセンターに比べてはなやかなところがあって。それで「セガのゲームはいいな」っていうところにこのタイミングでセガ・マークⅢとか出てくると、もう買っちゃうじゃないですか(笑)。マークⅢが家で遊べるようになったものだから、今後移植されそうな最新のゲームはどんなゲームかな?って、どんどんセガのほうに興味を持っていかれたというのがありますよね。

Beep21 当時はセガ以外のメーカーだとどのへんのゲームをやってました?

奥成 源平討魔伝(1986年)」とかが出ていた頃は、(ナムコ直営店の)キャロットだと100円なんですよ。でもその近所のセガのゲームセンターなら50円でできたので、50円でできるんだったらわりとそっち(セガのゲームセンター)に行っちゃってました。あとは本(『セガハード戦記』)の中でも書きましたけど、高校に入ってからは番最寄りの駅と学校の間にゲームセンターがあって、そこはインベーダーハウス時代からずっとタイトーの直営店だかフランチャイズ店で、そこに行くとタイトーのゲームしかないんですよ。「ダライアス(1987年)」とか「ニンジャウォーリアーズ(1988年)」とかをやっていました。あとはタイトー流通だったテクノスジャパンやセタのゲームとか。中でも僕が一番やってたのは「1943(1987年)」でしたね。このときはセガのゲームがやりたくても、3年間通い続けたその店にはタイトー系のゲームしかなくて。

Beep21 そういう高校時代のタイトーのゲームとの接点が、もしかしたらメガドライブミニの収録タイトルになんらか影響があったのかもしれませんね。

奥成 そうですね。先日久しぶりに高田馬場のミカドに行って久しぶりに遊んだら、やっぱり「ダライアス」と「ニンジャウォーリアーズ」をやってまして。どっちも最近メガドライブミニでやったな、と思いながら(笑)プレイしてました。

Beep21 奥成少年のゲームの比率は結構当時から高かった感じがしますね。

奥成 あとは洋画ですね。この頃になるとやっぱりアニメとかの比率はだんだん減っていったかもしれません。

奥成さんのレシート集めの秘密と発掘された当時の日記兼家計簿(!?)

Beep21 奥成さんは、当時買ったゲーム機とかソフトのレシートを当時のまま残しているとかも有名じゃないですか。あれは何か理由が?

奥成 これは何人の方が共感できるかわからないんですけど、父が著述業をやってたじゃないですか。だから本とか資料はすべて領収書で経費で落ちるんですよ。そういうことで、御遣おつかいに行くときには「本を買ったときには必ずレシートをもらっておけ」って言われて、取っておく習慣があったんです。それで自分が買い物する時のレシートも取ってたんですね。そのうちヨドバシのレシートに、買ったゲームのタイトルがちゃんと印字されるようになって面白いなと思って。それでずっと取っておいたら、いつの間にか集まってたってことなんですよね。これが何かに役に立つのかはわかんないんですけど(笑)。

Beep21 それで今日は奥成さんは当時のまた貴重な品を持参してきてくれたんですよね?

奥成 僕ね、当時日記兼家計簿を付けていたんですよ。中1になるときに父から「これからは日記をつけた方がいい」って言われて、日記をつけようってもらったのがこれで。

奥成さんが奥成さんがおもむろに取り出したのが1988年(メガドライブが発売された年)のダイヤリー。

でも長文だと、絶対に続かないから「一言でいいから毎日書け」って言われて。

Beep21 これ、1988年当時の日記の現物ですか? 35年前の。

奥成 せっかくなのでメガドライブの出た年のを持ってきました。

▼この日記兼家計簿について奥成さんがツイートしたもの▼

全部こんな感じで、そこで何をやって、いくら払ったとか細かく書いてあるんですよね。‘88年だから、僕はまだ高校生ですね。なので、わりと高校生の言葉で書いてあって(笑)。もう全然アドリブとかリハとかも何もなくて読んでみますけど、

88年10月7日
ファミマガ他にメガドライブの特集
と言っても1、2ページだけど
要するに初めて雑誌にメガドライブの名が載ったわけだ
スペハリ2もスーパーサンダーブレードも
友達が聞いたほど悪くは見えないな
アウトラン、アフターバーナーも写真じゃよかったけど
実際クソだったからな

