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人材業界の不の解消。本気で描く3年後の目指したい世界

こんにちは。コロナが明けようとしている今でも相変わらずフルリモートで事業責任者をやっている、進撃のリモート巨人こと別宮です。
さて、前回のnoteでは、「不満だらけの人材業界に一石を投じる話。」と題し、過去の経験から、人材業界への自分なりの想いをざっくりとお伝えしました。おかげ様で、たくさんの方から、様々な感想を頂きました。

しかし、これだけだと「で、どうすんの?どこ向っていくの?」というご意見も同時に頂きました。

そこで今回は、私たちが向かいたいと思っている大きな方向性とその上で解決したい課題は何か、をもう少し詳しくお伝えしたいと思います。

このnoteは、特に

・HR業界 × 事業開発に興味のある方
・人材紹介の仕事は好きだが、今後ずっとは続けられないと思っている方
・HR業界には興味があるが、何かしら課題も感じて敬遠しがちな方
・既存サービスではなく、新たな価値を提供するサービスに興味にある方
・人の可能性を信じ、新しい仕事のカタチを創っていきたい方
・別宮は最近元気にしてるの?と少しでも気にしてくださっている方

に当てはまる方と当てはまらない方、両方(つまり全員に笑)に読んでいただけると嬉しいです。

■3年以内の目指したい姿

私は先日、社員が一堂に会する総会の場でGO NEXTを題し、3年以内に目指したい姿として、以下の内容を発表をした。

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我々は、企業と個人の最高の出会いの場を提供したいと考えており、それはもはや、人材紹介という形ではない、新たなマッチングサービスであると位置づけている。
その新たなマッチングサービスの思想にもなりえる、3年以内の目指したい姿としては以下である。

・ブラックボックスで情報優位の立場を売りにするのではなく、企業も個人もエージェントもオープンでフェアな関係性に
・できること(CAN)だけではなく、したいこと(WILL)がより上位概念として大切にされたマッチングロジックで
・求人ありきではなく、事業と組織の未来を想定したときに、その人らしさが活かされるポジションが創られる
・転職先が決まったというよりも、自己実現の場に出会えたというユーザー体験を創出したい
・そのためにも、経験と勘の労働集約的な人依存ではなく、人とテクノロジーのハイブリッドでサービスモデルを設計していく
・これはすでにあるHR事業の模倣ではなく、新たな取り組みに挑戦していくことである
・Keep the rulesではなく、Make the rulesの精神で、道を切り開いていきたいと考えている

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■3つの不の解消について

この目指す姿に向かっていくにあたり、どんな課題(不)を解決しようとしているかをお伝えしたい。それは、
・採用企業の不
・転職希望者の不
・人材紹介会社の不
の3者の抱える不で整理をした。

・採用企業からの不の声

前回のnoteで私は

「実は人材紹介会社が企業から預かっている8割以上の求人が未充足(在庫)のままなのだ。人材紹介会社は、決めやすい求人、儲かる求人しか相手にしない。」

とお伝えした。
この構造は、実は非常に問題なのだ。少し解説したい。

まず、人材紹介会社から相手にされない求人は、どういう求人かというと
・知名度の低い
・手数料が安い
・採用基準が高い
企業の求人である。ここに当てはまる代表的な企業群は「ベンチャー/スタートアップ企業」である。特に上場前のスタートアップ企業は、当然知名度が低く、潤沢な資金があるわけでもないので、提示年収が低い(ゆえに手数料が安い)。そして、スタートアップ企業は、指数関数的な成長を目指すために、採用には絶対妥協しない(むしろすべきではない)。
こうなると、それを仲介する人材紹介会社にとっては、やっかいな存在になってしまう。知名度も低く、手数料も安く、採用基準の高い企業に支援をしようと思うと、相当な工数がかかる割に成果(収益)に繋がりにくい、費用対効果の悪い活動となる。つまり労多くして実無し、となる。

一方で、人材紹介会社が注力したくなる求人とは、
・知名度も高く
・手数料も高く
・採用基準が低い

カテゴリーの企業がある。それは例えば、有名上場企業が該当する。特に当該企業が大量採用モードになった際は、採用基準が低くなる傾向があり、人材紹介会社にとっては「おいしい」対象になる。

ここでお察しの通り、多くの人材紹介会社は、転職候補者に対し、注力したい「おいしい」企業(ここの例でいうと大手有名企業)を中心に紹介し、費用対効果の悪い企業(ここの例でいうスタートアップ企業)の求人は紹介しなくなる。日本の企業の9割以上が中小企業、ベンチャー、スタートアップと言われているので、実はほとんどの企業群が、この相手にされないカテゴリーに該当してしまうのだ。

何が言いたいかというと、人材紹介会社は保有している求人はたくさんあるにもかかわらず、転職希望者に紹介されないまま「在庫化」していく求人が大量にある、という事である。

