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雨ばかりで、やさぐれ女が浮上する

2024.3.26 (火曜日) get desperate


今日で4日間連続の雨である。
アスファルトは、薄いグレーから雨の染み込んだ濃いグレーに染まったまま横断歩道の白い白線だけを浮き上がらせている。
ダークな色合いのビルやマンションがさらに墨絵のようにダークになり、走る車のライトや赤信号だけが鮮やかな色彩を放っている。

こうなると…
『雨は嫌いじゃないの、私』などと昔の女優が言うようなアンニュイ気取りのセリフを言ってる場合ではない。
腰痛が悪化しているのである。
あの、悪しき耳鳴りも悪化しているのである。
雨のせいかどうかはわからないが、誰のせいにもできないのなら、雨のせいにしておこうではないか。

この時期になると、行友李風 (ゆきともりふう) 作の新国劇「月形半平太」の中で主人公が傘をさしかける舞妓さんに言うセリフで、「春雨じゃ濡れてまいろう」というのを粋なセリフとして引用している記事をよく見かける。
でもあのセリフの本当の意味は、『春の雨は、細かい雨が降ったり止んだりとずっと降り続いてるから、いちいち傘をさすのがめんどくさいから、もう濡れていこうか』という意味なのだと私は教わった。
そんなもんなのだ。
春の雨というのは昔も今もめんどくさいものだったのだ。
と、今日の私はちょっとやさぐれ気味である。

それでも外出はしなければならない。
今日は夏公演の配役が決まる日だ。どんな役でも文句を言わずやろうと自分に言い聞かせた瞬間に、インターフォンが鳴った。
「郵便局です、書留が届いてます。印鑑お願いします」
書留という言葉に、なんだか懐かしさ感じる。
現金書留ぐらいしか思い浮かばないが、一体誰に何の書留だろうと、少しそわそわしながら出る。
夫あての書留だった。
中身は見ることができないが、表に『〇〇国家資格証明書在中』と書かれていた。
いつの間にか試験を受けてたみたいだ。
まったく知らなかった。
落ちたら恥ずかしいから言わなかったのだろう。
プライドの高い思春期の子供みたいな人だ。
でも、この封筒を見る限り合格したのだから良しとしよう。
夫の机の上に置く。
私からは根掘り葉掘り聞くのはよそう。
言いたくなったら自分から言うだろうから。

出かけなきゃ。
次はスマホのアラームが鳴る。
「大阪府全域に竜巻注意報が出ました」
なんてこった。
それでも出かけなきゃ。
ひと回り大きな傘を持って出かける。

夏公演の配役は、気が狂った女の役だった。
予想していた通りである。問題はない。

また雨ですわね…

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