※画像をクリックすると動画で見ることができます。

みたいな感じですね(笑)。この友達っていうのは、早くからパソコン通信を始めてて、SETA-NETとかにゲーム業界のライターさんとか開発者が、みんな入り乱れて入ってたんで、メガドライブの発表会の情報とかが発表当日からどんどん入ってきてたんですね。そのへんのことを書いてたんです。

単なる日記だけでなく、その日に買ったものとその金額まで記載されているのがわかる奥成氏の日記兼家計簿。

Beep21 これ「日記」っていうイメージとはまったく違いますよね。ある意味現代のSNSのツイートに近い感じがすごいしてるというか。

奥成 そうですかね。自分の中で何月何日に何をやったとか書いてあるんですけど、たとえば

10月15日
スペハリ2のCMを見れた

とか書いてある(笑)。
PCエンジンは「PC猿人」って書いてますね。

10月29日
メガドライブ発売日
やったついにやった
メガドライブ購入
しかしスペハリ2は買えなかった
スーパーサンダーブレードが良かったからいいけど

そしてここの右側に

メガドライブ21,000円
スーパーサンダーブレード5,800円
電車480円

とか書いてある。

あとは10月29日なので『ゲーメスト』も出てたので

ゲーメスト480円 (図書券)
D─北海魔行 (上)420円 (〃)

とか同じ日に買ったものも書いてありますね(笑)。

Beep21 これは家計簿とか日記とかを超越して、まさに現代のSNSの先駆けみたいな感じですね。すごいですね。

奥成 あと、こんなことも書いてますね。

11月8日 メガドライブはやっぱり4オペなのか?

これ、メガドライブのFM音源はセガ・マークⅢより良いって言われてたんだけど、初期のタイトルって、どう聞いても2オペレータでってるようにしか聞こえないくらい曲が単純なんです。たぶん上保(徳彦)さんがこれまで4オペのFM音源を使ったことがなかったんだと思うんですが、当時僕らは友達と「メガドライブは2オペか?4オペか?」でもめてたのがわかるというか(苦笑)。

Beep21 高校生とは思えないマニアックさですね。

奥成 逆に高校生だから、こういうところにハマっちゃったんじゃないかなと思います。

昔の自分の記憶を取り戻すのに、こういう当時のメモみたいなものはすごく役立ちますので、みんな今の子はSNSとかにいっぱい書き残しておくといいと思いますね。

Beep21 ところで話を戻しますと、奥成さんが持っていたゲーム機というと...?

奥成 アルカディアの前に任天堂のブロック崩しも持ってました。そのあとにアルカディアを買って、ファミコン、ファミリーベーシックを買って、次にディスクシステム。その次がセガ・マークⅢですね。

Beep21 そこから”セガ道”にどっぷりと...。

奥成 はい。でもマークⅢを買うまでは、SGシリーズのゲームを馬鹿にしたりしてましたね。「ファミコンが欲しかったけど、買えなかったからSGを買いました」っていう子が隣に住んでまして。でも彼が「ピットフォールⅡ(1985年/セガマイカード)」を買って、マップを創ったりして遊んでいるうちに意外と(SG-1000)にも面白いゲームがあるんだな、と思ってました。

Beep21 マークⅢ(1986年)のあとはメガドライブ(1988年)を買われたわけですが、PCエンジン(1987年)は買わなかった?

奥成 たぶん僕と同い年くらいの方だと共感してくれる部分もあると思うんですが、PCエンジンとメガドライブの両方を買ってしまうと、予算的に回らない。どっちのソフトを買っていいかわからなくなるので、友達と分担するんですよね。PCエンジンを買った友人はPCエンジン担当。で、僕はメガドライブ買ったので、メガドライブ担当、みたいな感じで友達同士で分担して。休日は一緒に遊ぼうみたいな感じでした。

重要な話がしれっと...いくつか

Beep21 なるほど。さて、そろそろ話も温まってきましたが、時間もちょうど半分(30分)くらいなので、本題の『セガハード戦記』の話にいこうと思います。私は電子版のほうで、一通り読ませていただいたんですけど、結構中に、たまにしれっと気になる話がちょいちょい入ってくるんですよね。最初のほうで言うと、セガが家庭用ゲーム機を出す前の選択肢の1つとして、コレコビジョンを販売する、みたいな話があったわけですが、結局セガはコレコビジョンは出さないで、自分自身でゲーム機を作って販売し始めるわけですね。これも意外と、謎として残ってますよね。