これが、企業や採用人事担当者の言う、
「紹介会社に依頼し、時間をとって打ち合わせしたにも関わらず、その後、まったく音沙汰がない」の不の裏側である。

ここで一点だけ補足したい。こういう相手にされない企業群が一部だけ奇跡的に人気求人になることがある。それは何らかの方法で、当該企業の担当者とそれを支援する人材紹介の担当者が頑張ったケースである。
だが、それはほんの一瞬だ。当該企業の担当者、もしくは人材紹介会社の担当者が変わった瞬間、ノウハウやナレッジが継承されておらず、元の木阿弥になる。持続性も再現性もない、悲しい世界なのである。実は、私はここに必ずテクノロジー活用のヒントがあると考えている。

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・転職希望者からの不の声

同じく前回のnoteで私は、

「転職を考えている個人の方から、転職エージェントは噓くさいから使わない、と言われたこともあった。それは、無理やり情報操作されて、転職先に押し込まれるから、という主張だった。大切な人生を左右させる選択にもかかわらず、内定が出た後の回答期限が数日のみ、という事も横行している。」とお伝えした。

これも非常に悩ましい問題である。少し解説したい。
まず、人材紹介会社は、入社が決まった際に、決定先の企業から成功報酬という形で手数料をもらうビジネスモデルが一般的。そうすると、情報の打ち出し方や、物事の判断基準が発注者である企業偏重になりやすい。また、人材紹介会社によっては、〇〇会社の専属エージェントのような形態で、特定の限られた企業に特化して紹介を行っていることも少なくない。

こういった構造から、人材紹介会社は、
・特定の企業に偏った説明と紹介になる
・あたかもその企業が転職希望者に合っているかのような説明になる
・短期間で入社承諾の回答期限が設定される

これが、転職希望者が、押し込まれる感を抱いてしまう理由である。月末になるとやたらと回答を催促してくることや、回答期限を短期に設定されて嫌な思いをされた方も決して少なくないのでは、と思う。フラットな立場から、客観的なアドバイスで、個人の人生を決める大事なイベントの伴走役だった人材紹介会社のウリが崩れようとしている。

ここでも一点だけ補足をしたい。実は稀に、真にフラットな立場で、客観的なアドバイスをくれて、偏った企業/求人紹介ではなく十分な選択肢を提示し、伴走してくれる人材紹介会社は存在する。しかし、それは稀である。
ほとんどの人材紹介会社は、
・十分な選択肢を提供できるほど、幅広い取引先を保有していない
・多数保有していても、人間の記憶には限界があり、偏った(コンサルタントが知っている/慣れている)企業の紹介になる
・社内システムを持っていても、マッチングロジックが雑で、転職希望者に合っていない求人が大量に紹介される

という具合である。これはビジネス構造上の問題であり、簡単に解決できるものではない。しかし、そんな稀な存在である真にフラットに客観的アドバイスで伴走をしてくれるコンサルタントの存在は、サービスモデル設計の工夫次第で再現性ある形にアップデートすることができると考えている。我々も今後実現したいと構想を進めている。

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・人材紹介会社の不の声

同じく前回のnoteで私は、

「人材紹介会社に従事していた多くの仲間たちは、その労働集約な働き方に限界を感じ、また、人を人ではなく、モノ扱いさせてしまう、過度なKPIマネジメントに嫌気がさし、会社を去っていった。」

とお伝えした。実は私はこれが最も根深い課題だと捉えている。少し解説したい。
私の人材紹介会社に在籍していた当時の元同僚たちは、異口同音に「この仕事はやりがいもあるし、ひとの人生の重要なシーンに伴走する尊い事業である。でも、長くは続けられない」というのである。なぜやりがいを感じているにも関わらず、ずっと続けられないのか。
それは、人材紹介のコンサルタントとして成果(売上)を上げるために、最も効果的なことは、「長時間使って働くこと」であるからだ。ハイパフォーマーは総じて、例外なく長時間労働である。

なぜそうなるのか。それは、
・候補者の面談から企業対応までの一連の工程が長く、それらを一人、ないしは限られた人員で多能工的にやり続ける
・その過程には、効率化されていない 、かつ煩雑な事務的業務を伴う
・それらを企業、個人、コンサルタントの間を何往復もする伝言ゲームが行われる 

つまりアナログで多岐にわたる業務オペレーションが、人の業務負荷を高めているという実態があるからだ。成果を出すために、高負荷な業務のままで対応数を増やそうとするのでカオスである。さらに、その負荷の高いアナログなオペレーションを経営側が問題視しないケースもある。

経営方針として、
・人材紹介は人間が介在することが大事である
・サービス業なので人のおもてなし力が重要
・そもそも、この業界は過去からそうであり、今後もそうである
というファクトなき意思決定や意志のない前例踏襲と他社模倣の上に成り立っているからである。

