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Modern Love...滑らかさで恋をして

夏場は恋愛したくないなと昔から思っていた。それは今も変わらない。でもまあこの年齢になって恋愛はまずない。夫もいるし、不倫なんて夏の恋愛以上に嫌なこと。夏の恋愛が嫌なのは暑くて意識が平常ではない上に、汗でネチネチベトベトしているからだと思う。学生時代に夏休み明けの女子たちによる「ひと夏の恋」と題された恋話を聞くのがうんざりだった。夏は汗ダクで手なんて繋ぎたくないし、ハグもしたくない。それ以上のスキンシップなど身震いしそうだ。それと同時に苦手なのが日本の恋愛ドラマ&映画。それは恋人同士の会話が楽しくないからだ。ボキャブラリーが少なくて、今置かれた状況に沿った会話しかしない。別れ話なら別れの言葉、告白シーンなら告白の言葉。こういうのは見ていてしらけてしまう。こう考えると、私って恋愛のなんだかんだに結構こだわりがあるのだなと自分でびっくりする。恋少ない人生っていうのはこういうことに由来しているのかも...と思う。

そんな中で、アメリカのテレビドラマ「モダンラブ ~今日もNYの街角で~ シーズン1」を見終わった。全8話の様々な愛の物語。最初は「恋愛ドラマか、1話を見て面白くなかったらやめよう」と思いながら見始めたが、1話を見終わった後にふわ〜っと気持ちになり素直に「素敵」と思った。1話完結なのだけど少しずつ次へ繋がる工夫がされている。資料を読んでみると、ここに登場する話はニューヨークタイムズのコラム「Modern Love」に投稿されたストーリーが題材になっているらしい。そのせいかな、お決まりのストーリー展開ではない瑞々しさが感じられた。私の好きなニューヨークが舞台だということも加味されているが、ニューヨーカーらしい洒落た言葉の選択は、日本でいう「粋」というイメージだろうか、日本の恋愛ドラマにある「野暮」がない。もう「あっぱれ」だ。

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1. When the Doorman Is Your Main Man(私の特別なドアマン)

独身女性のマギーは、代々親の世代からお世話になっているアパートで一人暮らし。そのアパートのドアマンである初老の男性グズミンとは昔から親しくしている。グズミンはマギーを自分の娘のような感覚で見守っている。マギーは未婚で妊娠してしまい、その時も父親のような優しさでマギー包む。

2. When Cupid Is a Prying Journalist(恋のキューピッドは世話好き記者)

ヒューズは業界でも注目される恋愛アプリの開発者。恋愛アプリには精通しているヒューズだけど、エマという女性に片思いしている。女性記者ジュリーは自分の恋愛話をヒューズに聞かせることにより、彼をエマへと導いていく。

3. Take Me as I Am, Whoever I Am(ありのままの私を受け入れて)

女性がスパンコールの派手な服を着て桃を買うために早朝のスーパーマーケットをご機嫌で歩いている。野菜売り場で彼女が求めていた男性と目が合う。そのままブレックファーストを共にするが、次に会った時、彼女は人が変わったようにテンションが低い。そう彼女は躁鬱病だったのだ...

4. Rallying to Keep the Game Alive(夫婦という名のラリーゲーム)

中年夫婦のデニスとサラの夫婦関係はカウンセラーを受けなきゃいけにほどに崖っぷちを迎えていた。「2人の時間が必要」というカウンセラーの薦めで、一緒にテニスをしたりするが、なかなかうまくいかない。でもちょっとしたことがきっかけでお互いが考え直していく。

5. At the Hospital, an Interlude of Clarity(デートの幕あいは病院で)

ロブは行き当たりばったりで出会った綺麗な女性ヤスミンとデートし、家に招いた。その時部屋で不注意で怪我をしたロブは救急車で搬送。ついてきたヤスミンと病院でデートが続行する。その中で自分の愚かな一面も相手に語り、本当の姿を見せる二人。出会ったばかりで何も始まっていないし遊びかもしれない。それでも二人の大切な思い出が始まっていく。

6. So He Looked Like Dad. It Was Just Dinner, Right?(パパみたいな人とデート?)

11歳の頃に父親を亡くした21歳のマデリン。父親が恋しくて仕方がない。マデリンは職場の自分より30歳以上も年上の男性ピーターに目を付ける。そして理想的な父親のようなピーターにを好きになる。でもその「好き」は男性を意識した好きではなくて...

7. Hers Was a World of One(僕らが見つけた家族のカタチ)

ゲイのカップルであるトビンとアンディはずっと子どもが欲しかった。養子縁組に頼ることにて手続きに出かける。でもゲイカップルということでなかなかうまくいかない。そんな中であまりお勧めはできないがという形で紹介されたのがホームレスのカーラという女性。現在妊娠中だがホームレスなので子供が生まれても育てられないと言う。トビンとアンンディは不安ながらもカーラの子供を引き取ることに決めた。


8. The Race Grows Sweeter Near Its Final Lap(人生の最終ラップは より甘く)

老女ジェーンは公園での小さなマラソンに参加した際、足をひきずるように苦しそうに走っていた男性ケンを見かけた。彼は自分と同じくらいの年齢でその日から親交を深め、一緒にジョギングをするようになる。やがて二人は共同生活を始め、老年の愛を経験する。しかし、幸せは長くは続かなかった...

最後に...

8話のラストシーンでは1〜7話の登場人物たちがそれぞれの形でチラッと登場してくる。その演出がとても小憎らしいほど素敵。ニューヨークの街角で起こるいろんな恋愛物語、それが交差してそれぞれの人生が繰り広げられている。ニューヨークのカフェ、アパートメント、スーパーマーケット、レストラン...どれもこれも特別なしつらえではないけど、人々が存在し生活し、愛を育む舞台として申し分ない。

人生っていいな。大人っていいな。

そう思えるほど良作です。

原題:Modern Love
製作国:アメリカ(2019年)
シーズン1:2019年にAmazon Primeで配信
製作総指揮:ジョン・カーニー ほか





読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。