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生活期リハビリでアウトカムを測定する意味

ある日、生活期リハビリに身を置いている方が尖った意見を主張していました。

だいぶ酒に身を委ねてツイートした感のある内容ですが、偶然にも私もこの方とは同意見です。

また、最近もアウトカムについて意見していたようです。

私はアウトカムの測定を放棄すると言うことは、測定できない理由がない限り"悪"であると考えています。しかし、不必要なアウトカムの測定も"悪"だと思います。

最近では、地域理学療法におけるアウトカム評価指標に関する論文がTwitterを中心に注目を集めています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjccpt/advpub/0/advpub_JJCCPT22004/_pdf/-char/ja

昔からリハビリテーションにおいてアウトカムに対する考え方はありました。しかし、最後までこのnoteを書いて思ったのですが、おそらくあなたが思っているアウトカムと違った内容の記事だと思います。今回は利用者・研究・企業の3分野にとってのアウトカムについて分けており、それぞれのアウトカムを意識する必要があるよという内容です。

ちなみに、このような方にオススメする内容です。

・アウトカムを測定する意味が分からない方
・利用者、研究、企業のアウトカムが良く分からない方
・現場だけでなく組織や会社に貢献したい方
・生活期分野の経営やマネジメントに興味がある方

UP Lifeというデイサービスを立ち上げて4年目になり、社内の研究体制を作りながら経営してきた人間が書いたので、それっぽい内容になっていますが、組織によって大きくことなる場合があります。参考程度の内容になるとは思いますが、皆様の力になれば幸いです。

ということで、どのようなアウトカムが必要なのかを見ていきましょう!

①アウトカムとは?

まずは今回の話の中心となるアウトカムについて整理しましょう。

【アウトカム】
成果。結果。
goo辞典

とてもシンプルですね。要は、何かを行ったことで生み出された数字や意見などがアウトカムに該当しそうです。

生活期において、一般的なアウトカムは以下のような図にまとまるかと思います。

※文字がつぶれて見えにくかったらすみません。

しかし、ここで一つ重要な疑問があります。
このアウトカムは、誰の・何のためのアウトカムなのでしょうか?

ほとんどの方は「利用者の健康増進のために測定しているアウトカム」と話すかと思いますが、利用者にとっては課題を解決する方向に近づいたのかどうかを測定できるアウトカムでなければ意味がありません。

施設・企業の中にはアウトカム測定の第一目的が研究のためになっていることもあります。しかし、学術発展のために利用者のサービス時間を削ってアウトカム測定を行うことは正義なのでしょうか?

次章で、色々な立場からみたアウトカムに対する考え方を見てみましょう。

②利用者・研究・企業にとってのアウトカムは全くの別物

利用者・研究・企業のそれぞれにとって必要なアウトカムは大きく異なると思います。まずは、利用者にとってのアウトカムを見ていきましょう。

1. 利用者のためのアウトカム

利用者の多くは、筋力は○○kg上がったり歩行速度が△△m/s速くなることが大事ではありません。できないことができるようになったかどうかが重要視されます。また、アウトカムの指標はシンプルで、できたかできなかったかの2択に分かれることが多いのも特徴です。
ですので、課題となる動作の解決が満足のいくレベルに達しない限り、介入を続けることもしばしば。解決しても、介入が続くこともしばしば。

上記はできるか否かの2択でアウトカムの進みが変わることを示しました。しかし、もう一つだけ別軸が存在します。それは、サービスに満足できる要素があるかどうかです。

リハビリを受けている利用者の中には「整骨院に通ってて痛みは取れないけど、マッサージは気持ちが良いから通い続けている」という方はいませんか?
利用者にとって、必ずしも課題を解決することが重要になるとは言えません。上記のように「マッサージを受けること自体が目的になっており、マッサージさえあれば満足する」という方も、利用者にとっては満足度という重要なアウトカムを満たす要因になります。

ここで大事なのは、
①利用者の課題にそったアウトカムの設定
②利用者の満足度に関連するアウトカムの設定
です。つまり、人によって重要視される成果が異なることに注意しなければなりません。

2. 研究のためのアウトカム

アウトカムと言えば、研究に関する内容が一番イメージつきやすいかと思います。
例えば、身体的フレイルと身体機能との関連性を研究するために歩行速度や筋力などを測定します。

測定したアウトカムを論文や学会発表のような形にすることで、学問の発展や企業の知名度、技術の向上につながるかと思います。

しかし、アカデミックな形になることはどれだけ利用者にメリットがあるのでしょうか?また、企業の売上に貢献するのにどれほどの費用対効果をもたらすのでしょうか?