こういった実態もあり、人の情理的な判断で経営も意思決定されているから、なかなか変わらない業界となってしまっていると私は考える。

こうして、人材紹介に従事するコンサルタントたちは、家族の時間、自分の時間、など人生の大切な時間を他に投資できる余裕がなくなるのである。
これは、コンサルタント個人の自助努力だけではどうすることもできないので、最も根深い課題と考えている。

これらについては、私は労働集約的な働き方でしか事業成長できないサービスモデル設計をしている経営そのものが原因と捉えている。
私は、脱アナログ、脱伝言ゲーム、脱労働集約に向けて、ここにもテクノロジーを活用して解決すべき大いなる課題とチャンスがあると考えている。

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■求人というコンテンツは、オワコンかもしれない

この採用という世界では、企業の求人が起点になっている。求人があるから応募する人が現れ、選考が開始される。そして選考に通過した人が採用される。
何を当たり前のことを言っているのだと思われるかもしれないが、これは果たして、正しいのだろうか。もっと言うと、時代にふさわしいのだろうか。

私は「求人」はオワコンだと思う。企業や人材紹介会社は、求人があることで求人に当てはまる人を探すのである。その求人にふさわしい人かどうかを見定め、選りすぐるのである。
「求人」という枠の中に、人がはめられていく世界。これは、人口ボーナス時代に、似たような業務をみんなでこなす時代だったから成立していたのだと思う。

個の時代に、また、企業の非連続な成長が重要という時代に、「求人」という枠に当てはめていくようなスタイルの世界に未来を感じない。そして、私はそんな「求人」がある世界に何もワクワクはしない。

私が作り出したいのは、個人(過去の経歴)と求人(JD)のマッチングではなく、個人(価値観)と企業(経営者、経営観)を相互に理解し合い、お互いの未来に人生をかけられるか、貴重な時間を共にする相手にふさわしいかを真に確かめあう場と縁の世界である。

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■WILLというやっかいな代物

この世界観を実現するためには、企業と個人の双方のできること(CAN)だけではなく、したいこと(WILL)がより上位概念として大切にされたマッチングロジックで設計する必要があると考えている。でも、これはほとんどの人材紹介会社は踏み込まない。
その理由は、
・自身のWILLを語れる転職希望者は1割にも満たない
・WILLは先の話であり言語化が難しく、明らかにするためには、適切な介在が必要になる
・CANは、過去と現在の経験とスキルを言語化したものなので、明らかにしやすい
要はWILLをマッチングロジックに組み込むと人材紹介会社としては手間であり、面倒だということである。

WILLドリブンであることの必要性、重要性は転職希望者からも企業からも声として聞こえてくるので、我々はなんとしても実現したいと思ってる。そして、ここでも人とテクノロジーのかけ合わせが効いてくるポイントだと考えている。

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■人の経験と勘ではなくデータを中心に考えていく

ここまでの話だと、業務効率化、生産性向上のためのテクノロジー活用だと思われたかもしれないが、それだけではない。我々は、人の介在だけではなしえなかった企業と個人の出会いの場を提供することに向けて、他社にはない企業と個人の高解像度なマッチングを実現しようと取り組んでいる。そのために、データ中心戦略を行っており、属性データのみならず、行動データの収集、蓄積、活用のサイクルを循環させている。これらのデータから様々なことが明らかになり始めている。いづれのデータも、転職希望者や企業にとって、最良の出会いに繋がると思われるデータばかりである。そして他の人材紹介会社が出さないような行動データである。

今後も、蓄積され続けるデータを有効に活用し、「人だけ」の介在ではなしえなかった、企業と個人の良質なマッチングを創出していきたいと考えている。

■最後に

以上、私たちが向かいたい3年以内のありたい姿とその過程で、解消したい3つの不についてお伝えしました。
それに対するアプローチもいくつか明記しましたが、具体的な手段は他にも仕掛けております。それらはまだまだ実験フェーズでもあり、上手くいくかどうかも分かりません。ですが、確実に前進している手ごたえは感じます。
こんな理想論ばかりを掲げている我々ですが、本気で取り組んでおります。おそらく私がお伝えした内容は、多かれ少なかれ業界経験者なら、考えたことのある人はいると思います。しかし、その道を信じてやり切れた人、愚直にやり続けたチームはほとんどいないと思います。
我々は経営メンバー含め、社員全員がこの未来を本気で望んでおり、一歩づつ前に進んでおります。


▼弊社代表の松本も

▼そして、プロダクト部門を管掌している取締役の近藤

▼そして、メンバーの仲間たち、皆本気です。

ぜひ、少しでも共感していただいたのなら、どんな形でも嬉しいので、応援いただけるとありがたいです。もっと内容を知りたい、というご希望の方、カジュアル面談も大歓迎です!ここまで、ご一読ありがとうございました。


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