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青い空は共有しても、私たちは漸近線

2021.5.30(日曜日) asymptote

雲ひとつない青空ってつまらない。

あまり綺麗すぎるのが苦手で、買ってきたばかりの白いタオルとか、おろしたてのスニーカーとか、まだ自分の物になっていない感というか、『おまえの物になんかならないぞ』というプライドの高さみたいなものが感じられて嫌なのだ。今日の空は雲ひとつない青空。まるで映画や舞台の書割りのようで、真新しいタオルやスニーカーに感じることと同じようなことを今日の空にも思う。誰もが喜ぶ空なのだろうが、私はひとつふたつ雲のある青空の方が好きだ。と言っても空なんて自分の物になんてならないのだけど。

Amazon prime videoで13年ほど前の映画を観た。つまらなかった。途中で何度もリタイヤしようかと思ったけど『何故つまらないのか?』を考えながら最後まで観た。当時はとてもいい映画だと評されて、観た人の感想も賞賛するコメントが多かった映画だったけど観る機会がなくて今日になってしまった。映画や小説などには、食料品の賞味期限のような鑑賞期限があるのではないかと思う。30年、40年前の映画を観て新鮮と思うことがあるのは、もうすっかり100%感覚が入れ替わって新しいものを見る感覚なんだろう。13年というのは微妙だな。こういう時もあったなと感覚として覚えているけど、今、それに共感できるかどうかというと微妙で、『古臭い』と感じてしまう。あと15年くらい経ってから観たらきっと新鮮に観れるのだろう。15年後生きていたら(そして覚えていたら)もう一度観てみよう。

午後、珍しく夫とふたりで散歩に出た。近所に堂島川という大きな川があるのだが、その遊歩道をぶらぶらしていたら、先日まで閉まっていたカフェなんかが今日は開いていて、お洒落女子たちが楽しそうにランチをしていた。川ではジェットスキーを楽しんでいる人たちが水しぶきをあげて行き交っている。

まるで夏だな。

時々、パドルボートをやる人たちもいて見ていて楽しい。私は水辺のスポーツは自分でやるのは苦手だけど見るのは好き。涼しそうだし、心身共に迸ってる感じがするのがいい。しばらくベンチに座って見ていた。この遊歩道沿いには、コロナワクチン大規模接種センター(大阪国際会議場)もあって、駅からのシャトルバスも行き交い、年配者の方々がゆっくりと歩きながらその会場に入っていく姿と、カフェで楽しむ若者、川遊びをする若者、そしてベンチでくつろぐ私たち中年夫婦。交わっているようで決して交わらない。

それぞれだな。

それぞれの生活があるのだなと思った。



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