難しいことに、社会的意義を満たすことと利用者・企業に利益をもたらすことはイコールになるとは限りません。しかし、企業の発展には欠かせません。

これらを踏まえると、経済と経営と研究のつながりを強固なものにするためには、研究のためだけのアウトカムになってはいけなさそうです。

3. 企業のためのアウトカム

利用者のアウトカムとは大きく変わり、財務・営業・人事関連の内容があります。上記の図以外でも、多くのアウトカムを扱います。
当然ながら、会社が存続または発展するには資金や資産が必要です。売上を伸ばすために良いサービスをして、利益を上げるために最小限の人員で稼働しようとします。

個人的な意見ですが、企業の主要アウトカムに繋がらない利用者・研究のアウトカムは、組織にとって必要とされにくいです。

高い人件費を払って金銭orサービス的なメリットにつながらない仕事をしていたら、そのアウトカム測定は手間以外の何物でもないからです。

③生活期でアウトカムを測定する意味

利用者・研究・企業をつなぐアウトカムを満たすこと

結局、生活期でアウトカムを測定する意味はなんでしょうか?

私としては、生活期のアウトカム測定には3つの意味が全て含まれていることで、初めて意味を持つのではないかと考えています。

①利用者の目標や課題に対して、介入前・中・後を追えること
②社会や組織課題の解決に必要な研究に必要な情報であること
③企業の利益に直接・間接的につながるかどうか検証できること

私の結論として、生活期のアウトカム測定の意味は、現場(サービス)・研究・経営の3つをうまく循環させ、3つの要素を発展させるためだと思います。これらのアウトカムの改善を意識しながら働くことで、利用者・スタッフ・組織・企業・社会に利益をもたらすことができると考えています。

また、アウトカムを測定することで利用者やスタッフのモチベーションの向上やサービスの課題発見、経営戦略の比較、方向性の検討など多くのメリットが存在します。
いまや情報が売れる時代であり、何事にもエビデンスを求められる時代です。このようなアウトカムを上手く設定し、使える者がこの先の時代を上手く生き抜くのかもしれません。

最後に内容をまとめておしまいにしたいと思います。

今回のまとめ

・アウトカムの測定を放棄するのは、測定できない理由がない限り"悪"
・アウトカムは結果・成果
を表し、何かを行ったことで生み出された数字や意見などを指す
・利用者は「できる・できない」、研究は「学術に必要な情報」、企業は「経営に関わる広い情報」
をアウトカムとしている
・この3つの分野がつながって意味のもつアウトカムを設定することが理想

まとめだけ読めば他の文章を読む必要ないのでは?
今回の内容を総括したところ、おしまいにします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

おまけ その1

宣伝です。

本文中にもチラっと出ましたが、弊社で運営しているUP Life(アップライフ)は神奈川県相模原市で活動しております。
スタッフの9割以上は理学療法士・作業療法士であり、生活習慣病予防特化型サービスとして、運動メニューをすべてオーダーメイドで作成しています。

UP Lifeはエビデンスとセラピストのスキルと合わせた介護予防に力をいれており、2023年3月に3店舗目を開設します。
そこで、事業拡大を目的として2023年9~12月ごろに求人募集を行う予定です。
DMをいただければ見学やZOOM説明を行いますので、気軽にご連絡ください。

予防分野や生活期に興味がある方は、ぜひチェックしてください!

おまけ その2


アウトカムについて調べている間に見つけたサイトがとても分かりやすかったので、参考までに載せておきます。アウトカムの意味やプロセスまで細かく記載されています!

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