奥成 これについては、佐藤秀樹さんのインタビューにも出てこないし、そこについては知る人が限られているのですけど、ここは”おにたま”さん様様さまさまなんですが、業界紙の『 ゲームマシン』って、当時のものもネットで今全部見ることができるんですね。

これを見ると、セガ家庭用ゲーム機参入とあって、アメリカで’82年夏に発売されるコレコビジョンが’82年の春に発表されているんですね。だけど、発売は翌年(1983年)と書いてあるだけなんです。これについての記事はこれ以外にどこにも見つけられなくて。だから、たぶん1982年~1983年の間に、任天堂からやってきた駒井(徳造)さん(※1983年4月にセガ入社)が来てから、話の流れが変わったんだと思うんです。SG-1000を作るときには、コレコビジョンのイメージは参考にあったかもしれないけど、もうコレコをセガが販売するという話はなくなっていたんだろうな、と。わりと発表してすぐになくなったんだろうなと思います。

Beep21 そのへんの話もまだ解明されていないところなので、そのへんはいつか掘り起こしていくと面白そうだな、と思いました。あともうひとつ気になったのが、セガの当時の選択肢として、自社で自分のゲーム機を出すか? それともファミコンに参入して、サードパーティーとして入るという選択肢があって、ファミコンソフトが3本くらい開発されていた、なんてしれっと書いてある(笑)。これについては、Beep21でも、ある有名なクリエイターの方が、その話をしていたのを当時聞いていまして...。

奥成 その有名クリエイターさんの話も過去には他の雑誌で直接的ではないんですけど、読んだらそれ(やっていたという)以外考えられない文脈で書かれていたので。

Beep21 そのへんの話はまた10年くらい経ったら、ちゃんと公開できればとは思います。

奥成 あの時代って、いろんなチャンスとかチャレンジとかがあって、かなりいろんなことを模索もさくしていた時代だと思いますね。

Beep21 ちなみに奥成さんは、この頃(中学生の頃)はゲーム三昧ざんまいに見えますが、受験勉強とかは大丈夫だったんですか?

奥成 受験勉強はしましたよ。しましたけど、ゲームにも夢中になってたので(笑)。でも、「ドラクエ(※ドラゴンクエスト)Ⅱ」はやってません。でも(品薄で手に入らない)「ドラクエⅡ」を買ってきてあげて渡した同級生は志望校には合格していて、僕は志望校には落ちたんですけどね...…。

Beep21 それは...…(笑)。ちなみに、メガドライブの章は、一気にボリュームが増えてくるんですが、これはもともとコラムで書いていたから、というのもある?

奥成 そうですね。皆さんが一番興味があるところでもあり、かつセガが一番景気のいい時がやっぱりメガドライブの頃なので、語れることも厚くなりますからね。だから、あそこ(メガドライブ)を連載にした、というのがありました。連載ではセガサターンを最初に書いたんですが、それは僕自身がセガに入った後の話なので、いろんなことをライブで見ていて、よくわかっていたから書きやすかったというのもありました。

その1年後に「ドリームキャストで書いていただけませんか?」という話もあったのですが、やはりドリームキャストは僕もつらい話しか書けないので、短期連載でまとめるのが難しいかな、と思いまして、時代をひとつ戻して書いたのがメガドライブでした。ちょうどその頃はメガドライブミニ2も作っていた頃なので、書きやすかったというのもあります。

メガドライブのVR計画について詳しい人が会場でサプライズ秘話を公開!

Beep21 メガドライブの章の後半のほうで、1993年のセガVRの話が出てくるんですが、これについては実は今日この会場の後ろのほうに、それに詳しい人の姿が私から見えるんですが...。ちょうど『Beep21』でも「真・セガハード列伝」という連載でセガのハードの真実を振り返っていく企画のナビゲーターをやってくれている戸崎健司さん。

この謎の機器のメガドライブの"Sega VR"については、どんなものだったのか? 戸崎さんに詳しく聞くことができると思うのですが、ちょっと話を振らせてもらっていいですかね?

この日会場に来ていた戸崎氏にいきなり話を壇上から振ってみました。

戸崎 今日はちょっと立ち寄っただけの者ですが(笑)、解説させていただきますね。

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