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noteは小説より奇なり

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時々、思いついたら書いている小説集です。 連続短編小説「短い時間の長い瞬間」「Stairway to Heaven」「不幸中にしか幸せはないのか...」など
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#連続小説

短い時間の長い瞬間 (最終話)

短い時間の長い瞬間 27[短い時間の長い瞬間(最終話)] ツツジの枝の隙間から相変わらず青…

イトカズ
2年前
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否応なしに動き出す3人の時間

短い時間の長い瞬間 26[否応なしに動き出す3人の時間] 美涼は、居酒屋の店長のところから…

イトカズ
2年前
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ひとときのありふれた日常、愛おしく輝き

短い時間の長い瞬間 25[ひとときのありふれた日常、愛おしく輝き] 朝食の準備は剣志と綾乃…

イトカズ
2年前
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うわべだけのパラドクス

短い時間の長い瞬間 20話[うわべだけのパラドクス] 7階の窓から見る東京の街は、高いビル…

イトカズ
2年前
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愛のかけらもない、逃避行

短い時間の長い瞬間 19話[愛のかけらもない、逃避行] 美涼は東京行きの新幹線に乗っていた…

イトカズ
2年前
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散ると知りながら咲くことを恐れない

短い時間の長い瞬間 18話[散ると知りながら咲くことを恐れない] 4月に入り、剣志の周りは…

イトカズ
2年前
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曇天の空の下、きっとここが分かれ道

短い時間の長い瞬間 17話[曇天の空の下、きっとここが分かれ道] 日曜日の午後、菜津は明日からの入院に備えて必要な物を準備していた。 旅好きな菜津はいつでもすぐに旅に出られるように下着類、化粧道具、洗面道具などは旅用セットとして常にスーツケースに詰めてあったが、病院からもらった入院の手引きにあったリストを見ながら足りない物をスーツケースに詰めていた。やたらとタオル類がたくさん必要で否応なしに旅に出るのとは違うのだということを認識させられた。 リストの中に『室内ばき』というの

失われた世界への悲しみがとまらない

短い時間の長い瞬間 16話[失われた世界への悲しみがとまらない] 剣志が帰ったあと、目を覚…

イトカズ
2年前
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あふれんばかりの奇妙でわがままな願望

短い時間の長い瞬間 14話[あふれんばかりの奇妙でわがままな願望] 綾乃は3時の休憩時間に剣…

イトカズ
2年前
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忍従せざるを得ない不機嫌な人生

短い時間の長い瞬間 13話[忍従せざるを得ない不機嫌な人生] 菜津は会社を2時半で早退して…

イトカズ
2年前
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東京駅の光の当たらぬ深い沼

短い時間の長い瞬間 7[東京駅の光の当たらぬ深い沼] 剣志はしばらく言葉が出なかった。 人間…

イトカズ
2年前
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Stairway to Heaven 8〜終わりの憂鬱

empty case 「ガキのわがままじゃなくて、大人のわがままが言えるようになりたいわね。」 …

イトカズ
3年前
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Stairway to Heaven 7

to discuss 今年の連休は天気についていえば、公平だなと外を見ながら思う。前半が雨で後半が…

イトカズ
3年前
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Stairway to Heaven 5

hidden agenda 大学病院から地下鉄で一駅の梅田駅に降りる。人の多さにうんざりしながら、自分もそのうんざりの原因を作る人間のひとりだということに気づきながら、目を閉じていても迷うことのない地下街を歩く。そしていつものデパートの食品売り場に入っていく。焼き鳥、サラダなどのお惣菜を数点買って、スマホを開いて時間を確認する。もうそろそろいい頃だろうか...と思いながら夫に電話をする。 「もしもし、終わったからこれから帰るね。晩ごはんは焼き鳥でいい?」 「お疲れさま、